この辺りで少し息抜きを。
コルセアは確かに紛うことなき異端児だが、ぽっと出の異端児などそうあるものではない。大抵は何かしらの下地があるものだ。



これはヴォート社のV-141。
元をたどればノースロップが開発したもので、ヴォート社は本機を手直ししてV-143としてアメリカ陸軍の要求に応えようとした…


ところがアメリカ陸軍はセバスキー社のP-35を採用してしまう。宙に浮いた形の本機は参考品として日本に引き取られた。「空戦性能は九六艦戦や九七戦に劣る」とされたが、引込脚その他の艤装は後の国産機に大いに活かされることになる。


ちょうどその頃、アメリカ海軍は次世代機を欲していた。これに対しヴォート社は「1200馬力のエンジンを積んだ軽戦闘機(A案)」と「2000馬力のエンジンを積んだ重戦闘機(B案)」について検討を行った。前者の資料は詳らかではないが、おそらくはV-143を母体としたものと考えられる。
後者も同様であったが、せっかく積んだ大馬力エンジンを活用しない法はないので大直径のプロペラを用い(疾風や紫電改はプロペラ径が小さいので大いに損をしている)、艦載機という要求を加味して主脚を短く抑える目的で逆ガル翼を採用した。これにより搭載量に余裕が生まれたので「敵爆撃機に対する空対空爆撃」のための装備を積んだりと新機軸がてんこ盛りに…


…とここで海軍の目が覚めた。
「実効性の薄い空対空爆撃よりも機銃兵装を強化した方がいい」と。そこで爆撃兵装を捨て、翼内機銃を6挺に増やした。これにより居場所を失った翼内タンクは大容量の胴体タンクに集約されたが、そのスペースは操縦席を後方に追いやることで賄われた。コルセアの基本形はこうして生まれたが、今度はこれらの改修に伴う前方視界の不良や逆ガル翼由来の失速特性の不良に最後まで悩まされることになった…