難経七十五難について | 《和魂漢才鍼灸》

難経七十五難について

和魂漢才鍼灸の足立繁久です。

難経七十五難について話す機会がありました。

七十五難は六十九難と同様に、
五行のつながりを利用した治法を説いている難です。

六十九難についてはコチラを参照のこと

ただし、六十九難との決定的な違いがあります。

それは七十五難の本文を読むと一目瞭然です。
ということで、いきなり本文抜粋です。

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七十五難に曰く、経に言う、
東方実し、西方虚す(に対し)
南方を瀉し、北方を補う。

(このことは)何の謂いぞや?

然り。
金木水火土。當に更(こもごも)相い平らぐべし。

東方は木なり。西方は金なり。

木が実せんと欲せば、金まさに之を平らぐべし。
火が実せんと欲せば、水まさに之を平らぐべし。
土が実せんと欲せば、木まさに之を平らぐべし。
金が実せんと欲せば、火まさに之を平らぐべし。
水が実せんと欲せば、土まさに之を平らぐべし。

東方は肝なり。則ち肝実することを知る。
西方は肺なり。則ち肺虚することを知る。

南方の火を瀉し、北方の水を補う。

南方は火。火は木の子なり。
北方は水。水は木の母なり。

水は火に勝つ。

子、能く母をして実せしむる。
母、能く子をして虚せしむる。

故に火を瀉し、水を補い、
金をして木を平らげることを得ざらしむと欲す。

経に曰く、その虚を治すること能はざれば
何ぞその余を問わん、とは此れの謂いなり。

 ※写真は『医経溯洄集』の瀉南方補北方論より
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まず、ひとつの読み取り方としては、

七十五難の五行の使い方は限定されているということです。

冒頭から東西南北という四方(五方)に設定しています。

七十五難の読み取り方は、四方という設定でみよ!
というの条件設定から始まる…というのが一つの見かただと私は思います。

木火土金水の五行で読ませるのであれば、
わざわざ東西南北で書く必要はありません。

ここが六十九難とは違う点ですね。

なので、六十九難は六部定位脈診に応用しやすい治法なのですが
七十五難の治法は違う切り口での臨床応用が必要となります。

四方という切り口を使った応用法が必要となります。

この五行を“4”という単位に変換する読ませ方は
前難の七十四難にもあります。

七十四難は四時という“4”の単位に
五行を変換していますね。

さらに前後の難を見てみると…

七十三難は、井穴、榮穴・・・と兪穴を五行に変換した論法。

七十二難は迎随という陰陽逆順を

これを数字の順に見直すと、
・陰陽(七十二難)
・五行(七十三難)
・四時(七十四難)
・四方(七十五難)
と続いています。

陰陽ときて五行、さらに五行を応用展開…
これは難経の特徴的な構成のひとつだと思います。

そして同じ“4”への展開でも、四時と四方は陰陽の違いがあります。

四時は天の運行であり、陽です。
四方は地の方位であり、陰ですね。

四時はめぐり変化するものですが
四方は固定され動かないものです。

ですので七十五難の臨床応用のひとつとしては、
陰の部位を使った治法への活用が適する…
と考えるのです。

そのひとつが腹診ですね。

もちろん、まだまだ七十五難には
読み取らないといけない部分があると思われます。

今回ブログで紹介した考えはあくまで一つの解釈(の一部)ということで…

和魂漢才鍼灸 足立でした。