前回のブログでは、先日開催した
ヒアルロン酸・ショッピングリフトの歯科医師向け実践セミナーから、ショッピングリフトについてご紹介しました。

今回はその続きとして、
ヒアルロン酸注入のライブインジェクションについてご紹介します✨

今回のセミナーでは、2名のモデルさんにご協力いただき、実際のカウンセリングから治療方針を考え、ライブインジェクションを行いました。


💉 1人目は「唇のヒアルロン酸」

1人目のモデルさんは、唇へのヒアルロン酸注入。

唇のヒアルロン酸は、私が特に「デザイン性」が求められる部位のひとつだと考えている場所です。

「唇をふっくらさせたい」

と一言で言っても、その希望は人によって全く違います。

・ボリュームを出したい
・上唇と下唇のバランスを整えたい
・口角の印象を変えたい
・人中を短く見せたい
・自然な変化にしたい
・若々しい印象にしたい
・横顔のバランスを整えたい

など、患者さんの「なりたい姿」はさまざまです。

だからこそ、

「唇にヒアルロン酸を入れる」

だけではなく、

患者さんが何を求めているのかを理解し、それをどう具現化するのか

を考える必要があります。


🧩 願望だけではなく、年齢や歯列も含めて考える

私がヒアルロン酸のデザインで大切にしているのは、患者さんの希望だけを見ることではありません。

患者さんの

年齢・顔貌・口唇・歯列・骨格・表情・左右差・ダウンタイム

など、さまざまな要素を多角的に捉えます。

そして、

「患者さんが希望していること」
「医学的に可能なこと」
「その方に似合うこと」

をすり合わせながら、最終的なデザインを考えていきます。

特に歯科医師の場合、歯列や咬合、口唇と歯の位置関係まで含めて口元を考えられることは、大きな強みになると思っています。


🪡 「どこに入れるか」だけではありません

そして、実際にそのデザインを再現するためには、

「ここにヒアルロン酸を入れればいい」

というほど単純ではありません。

使用するヒアルロン酸製剤によっても特性が異なります。

さらに、

・針を使うのか
・カニューレを使うのか
・どの太さを選択するのか
・どの層に注入するのか
・どの方向からアプローチするのか
・どのくらいの量を使用するのか
・どの注入テクニックを選択するのか

など、考えることはたくさんあります。

注入テクニックも一つではありません。

だからこそ、

すべての患者さんに同じ製剤、同じ針、同じ注入方法

というわけにはいきません。

患者さんの状態や希望に合わせて、治療方法を組み立てていきます。


👩‍⚕️ 2人目は、当日のカウンセリングから治療方針を決定

そして2人目のモデルさん。

こちらは、事前に治療部位を決めていたわけではありません。

当日に実際にカウンセリングを行い、患者さんの希望や状態を確認したうえで、

「今回はほうれい線へのヒアルロン酸注入を行う」

という治療方針を決定しました。

ここが、ヒアルロン酸治療の面白いところでもあり、難しいところでもあります。

同じ「ほうれい線」という悩みでも、患者さんによって原因や状態は異なります。

年齢、骨格、軟組織、ボリュームロス、皮膚の状態、表情、左右差など……

一人ひとり違います。

そのため、実際の診療では、

「ほうれい線=ここにヒアルロン酸」

と単純に考えることはできません。


🧠 ライブインジェクションだからこそ伝えられること

今回、ライブインジェクションを行ったのは、まさにこの「個体差」を先生方に実際に見ていただきたかったからです。

講義では、

「この部位にはこの製剤」
「この場合はこの注入方法」

と整理してお伝えすることはできます。

しかし、実際の患者さんを目の前にすると、

「この患者さんの場合はどうする?」

という判断が必要になります。

患者さんの年齢、希望、顔貌、歯列、軟組織、左右差……

さまざまな要素をその場で総合的に考えていかなければなりません。

こればかりは、講義だけではなかなか伝えきれない部分です。


⚠️ だからこそ「簡単にヒアルロン酸をやってほしくない」

もちろん今回のセミナーでも、

・ヒアルロン酸の基本
・製剤による違い
・適応
・解剖学
・注入部位
・リスク
・合併症
・安全に行うための考え方

など、基本的な内容からお伝えしました。

ただ、正直なところ、これらを1回のセミナーですべて伝えきることはできません。

製剤による違い。

注入する部位による違い。

患者さんの年齢や希望による違い。

さらに、同じ部位であっても患者さんの解剖学的な個体差があります。

知れば知るほど、ヒアルロン酸注入は奥が深い治療です。

だからこそ私は、

「ヒアルロン酸は簡単だから、明日からすぐやってみましょう」

とは思っていません。

むしろ、

簡単ではないからこそ、正しく学んでほしい。

そんな思いがあります。


📚 継続して学ぶからこそ、見えてくるもの

今回参加してくださった先生方は、以前に私の

ボトックスベーシック・アドバンス

も受講してくださっています。

そのため、すでに解剖学や注入治療の基本的な考え方を共有できていました。

私としても、ゼロからすべてを説明する必要がなく、より踏み込んだ内容についてお話しすることができました。

「この場合はどうする?」
「この患者さんなら?」
「この製剤を選ぶ理由は?」

といった、より臨床的なディスカッションもでき、非常に濃い時間になったと思います。

セミナーは、一度受けて終わりではなく、学んだことを実際の臨床で経験し、また学ぶという繰り返しが大切だと感じています。


🌱 私自身も、日々学び続けています

そして、これは私自身にも言えることです。

注入治療は、学べば学ぶほど、

「まだまだ知らないことがある」

と感じる分野です。

新しい知見や製剤、技術について学びながら、実際の臨床で経験し、それをまた次のセミナーで先生方にお伝えしていく。

私自身も日々学び続けながら、

「安全に、そして患者さんにとってより良い治療を提供できる歯科医師を増やしたい」

という思いで、これからもセミナーを行っていきたいと思っています。

今回ご参加くださった先生方、そしてモデルとしてご協力くださった皆さま、本当にありがとうございました☺️


🪡 前回の記事はこちら

今回のセミナーでは、ヒアルロン酸だけではなく、ショッピングリフトについても講義・実習を行いました。

前回は、実際に先生にもショッピングリフトを体感していただいた様子をご紹介しています。

「ショッピングリフトってどんな治療?」
「痛みは?」

という方は、ぜひ前回の記事もご覧ください✨

 


【講師】田中千惠

歯学博士・歯科医師

DIIA(Dental Injection Institute Academy)代表
HANA Intelligence歯科口腔外科 院長

歯科医師向け注入指導講師

咬筋ボトックス・表情筋ボトックス・ヒアルロン酸注入について、歯科臨床における診断・解剖学・適応・注入技術を踏まえた実践的セミナー・ハンズオン指導を行っています。