画一化、模型化、均質化に愉悦する戦後人 ~レフト(左翼)とは何か~ | 真正保守のための学術的考察

真正保守のための学術的考察

今日にあっては、保守主義という言葉は、古い考え方に惑溺し、それを頑迷に保守する、といった、ブーワード(批難語)的な使われ方をしますが、そうした過てる認識を一掃するため、真の保守思想とは何かについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

先のお話に出た元海上自衛官のHさんですが、お生まれは昭和10年ですから、御年83か4ということになります。

お生まれは京都で、生家は京友禅の染物屋さんだったそうです。

お父様は腕のいい染物職人で、昔はだいぶ繁盛していたようですが、合理の一点に傾いていった近代は、「均質のものを」、「大量に」、「安価に」、「素早く生産」することに人間精神を傾注させ、シルクスクリーンやマシンプリントといった大ロット、クイックデリバリーに対応できる、西洋の、正確に言えばアメリカの模倣である大量生産方式が幅を利かせるようになるにつれ、消費者の本物離れが加速し、今では長兄の息子が数少ない着物愛好者を相手に細々と商いをしている程度だそうです。

 

文明思想の根幹でいえば、人工的な理念に基づき、社会のあり方を合理的かつ急進的に変えていくことだけに全神経を傾斜させていく不治の病をレフト、つまり左翼という。

 

アメリカの「フォーディズム」を見本とするこの大量生産、大量消費方式は瞬く間に日本列島を覆いつくし、「中流」という言葉がフレーワードとなり、平等(という名の画一)であることに愉悦する人々が大量に出来(しゅったい)する「マス社会」を到来させた。

末っ子のHさんは小さい頃から船が好きということで、海上自衛官となったそうです。

「昭和10年のお生まれといいますと、2・26事件の前年で、日華事変の2年前ですね」、と私がいうと、歴史にお詳しいですね、と言いつつ、昔を思い出されたのか、突然、教育勅語を暗誦され、「最近のことはすぐに忘れてしまうが、昔覚えたことは今でもよく覚えている」と照れくさそうに話すH氏。

 

私はこういうペーソスのある(年寄りではなく)老人が好きだ。

和歌でも古典でもそうだが、今の教育は原文にあたることをせず、現代風に解釈し直した注釈本を元に手っ取り早く歌の意味から入り、子供に暗誦をさせないが、だから子供の国語力や想像力がどんどん衰えていくのだろう。

更には、英語を第二公用語にしましょだとか、社内語にしましょなどと他愛のない者たちが他愛もないことを他愛もなく言っている。

教育勅語のようなファナティックな思想が子供から「考える」ことを奪い、あの大戦争を惹起させた温床となったのだなどと言ってる輩どもには、チミ一度でも教育勅語を読んだことがあるのかねと、いっぺん聞いてみたいね。

写真は「しだれ紅梅」