須弥壇修理 ~江戸時代のノミ痕 in 神奈川~ | 伝統技法 祥雲(山梨仏具) ~おしごとブログ~

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-おかげさまで代々職人-お祭り山車の彫刻・修理改修工事・うるし塗り・刺繍幕・寺院仏具・お仏壇を作っています。静岡で大正後期から三代続く職人集団です。

こんにちは、山梨仏具です

 

先日の大雪でも静岡に雪はふらず、県平野部の人々は雪難民になりました。今年も意義ある雪見遠足が行われたことでしょう。

 

_人人人人人人人人_
> 雪見遠足!? <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

 

雪見遠足とは  yukimi-ensoku

 

…雪見遠足とは雪を見るための遠足

雪が積もらない静岡の子どもたちのために雪遊びの楽しさを知ってもらうため、幼稚園・保育園で企画される遠足。静岡にしかない・・・らしい・・・?(未検証)

 

 

 

 

 

 

 

・・・さて、謎の導入はこのくらいにして

 

 

首都圏を襲った大雪も溶けかけた先日、神奈川県のご寺院へ須弥壇の解体に参りました。

 

 

須弥壇(しゅみだん)とは寺院の大型仏具です。意識はしなくともご覧になったことはあるのではないでしょうか。

 

 

須弥壇 syumi-dan

 

 

須弥壇は仏教の教えの中心にそびえる須弥山(しゅみせん)と呼ばれる山を仏具で表したものです。須弥山の中腹には龍が住むと言われ、須弥壇の中段の束の間に龍の彫刻を入れることがあります。本堂の内陣(ないじん)に置かれ、天板の上は仏の領域。ご本尊やお供物などが置かれます。

 

 

 

ちょっと面白いウェブサイトがあったので参考までに

http://tobifudo.jp/newmon/betusekai/uchu2.html

須弥山の大きさが書いてあります。

 

 

これによると須弥山の直径は56万km標高は130万km以上あるそうで、空想科学読本のようなスケール感が新鮮です。(なお、地球の直径はたかだか1万3000km

 

 

 

さて、本題ですが・・・

お寺の本堂の建て替えに際し、須弥壇をお預かりして修理をさせて頂くことになりました。

 

 

 

まずは須弥壇の前にある前卓(まえづくえ)を移動させて頂き、須弥壇の上に乗る供物や仏器を移動。ご本尊、四菩薩、四天王、文殊菩薩、普賢菩薩などのお仏像を移動。

 

 

 

 

かなり劣化が進んでいるので、取り扱いは丁寧に・・・。

 

 

 

 

それから須弥壇を上から解体してゆきます。

 

須弥壇の形式は様々ありますが、基本的にはコの字型の木を積み重ねて出来ています。経年で角が外れたり、前のめりになったりすることが、ご相談を頂く中で多い症状です。

 

 

 

 

写真奥に見える彩色の欄間も取り外し、お預かりしました。長い歴史を物語る埃が積もり重なっていました。埃は、一件ゴミの仲間のように思いますが、百年積もったほこりはそれなりに価値があります。

 

 

 

 

例えば、壊れた仏像を直し、彩色をし直したとします。綺麗にはなりますが、どうしても綺麗すぎて本堂の雰囲気と合わないことがあります。そういう時には古色(こしょく)、簡単に言えば「汚し」の仕上げにする方が修理として望ましい場合があり、その材料として古い埃を使う場合があります。

 

 

埃を作ることはできないので!

 

 

 

 

正面からです。だいぶ下まで外れてきました。写真でわかるように、来迎柱には須弥壇の形状に合わせて鑿(のみ)を入れてあります。

 

 

 

 

建立時の鑿痕です。およそ300年前の須弥壇でしたから、1700年代前半に生きていた人の仕事ということになります。

 

 

ちょっと感動

 

 

 

 

束の断面。右上の角の部分が意図的に大きく作られているのがわかります。江戸時代の職人さんにも、もっと古くから伝わる寸法とか、美しく見えるにはどうしたらいいのかとか、色んな技が伝わってこうなったと思うと、不思議な感じすらあります。そして今、我々も古い意匠を参考にして新しい仏具を作っていきます。

 

 

 

・・・ということで全て解体終了。

 

 

一段ごとに分かれた須弥壇を車に積み込み、これから工場で修理に入ります。修理は同じように下から一段ずつ直します。本堂が完成しましたら取り付けに伺わせて頂きます。

 

 

その際は、先ほどのように、須弥壇の形に合わせて柱に鑿を入れていきます。そして次の100年きっちり持つ須弥壇になります。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

- おかげさまで代々職人 -

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