主観と客観 内観の体験談から | 《和魂漢才鍼灸》

主観と客観 内観の体験談から

和魂漢才鍼灸の足立繁久です。

 

先日、美容師さんから聞いた話です。

 

この方は内観法を修行していたらしく

内観道場に一週間ほど籠ったことがあるとのこと。

 

そこでの修行の体験談を聞かせてもらいました。

 

その時の内観修行の要点は3つ。

 

・畳半畳のほどのスペースにこもり、外界との接触を断つ。

 (ふすまのような物で仕切られ、他人との会話もしない。

  当然、携帯も預けているので全くの孤独)

 

・食事もひとりで摂る。

 

・自分の過去の記憶から順をおって見つめなおす。

 

この作業だけを一週間ずっと行うそうです。

 

一日のうち数回は、指導者の方に修行報告をする時間があったとのことですが

かなり精神的に過酷な内容です。

 

 

最もつらかったのは最初の2、3日だったとか。

 

この時期はいろいろな迷いや不安が生じたらしいですが、

それを超えると、主観の自分と客観的な視点をもつもう一人の自分が形成され、

主観と客観のバランスがちょうど良くなった実感が得られたとのことでした。

 

この状態になると、精神的に安定し、

なんとか一週間の修行を乗り越えることができたそうです。

 

 

主観と客観の対比は、そのまま陰と陽の対比です。

 

両者のバランスが取れるということは、精神的に安定することを意味しますね。

 

 

確かに、自分の過去を振り返る時間は、

自分の思い出・感情(主観)を客観的に観る行為です。

 

修行中はその作業に没頭・集中させるので

主短期間で主観と客観を両立させることができるのでしょう。

 

しかし、主観と客観の両立・調和させることは、

特別な修行を行わなくても、私たちの人生の中で何度か経験しています。

 

例えば、“成長期”。

 

自我が芽生える“第一次成長期”

自己の価値観が確立される“第二次成長期”

 

この時期は、今まで住んでいた世界を飛び越え、壁を壊す過程ですので、

自己葛藤、自己矛盾に悩みます。

 

主観と客観のバランスが乱れやすい時期でもあります。

 

新しい価値観を生み出すとうことなので、

悩み苦しむのは当然といえるでしょう。

 

多少の差はあれ、誰もが悩んだ経験を持つでしょう。

 

ここでしっかりと自分の価値観=主観を作ることが大事です。

いわゆる“その人の芯”を作るということです。

 

その芯ができれば、その後の人生の節目節目で、

然るべき師(人物や役目、機会)に遭いますので

その人は正しく成長していくことができます。

 

 

ここでの主観の意味は、途中から価値観という風に変化させましたが、

自己の価値観をしっかりと定めることは生きていく上で非常に重要です。

 

これが定まっていないと、事あるごとに悩み、

自分で決定することができなくなります。

 

すなわちですね。

 

では、その価値観はどのように養われるのか?

 

昔は、四書五経などの学問から、志を養ってきたのは良く知られていますね。

 

他にも思想や信仰を深く追窮すること、徹底して実践することなどからも

志を養うことも可能でしょう。

 

大学』に記されている“八条目”はこのことを含めて指し示しているのだと思います。