The State Of Global Emergency The Worldshift 2012 Declaration
世界的緊急事態における ワールドシフト2012宣言 (2009年9月9日 ロンドン)
2009年9月9日、アーヴィン・ラズロ博士の呼びかけにより、ロンドンにて「ワールドシフト会議」がおこなわれ、「世界的緊急事態における、ワールドシフト2012宣言」が、世界にむけて発信されました。そして、この宣言がワールドシフトのスタートとなりました。
平和で持続可能な社会を実現するために自分自身を変える必要がある
緊急事態にある世界
私たちの世界は今、「緊急事態」にあります。そしてこの世界的な危機は、より深刻な問題につながる兆候でもあります。
気候変動、経済破綻、エコシステムの崩壊、人口過密、水と食料の不足、資源の枯渇、原子力などの脅威。遅かれ早かれ、そうした危機はすべての人類に例外無く影響を及ぼします。このまま持続不可能な道を突き進めば、今世紀の中頃までに地球の大部分は、人間をはじめ多くの生物が生息できない場所へと変わり果てることでしょう。しかしながらエコロジカルな惨事、もしくは宗教や地政、資源をめぐる衝突が引き起こす戦争の悪化などによって、総合的な体制崩壊はもっと早く訪れるかもしれません。
こうした脅威は現実のものです。この世界的危機の原因となるものは、ここ数十年、ますます勢いづいて、近いうちに取り返しがつかなくなります。そのタイムリミットは今世紀末と見られていましたが、今世紀の中頃、20年以内、10年、5年とどんどん早まっています。
今、わたしたちは、わたしたち自身と、世界についてどう考えるのか、ということが問われています。
これまでとは違う考え方が早急に求められる今は、同時に、新しい価値観や優先権を再考するチャンスでもあります。 人々と自然が調和の中で共存するために、私たちが相互連携していることを理解し、新しい方向へとシフトするチャンスなのです。
危機をチャンスに変える
平和で持続可能な社会を実現するために、現在の危機から脱出するためのチャンスの扉は、後ほんの数年で閉まってしまうかもしれません。この時系は、地球上の終末論を説く多くの予測や予言と偶然にも一致しています。2012年末。その終末は新たな意識の夜明けでもあるのです。
今日、進歩的な考えを持つ団体や個人が世界中で、危機的状況をどうチャンスとして活かすかについて発言しています。 持続可能なシステム、構造、テクノロジーは発達し、あらゆる地域・分野にて実行に移されています。こうした世界的な「目覚め」は、人類が洞察力と創造力をもって危機に立ち向かう力を持っていることを表しています。いかに人間の精神が活力に溢れているかを証明する希望のサインです。
ヴィジョンとコミットメントが必要
早急に必要とされている変化の範囲や規模には、私たちのこれまでの努力ではまだ不十分です。しかし私たちがヴィジョンや展望、やる気(commitment=義務、責任)をもって協力すれば、平和かつ持続可能な世界を造ることができるのです。そうすることで、私たちの存続と幸福を後世にまで確保できます。地球市民としてまずやるべきことは、意識をより広げ「惑星意識」にまで発展させることです。そして猶予の窓がまだ開かれているうちに、人類のために、新しい世界としっかりとした未来を共に築いてゆかねばなりません。
緊急呼び掛け
したがって私たちはすべての人々へ、この世界的危機における危険性、及びチャンスの両方について認識を深めていただくことを呼びかけます。人類一人ひとりの存続と幸せ、そして地球上のすべての命のために、我々は共に協力しあい、ポジティヴなワールドシフトを実現するためにコミットすることを宣言します。
リーダーたちの目標(1) 主要ビジネス界が掲げるべき目標
ビジネスの本分はチャリティ(慈善事業)ではない。それは社会の務めである。慈善財団が行うチャリティは歓迎すべき付加物であるが、財団が使う金銭でもうけた企業が自分たちの短期的な利益に身をささげ続けるのならば、これでは企業として十分とは言えない。
産業の主要分野における市場のリーダーたちは、責任あるビジネスの実践と持続可能性を育成する戦略を全世界レベルで実行できるコンソーシアム(共同事業体)をつくる必要がある。そのコンソーシアムならば、明確で妥協のないミッションステートメントや、説得力ある倫理および行動規範に基づいた経営ができる。コンソーシアムのメンバーは、環境において物理学的、エコロジー的、社会的な持続可能性に貢献するような戦略に向けて諸ビジネスが確実に移行できることを唯一の目的に競争を行う。そして力を合わせることによって、便宜主義的で非倫理的な競争相手による挑戦を克服できる力を持つのである。
