ヌードな気分でヌーベルシノワ(わたくしの空想マリアージュ) | わたしは昆布泥棒

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猫好きソムリエ・ドヌールのモノローグ

2017 Irancy Rouge La Croix Buteix / Vini Viti Vinci

このラベルから中身が想像できるですって?

あなた、情報生命体か何かですか

これほど生真面目に作り込まれたイランシーを

私は知らない

 

初秋の空を映すような透き通った果実感

 

「生」のピノ・ノワールの

正しく表装された静けさが

ボッティチェリを思わす疲れた優美さをもって

厳かな婚礼の儀式のように通り過ぎる

 

ラベルからうける

人をおちょくったようなイメージとは

およそ似つかわしくない

晴朗な古典劇

 

果実の「ヌード」という点でのみ

ラベルと通じ合っているかもしれない

 

きっと

あまりにも真面目なワインができてしまって

照れ隠しにふざけているのだろう

 

ヌードな気分で空想するのは

ある日のヌーベルシノワ

 

突き出し

キャビアとキクラゲの最中

 

前菜五種盛り合わせ

 

ゴールドラッシュ(玉蜀黍)の冷製ポタージュ

 

海老チリ 黄金パウダー

 

北京ダック(キュウリ抜き)

 

特大フカヒレの土鍋入り姿煮込み

 

国産鰻の炒飯 山椒の香り

 

本日のデザート盛り合わせ

 

ぬー!ヌードな気分♪

シノワは詩の輪に通ずる

 

詩的な空想がとまらない

わたくしの空想マリアージュ

 

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紅い薔薇の香り

 

婚礼の儀式は葬列にかわり

花嫁は蒼白い猫だった

 

われわれの祭りを奪い返せ