恐ろしく醜い男が入ってきて 鏡の中の自分を見つめている

 「どうして鏡を見つめるのですか?不快な思いをするだけなのに」

 男は私に答えた

 「それはですね 不滅の原理に因れば万人は権利に置いて平等である
  故に私にも 鏡に己を映す権利がある
  快か不快かは 私の意識次第ということです」

 良識の名において私は正しかった だが

 法律の観点からすれば 彼も間違っていなかった



                      <鏡>
沙耶の世界   -sayas world-