社会に利益をもたらす目標に向けて市場のリーダーたちが固く約束すべきは、ビジネスの展開方法を全世界で変容させることである。企業は、彼らの存在理由(レゾンデートル)としての狭量な考えによる利益と成長を、人類のコミュニティ(共同体)の利益に献身するものに取って代えるだろう。もはや、ことの核心は"企業に最大限の利益を最短期かつ最小限のリスクでもたらすべく"努力することではなく、"企業の生存能力を維持する一方で最大数の人々にとっての最大の利益を生み出す"ことである。この変化によって、社会環境と自然環境の持続可能性と、人類の幸福をもたらすものに献身する社会的行為者の仲間に民間部門の血が入ることになる。
リーダーたちの目標(2) 政治が掲げるべき目標
見識と公共心のある政治リーダーたちは、とりわけ以下の目標を受け入れ、これを採用している。
草の根レベルの目標:(1)新しい思考のための目標
今もって社会の主流を支配している思考は、現実とはもはや調和しない前提や信念でできた時代遅れで廃れたものである。以下は特に社会に関する信念であるが、すでに取って代わられていなければならないものばかりである。
草の根レベルの目標:(2)新しい倫理のための目標
多くの人々が、生きる、そして生かされる、という古典的なリベラリズムにしたがっている。法を犯さない限りは誰もが好きなことをできる。これでは決して十分ではない。決して正当化はできないが、ときに法にしたがいながら、富める者や権力のある者は、みなで共有すべき資源のうち不釣り合いなほどの大部分を消費し、自発的に、そして不注意に、貧しい者や権力のない者が必要な資源を利用するのを阻んでいる。その一方で、貧しい者の側にも変化は求められている。貧しい者たちは富める者のライフスタイルを熱心にまねること、あるいはまねようと頑張ることを止めなければならない。
われわれは、地球規模で相互作用し、相互依存するコミュニティ(共同体)に生きている。われわれの倫理は地球の倫理でなければならない。これは一方的に均一で均質な倫理であるという意味ではなく、偉大な文化的伝統に基づく共通の人道的な諸要素を合わせた倫理である。誰もが生き、そして繁栄できる持続可能な世界を実現するための行動規範の省くことのできない最低限のものを表したものである。その基本原理は、われわれが自分の行動や、自ら熱望する行動のすべてに不可欠な、自ら課した道徳として採用されねばならないのである。
草の根レベルの目標:(3)個人の領域でとるべき行動
われわれの私生活のある一面にはすでに公共の務めとなっているものもある。今日において果たすべき責任には以下のようなものが挙げられる。
草の根レベルの目標:(4)市民としての領域でとるべき行動
正常に機能している民主主義においては、人々はその利益や、彼らの国の国益や全人類の利益を誠実に代弁してくれる政治的リーダーを推薦し、選出することができる。われわれが選んだ代表者は、変化が必要な場合には、その目的と方策を伝えるべく政府と話し合うことができる。われわれの代表はとりわけ以下のことを政府に要請することができる。
草の根レベルの目標:(5)ビジネスの領域でとるべき行動
個人は自ら選択できるショッピングや消費を通じてビジネス企業の責任ある行為を刺激することができる。つまり、公共の利益に献身する企業をひいきにする一方で、自身の利益や成長にだけ関わり続けるような企業を無視し、積極的にボイコットすることができる。企業の株式を購入できる人ならば、"社会的投資"を実践することもできるのである。株主組合(shareholder association)に参加して、株主総会では社会および自然環境における企業の責任問題について提起すれば、わずかな株式しか持っていない株主でも企業経営の実践に影響を及ぼすことができる。
株主として、あるいはクライアント、顧客として、あるいは単に企業が立地する地域コミュニティの関係者として、すべての人々はビジネス企業に以下のようなことを要求することができる。
WorldShift20宣言(WORLDSHIFT 20 DECLARATION)
