愛知県技第7地区『口腔内スキャナの恩恵と危惧される未来』オンラインセミナー開かれる | 有限会社デンタルワールド 豊橋の歯科技工所

私の所属する(一社)愛知県歯科技工士会第7地区(八木文之地区長)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ZOOM(ズーム)システムを用いたオンライン学術講演会を8月9日に開催した。講師を務めたのは、歯科技工所への歯科用CAD/CAM導入支援・教育などを手掛け、書籍「はじめての歯科用CAD exocadを用いた操作・設計ガイド(2018年10月 刊行)の著者である古澤清己氏。

受講者は、(一社)愛知県歯科技工士会会員専用の一斉メールやホームページで案内し応募があった歯科技工士34名だった。

今回のオンラインセミナー講師を務めた古澤清己講師。

質疑応答にも楽しく丁寧に答えてくれた。

セミナー抄録と講師紹介。『はじめての歯科用CAD exocadを用いた操作・設計ガイド』は歯科用CADのバイブル本。好評につき増刷されているそうです!

セミナー参加者は34名。セミナー後のアンケートでは「オンラインセミナーにはじめて参加したが、集中できたしトイレにも自由に行けた(笑)」

「口腔内スキャナを直接扱うチェアサイドの歯科医師・歯科衛生士の方にもぜひ聴いて頂きたい内容だった」等多くの感想が寄せられた。


講演では、「口腔内スキャナがもたらす歯科技工士への恩恵とその先に待っている不幸な未来?」と題して、販売台数が伸びている口腔内スキャナによって、従来法のような印象や石膏模型の変形、気泡等が理論上全く無く、データを扱うため受け渡しも一瞬。歯科医院へ取りにいく時間も歯科技工の時間に充てることが可能となり、仕事時間の短縮にもなり、歯科技工士にとってメリットは計り知れない。しかし、このまま普及が進むと大きな落とし穴が待っていることをお伝えいただいた。特に印象深かったのは、「口腔内スキャナがこのまま普及すると、8割以上の歯科補綴物が不適合となる!」ということだ。
歯科用CAD/CAMの根幹技術である工業用CAD/CAMの理解不足がその正体だという。これは、歯科技工士はもちろんのこと、歯科医師、歯科衛生士そして患者さんまでも不幸にしてしまう。そうならないためにどうしたら良いか?今回の講演会はそれを理解する上で重要なきっかけとなったことは間違いない。
また、今回は歯科技工士中心の受講者であったが、これから口腔内スキャナを直接扱うことになるチェアサイドの歯科医師、歯科衛生士の方にこそ聴いていただきたい内容であった。

歯科業界は工業界などとは違い、手で削った面にCAD/CAMで合わせるという珍しい業界。だからこそ、歯科用CAD/CAMの根幹技術である工業用CAD/CAMを理解する事が重要であることがわかった

 

歯科医師が行う支台歯形成がCAD/CAMに適した形状じゃないと不適合になる。画像では、同じ面の支台歯でも咬合面に角がついたままだと、削り出した歯が入らなくなる事を解説している。

 

コロナ禍で従来型のセミナーがほとんど中止となる中、オンラインによるセミナーも工夫次第で充分行える事が今回の経験を通じて確認できた。
アンケートの感想でも、「次回は歯科医師や歯科衛生士の方にもぜひ一緒に聴いていただきい!」「続編に期待します!」などの声が届いている。
これを機に、ぜひ期待に答えられるよう今後も努めていきたいと思う。

 

(一社)愛知県歯科技工士会 第7地区 

    専務 山田裕由