デンタアプローチの開発経緯を半生を振り返りながら記録していきます!
「お母さんが死んだ」
「え?どういう事?」
「屋根の下敷きや」
すぐに子供たちもつれて今度は全員で両親のもとに向かいました。
その道中は悲惨な光景でした。電柱は軒並み倒れ築年数の浅い家以外はほぼ全壊し、
道路に運び出された遺体がそのまま置かれていました。
両親の家の前ではお義父さんが道の真ん中で座り込んでいました。
「お父さん怖いーって叫んでたけど暗くてどこにおるかもようわからんかった」
あんなに完成を楽しみにしていたビルを見ることなくお義母さんは死んでしまいました。
せめて最後に見せてあげたいと遺体をビルに運びこみました。
すると遠くのほうで火の手が上がっているのが見えました。
「隣の鷹取駅の方火事らしいで」誰かが言っているのが聞こえました。
それからしばらくして火事が迫ってきているのが分かりました。
「まさかここまでこうへんよね?」子供たちが心配そうにしていましたが、
ちょうどその時消防車も到着したので、「大丈夫やもう火事も消してくれる」
そう子供へも自分へも言い聞かせました。
ところが地震の揺れのせいで水道管が破裂し水が全くでなかったのです。
あれよあれよという間に火事が目の前に迫ってきました。
お義母さんの遺体をあわてて車に乗せました。
建設中のビルの中には使いかけのペンキや足場にしていた木材などの
可燃性が高いものがそこら中においておりました。
火事が向かいのにまで来た時、足場用においていた木材が自然発火を始めました。
慌てて主人がビルに上がり窓からその木材を投げ捨てました。
そ
して次の瞬間その様子を間近で見ていた息子の前髪に火が付きました。
「あーもーあかんわ」
ただただ街が燃えていく様子を呆然と眺めていました。