Issued by the Worldshift 20 Council - November 21, 2010
An Initiative of The Club of Budapest
WorldShiftカウンシルのミッション
WorldShift20カウンシルは様々な文化と宗教をバックグラウンドにもつ20人の著名な地球市民によって成り立っています。カウンシルは持続可能で平和な世界へ向けて、現状に警告を促すとともに新しい動きを提案します。
カウンシルはすべての人々、文化、宗教や歴史からのメッセージに耳を傾けます。短絡的で利己的な経済や政治とは違います。狭く、限定した議題だけでは人類が直面している問題を解決することはできません。自分勝手に私利私欲を追求することはでブレイクダウンを加速することになるのです。
これは70億人以上の人々が生活できる持続可能で平和な世界へ向けて、地球規模で市民やメディアへ訴えかけるメッセージです。
WorldShift20宣言
基本的な前提(Basic Premises)
先進国のリーダーたちは、ブレイクダウンに向かっている世界に対して努力はしているが、それは現状からみると満足とはとても言い難い努力です。ブレイクダウンは望まれるものではもちろんありませんし、当然無視することもできないものです。経済、政治、社会組織のシステムと人類と自然とのエコロジーな関係はいますぐに再構築しなければならず、そのときに重要になるのが持続可能で平和な世界をめざす「意識」「価値」「原則」なのです。そのような大規模な転換を開始するために残されている時間は、ここ数年という限られたものと思われます。
しかしながら国際社会は、大きな会議において自分たちの組織の利害や権限にこだわるという「セクショナリズム」に囚われています。経済を主導する交渉者たちは、過去から引き継いだ議題を持ち出しているのです。
このような姿はG20のソウルサミットで明らかになりました。この時の宣言には世界でもっとも力のある20カ国による緊急レポートが発表されました。国際社会における福祉や福利についての協議よりも、経済が取り上げられていました。
貿易や為替レート対策の不平等、財政危機の脅威。これらの問題が注目を集めるようになった結果、気候の変化や地球規模での生態、地球人口の半分が抱えている貧困問題への注目が少なくなりました。さらには、世界でも有力な政府・企業が占めている富や消費性向についてはいかなる注意も払われませんでした。
G20は経済成長によって問題を解決できると思っているようです。ですが、これは福利と、世界に多くある貧しい人々の生存を危機にさらし、さらに、地球の気候を変化させ生態系を破壊しています。これでは持続不可能な経済体制を加速させるだけです。迫りくる気候、エコロジー、エネルギーそして核の脅威。これらの問題は経済措置という対応だけではとても解決できません。そもそも分離して考えることが可能な問題ではないのです。
私たちの子どもや孫の世代が平和に、また命を支えてくれる生態系とともに暮らせるように。そのために社会全体の構造改革が必要です。私たちは生態学的、そしてエネルギー的に持続可能であるように社会を組みなおす必要があります。また、地球温暖化、核兵器という二つの大きな人類の存続に対する脅威について真剣に取り組まなければなりません。
このままでは、地球温暖化によって引き起こされる気候変動は人類の力では維持できない深刻な状況を引き起こします。ここから生まれる問題は容赦なく、この先100年で大災害、蔓延する伝染病、人同士の争い、いまだかつて人類が行わなかったレベルでの人口移動(気候変動から逃れるために何百万、何十億の人々が大陸移動を行うことになるでしょう)などが起こるでしょう。その結果として戦争が引き起こされ、人類の80%以上が滅びると予想されます。イギリスの科学者であり環境学者であるジェームズ・ラブロックのレポートは人々の目を覚まさせ、緊急の行動を促すものなのです。
環境問題と同じく、核兵器の廃絶も今となっては願望ですまされるような問題ではありません。人類の存続に関わる問題なのです。核兵器の問題がある限り、平和な世界の実現は不可能だと言えます。あらゆる状況下での核兵器の製造と使用が禁止される核兵器禁止条約の成立は緊急の問題です。全生命を滅ぼすような大量な核保有に対する恐怖。この恐怖に人類が気づけば、民主主義において禁止条約を成立させることは十分可能です。そして、気づきはすでに始まっているのです。5大核保有国を含む21カ国において、世論調査によると国民の76%が全ての核兵器を禁じる条約の交渉を支持する、という結果が出ています。
とはいえ、抵抗勢力は以前強く存在します。核兵器は力であり、政府は力の源泉としての核を手放したくはないのでしょう。軍や関連した産業は市民に恐怖を押し付け、核保有の正当性を主張しています。主要メディアはこの問題について見て見ぬふりをしています。これでは、常に身に付きまとう核の脅威、ダモクレスの剣のようなこの脅威を打ち消すことは難しいのです。
オルタナティブな哲学(An Alternative Philosphy)
意識的なリーダーシップ(A Conscious Leadership)
この地球の文明が存続するために、もはや無駄にできる時間は残されていません。聡明で賢明な指導者を選択することは人類の責任なのです。また、適切なグローバル原則の尊重により、社会構造の生存性を未来へと保ち、前進させていくことは指導者の責任です。
今日、社会のあらゆる階層において、決定権を持つ人々にリーダーシップの自覚が求められています。国家の政治リーダーたちは反対勢力をも協働に導く力が必要です。すでに起こっている変化へ舵取りするために、人類の内的な可能性を外的な課題に向かわせなければいけません。つまり、心理学的、生物学的、社会的、文化的、そして環境的な要因を考慮に入れた総合的な解決に向けての能力を育てることが必要なのです。問題に協同で取り組むことを可能にするための、文化的で、行動的、社会的、情緒的な知性を含む新しい能力が必要です。
人類は新しい方向に向けて協同で取り組むための努力ができます。地球規模での企業システムはブレイクスルーを創りだすことができます。ガバナンスに対する新しいアプローチはあらゆる社会から、多数の参加者を巻き込むことができます。ビジネスというものは人がいてはじめて意味を持ち、世界の文化を繁栄への新しい段階へと進めることができるのです。意識的なリーダーシップを通じて、個人と世界のニーズを密接につなげることが可能になります。
「この病める世界において、豊かでいるためには何が必要なのだろうか?」先進国のリーダーたちはこの重要な質問に答えられるのでしょうか。G20のリーダーたちは枯渇したこの地球を消費し、自分たちの富を増やすことを優先するのではなく、続く次の世代へ住みよい地球を残すことに焦点を当てるべきなのです。経済は、あらゆるレベルにおいて平和で公平で持続可能で健全である必要があります。世界中が精神的に健全であることで、人類は団結しバランスの取れた生態系を取り戻すことができ、世界規模の問題を根絶し、そして軍事的侵略を抑止できるのです。
グローバルな思考だけが、問題を終わらせることができますが、延々と続く国家主義と部族主義がその考え方に歯止めをかけています。ですが、たとえ私たちが一つの種族でないとしても、同じ地球に住んでいるということは変わりがありません。この地球が死んでしまうのは時間の問題です。この事実に気がついたとき、それは世界の回復のためのチャンスでもあるのです。たとえば、人類は徹底的に枯渇した世界で生き延びることはできるかもしれません。ただし、そのような世界では「人として」生きることはできないのです。
新しい意識(A New Consciousness)
人類は「どこへ進むべきか」を知るために、今まで知っていたすべてのことを一度捨てる必要があります。アインシュタインが「ある問題を引き起こしたのと同じマインドセットのままで、その問題を解決することはできない」と言っていましたが、新しい意識のみが問題解決を可能にするのです。つまり、人間性のすべてにおいて新しい意識の誕生が必要なのです。
人類に影響する多くの脅威はすでに現実化しています。それだけでなく、さらなる脅威も訪れようとしています。すべての脅威は共通の問題を持っています。それはすなわち「惑星意識」の欠如です。人類は自分たちと生態系の両方をまとめて見るという視点を欠いています。民主主義の中では、多数派がルールを決め、決定します。惑星意識を持った人はまだまだ少数派なのです。
人類は連帯感に基づいて、変化に向かい適応するための協力が必要だと認識しなければいけません。それが持続可能で平和な世界への基本的な前提条件です。
経済や金融の領域だけでもなく、環境、技術、教育、情報公開、文化の交流などすべてにおいて協調の重要性について気づくこと、そして活気づける意識が必要です。地球上すべての人々との相互関係、一体性、運命についての共通認識について明確に意味をとらえていかなくてはならないのです。
G20の指導者たちは、狭い意識レベルでのコミュニケーションの故に、古くから続く問題を終わらせることができずにいます。環境に対する感謝の欠如、動物や惑星の生活、自然世界を搾取するような扱い。そして人間、文化、国家間での差別。この3つの差別は指導者たちの考え方だけから生まれているのではなく、何十億もの人類ひとりひとりの意識からも生じているのです。リーダーシップの役割があろうとなかろうと、意識を高め、それによって人間社会の未来と地球を守るという責任を取ろうとする地球市民の努力をサポートしなければなりません。
パブリックセクターのリ・オリエーテーション(Re-Orientation in the Public Sector)
『成長の限界』は1972年の発表以来、世界中で多くの出来事や動きに警鐘を鳴らしました。ですが、それでも地球への状況は良い方向には変わっていかなかったのです。国連やG20のような権威のある多くの組織が変化を生みだし、NGOや市民グループがそれを実行していきました。ただ、これらのアクションはいまだ効果的ではありませんでした。
惑星意識を広げ、共有するためにも具体的なアクションプランが、宇宙船地球号の乗客である人類には今すぐに必要なのです。 民族国家が自分たちの経済の「回復」「安定の継続」「バランスの取れた成長」を求めるという時代遅れの考え方を捨てなければいけません。持続不可能なシステムを活性化しようとするのではなく、現在のシステムの徹底的な転換が必要なのです。
政府やNGO、ブレイクスルー、つながりを伝播する市民社会。この間にある協力関係に基づく新しい社会のシステムが必要です。それは創造的で、全体的な変化を起こすことのできる社会的相乗効果と協力を高めるという新しい機能を持ちます。現在では、インターネットを使うことで、入念に調査することができ、世界や各国そして地域社会ごとに起こっている出来事のつながりを広めることができます。
2009年12月コペンハーゲン会議は、政府組織が国家や共同体の利益を超越し危機的な地球問題を客観的に扱うことは不可能であることが示されるという大失敗に終わりました。世界的な危機は人間精神の包括的システムの危機である、ということが理解されていなかったことがこの悲劇を引き起こしました。人間の精神性を無視し、経済のためにあらゆるものを犠牲にし続けるのならば、世界はブレイクダウンへと向かって負のスパイラルに陥ってしまいます。
G20はこの視点を変えることはないでしょう。人類は精神性が意思決定の問題において優先されるという時代にいます。世界のリーダーたちは、意思決定のプロセスが経済や政治よりも精神性によってなされるという原則にコミットすべきです。そしてリーダーたちは、惑星がひとつのシステムであると認識し、世界の利益についての意思決定は人類の未来を犠牲しないものにしなければならないのです。
人生に対する深い意義、状況、周囲の環境に依存しない内的な喜び、他者への配慮や思いやり、そういったことへの発見に対して幅広いサポートを行うのはリーダーにとっての原理原則です。調和と共同体を大切にし、お互いが自由に生きていくことのできる世界。欲望や恐怖ではなく、知恵や思いやりによる統治がなされる世界を共に創っていくことが必要なのです。
政府は精神性についての概念全体が、グローバル社会という文脈の中で再定義される必要があるかどうか、を検討しなければなりません。精神性は人種、宗教、性別、国籍の壁を超えるグローバルコミュニティに最も適した概念です。人類はグローバリゼーションの挑戦と危機に対処できるようにするための確かな普遍的概念を考え直す必要があります。これらの概念の多くは人間らしさの中にあります。こういった概念を現代の文脈に沿って再確認する必要があります。
緊急に整備しなければいけない制度(Urgent Institutional Steps)
各国は、このチャレンジに一丸となって動かなければいけません。すべてのエリアにおいて実行しなければいけないことは二つあります。ミレニアム開発目標に向けての事務局を設立すること、目標実現へ向けての進捗状況を確認しあえるシステムを確立するということです。資本は結果ではなく、ゴールへ向かっての手段です。すべての権利は守らなければいけません。個人の権利、生態系が持つ権利をないがしろにしてはいけないのです。命はそれだけで、神聖なもので、大切にしなければいけないのです。
私たちは、富の尺度のすべてのレベルにおける人間の興味だけではない、環境と人々の幸福に照らした適切な尺度を確立しなければいけません。国家は、普遍的な考え、自然との調和に基づいた価値、州やグループで共有された関心、法律、そのすべてとバランスを取らなくてはいけません。
今、世界中のあらゆる国でSocial Harmony Index を作る必要があると考えます。Social Harmony Indexは、環境について、兵器について、人権について、誠実さについて、自由について、民主主義について、情報の自由について、政府公務について、治安について、豊かさと貧しさのギャップについて、都市と田舎について、教育の普及について、国家の自然環境状態について、創造力について、社会保障についてなど、その他いろいろな全てのものを考慮し数値化されます。Social Harmony Index(SHI)を集めることで、世界中のあらゆる社会の評価、そしてその格付けを知ることができます。そして、すべての国のSHIをまとめることで、World Social Harmony Index(WSHI)を知ることができ、これは年々の変化のパターンを教えてくれます。これらのリストは、毎年、国連もしくはG-20によって評価、とりまとめられ再発行される必要があります。WSHI は世論として政府に影響を与え、各国の開発の基準になります。あらゆる国は今、SHIに注目し、GDPによる競争を弱めるべきなのです。 人々の利益は健康的な生態系、堅実な財政、そして盛んな地域社会によって保たれます。つまり、資本市場の枠組みをもう一度組み直し、再び信頼を得るということが一番の優先事項なのです。
緊急に実行しなければいけない事項:
これらのための全体システムアプローチは、人類の歴史の中で最も重要で時間がかかります。これから先の数年に行われる決定事項が、今後人類にとって成長するか否かの分かれ道です。138億年間にわたる人類の命がこの一世紀、ないしは二世紀で決まるのです。世界がいま必要としているのは社会にとって平和で情熱的で効果的な働きかけです。そして、必要なのは平和で情熱的で有能な人々、つまり求める社会に適した人々です。リセットボタンはもう押されました。人類はこれ以上今までと同じような贅沢を続けることはできません。今、地球のために動かなければなりません。かつてなかった社会的な大きな変化に取り組む情熱が必要なのです。
今までの脅威(人類による自然に対しての敵意も含めて)の時代は終わり、人間らしさとその文化を尊重する新しい時代が訪れようとしています。この変化を乗り越えるために、全人類の可能性とあらゆる叡智が力を合わせる必要があります。
これは大変な変化です。世界を大きく変える曲がり角なのです。悲しいことに今、人類は文化から生まれた経済ではなく、経済学のおまけのような文化しかないという状況にいます。事実、人間が設計し、導入した経済とガバナンスシステムがどれだけ文化の創造を妨げているでしょうか。国家のリーダーが柔軟で協力的ではなく、古い考えのまま門番のように残っています。
「持続可能で平和な世界」という目標は、人類史上はじめて達成することができるものなのです。現在、多くの優秀な女性が意思決定の立場にいます。また、コミュニケーション技術の発達で遠いところにいる人たち同士がつながることが可能になっています。そうです、今なら人類は夢見た世界を現実にすることができるのです。
Worldshift 20 Council Members
Worldshift 20 Council Administration
翻訳協力 本WorldShift20宣言は、以下の方々のボランティア協力のもと、翻訳を頂きました。
Team Social translation
@tomonzo_jp @Maki_nov16 @acyfosino @town_b @self_agenda @dyankiya @emi227 @Pi_0123 and @yuu_key
世界的緊急事態における ワールドシフト2012宣言 (2009年9月9日 ロンドン)
2009年9月9日、アーヴィン・ラズロ博士の呼びかけにより、ロンドンにて「ワールドシフト会議」がおこなわれ、「世界的緊急事態における、ワールドシフト2012宣言」が、世界にむけて発信されました。そして、この宣言がワールドシフトのスタートとなりました。
平和で持続可能な社会を実現するために自分自身を変える必要がある
緊急事態にある世界
私たちの世界は今、「緊急事態」にあります。そしてこの世界的な危機は、より深刻な問題につながる兆候でもあります。
気候変動、経済破綻、エコシステムの崩壊、人口過密、水と食料の不足、資源の枯渇、原子力などの脅威。遅かれ早かれ、そうした危機はすべての人類に例外無く影響を及ぼします。このまま持続不可能な道を突き進めば、今世紀の中頃までに地球の大部分は、人間をはじめ多くの生物が生息できない場所へと変わり果てることでしょう。しかしながらエコロジカルな惨事、もしくは宗教や地政、資源をめぐる衝突が引き起こす戦争の悪化などによって、総合的な体制崩壊はもっと早く訪れるかもしれません。
こうした脅威は現実のものです。この世界的危機の原因となるものは、ここ数十年、ますます勢いづいて、近いうちに取り返しがつかなくなります。そのタイムリミットは今世紀末と見られていましたが、今世紀の中頃、20年以内、10年、5年とどんどん早まっています。
今、わたしたちは、わたしたち自身と、世界についてどう考えるのか、ということが問われています。
これまでとは違う考え方が早急に求められる今は、同時に、新しい価値観や優先権を再考するチャンスでもあります。 人々と自然が調和の中で共存するために、私たちが相互連携していることを理解し、新しい方向へとシフトするチャンスなのです。
危機をチャンスに変える
平和で持続可能な社会を実現するために、現在の危機から脱出するためのチャンスの扉は、後ほんの数年で閉まってしまうかもしれません。この時系は、地球上の終末論を説く多くの予測や予言と偶然にも一致しています。2012年末。その終末は新たな意識の夜明けでもあるのです。
今日、進歩的な考えを持つ団体や個人が世界中で、危機的状況をどうチャンスとして活かすかについて発言しています。 持続可能なシステム、構造、テクノロジーは発達し、あらゆる地域・分野にて実行に移されています。こうした世界的な「目覚め」は、人類が洞察力と創造力をもって危機に立ち向かう力を持っていることを表しています。いかに人間の精神が活力に溢れているかを証明する希望のサインです。
ヴィジョンとコミットメントが必要
早急に必要とされている変化の範囲や規模には、私たちのこれまでの努力ではまだ不十分です。しかし私たちがヴィジョンや展望、やる気(commitment=義務、責任)をもって協力すれば、平和かつ持続可能な世界を造ることができるのです。そうすることで、私たちの存続と幸福を後世にまで確保できます。地球市民としてまずやるべきことは、意識をより広げ「惑星意識」にまで発展させることです。そして猶予の窓がまだ開かれているうちに、人類のために、新しい世界としっかりとした未来を共に築いてゆかねばなりません。
緊急呼び掛け
したがって私たちはすべての人々へ、この世界的危機における危険性、及びチャンスの両方について認識を深めていただくことを呼びかけます。人類一人ひとりの存続と幸せ、そして地球上のすべての命のために、我々は共に協力しあい、ポジティヴなワールドシフトを実現するためにコミットすることを宣言します。
リーダーたちの目標(1) 主要ビジネス界が掲げるべき目標
ビジネスの本分はチャリティ(慈善事業)ではない。それは社会の務めである。慈善財団が行うチャリティは歓迎すべき付加物であるが、財団が使う金銭でもうけた企業が自分たちの短期的な利益に身をささげ続けるのならば、これでは企業として十分とは言えない。
産業の主要分野における市場のリーダーたちは、責任あるビジネスの実践と持続可能性を育成する戦略を全世界レベルで実行できるコンソーシアム(共同事業体)をつくる必要がある。そのコンソーシアムならば、明確で妥協のないミッションステートメントや、説得力ある倫理および行動規範に基づいた経営ができる。コンソーシアムのメンバーは、環境において物理学的、エコロジー的、社会的な持続可能性に貢献するような戦略に向けて諸ビジネスが確実に移行できることを唯一の目的に競争を行う。そして力を合わせることによって、便宜主義的で非倫理的な競争相手による挑戦を克服できる力を持つのである。
社会に利益をもたらす目標に向けて市場のリーダーたちが固く約束すべきは、ビジネスの展開方法を全世界で変容させることである。企業は、彼らの存在理由(レゾンデートル)としての狭量な考えによる利益と成長を、人類のコミュニティ(共同体)の利益に献身するものに取って代えるだろう。もはや、ことの核心は"企業に最大限の利益を最短期かつ最小限のリスクでもたらすべく"努力することではなく、"企業の生存能力を維持する一方で最大数の人々にとっての最大の利益を生み出す"ことである。この変化によって、社会環境と自然環境の持続可能性と、人類の幸福をもたらすものに献身する社会的行為者の仲間に民間部門の血が入ることになる。
リーダーたちの目標(2) 政治が掲げるべき目標
見識と公共心のある政治リーダーたちは、とりわけ以下の目標を受け入れ、これを採用している。
草の根レベルの目標:(1)新しい思考のための目標
今もって社会の主流を支配している思考は、現実とはもはや調和しない前提や信念でできた時代遅れで廃れたものである。以下は特に社会に関する信念であるが、すでに取って代わられていなければならないものばかりである。
草の根レベルの目標:(2)新しい倫理のための目標
多くの人々が、生きる、そして生かされる、という古典的なリベラリズムにしたがっている。法を犯さない限りは誰もが好きなことをできる。これでは決して十分ではない。決して正当化はできないが、ときに法にしたがいながら、富める者や権力のある者は、みなで共有すべき資源のうち不釣り合いなほどの大部分を消費し、自発的に、そして不注意に、貧しい者や権力のない者が必要な資源を利用するのを阻んでいる。その一方で、貧しい者の側にも変化は求められている。貧しい者たちは富める者のライフスタイルを熱心にまねること、あるいはまねようと頑張ることを止めなければならない。
われわれは、地球規模で相互作用し、相互依存するコミュニティ(共同体)に生きている。われわれの倫理は地球の倫理でなければならない。これは一方的に均一で均質な倫理であるという意味ではなく、偉大な文化的伝統に基づく共通の人道的な諸要素を合わせた倫理である。誰もが生き、そして繁栄できる持続可能な世界を実現するための行動規範の省くことのできない最低限のものを表したものである。その基本原理は、われわれが自分の行動や、自ら熱望する行動のすべてに不可欠な、自ら課した道徳として採用されねばならないのである。
草の根レベルの目標:(3)個人の領域でとるべき行動
われわれの私生活のある一面にはすでに公共の務めとなっているものもある。今日において果たすべき責任には以下のようなものが挙げられる。
草の根レベルの目標:(4)市民としての領域でとるべき行動
正常に機能している民主主義においては、人々はその利益や、彼らの国の国益や全人類の利益を誠実に代弁してくれる政治的リーダーを推薦し、選出することができる。われわれが選んだ代表者は、変化が必要な場合には、その目的と方策を伝えるべく政府と話し合うことができる。われわれの代表はとりわけ以下のことを政府に要請することができる。
草の根レベルの目標:(5)ビジネスの領域でとるべき行動
個人は自ら選択できるショッピングや消費を通じてビジネス企業の責任ある行為を刺激することができる。つまり、公共の利益に献身する企業をひいきにする一方で、自身の利益や成長にだけ関わり続けるような企業を無視し、積極的にボイコットすることができる。企業の株式を購入できる人ならば、"社会的投資"を実践することもできるのである。株主組合(shareholder association)に参加して、株主総会では社会および自然環境における企業の責任問題について提起すれば、わずかな株式しか持っていない株主でも企業経営の実践に影響を及ぼすことができる。
株主として、あるいはクライアント、顧客として、あるいは単に企業が立地する地域コミュニティの関係者として、すべての人々はビジネス企業に以下のようなことを要求することができる。
WorldShift20宣言(WORLDSHIFT 20 DECLARATION)
Issued by the Worldshift 20 Council - November 21, 2010
An Initiative of The Club of Budapest
WorldShiftカウンシルのミッション
WorldShift20カウンシルは様々な文化と宗教をバックグラウンドにもつ20人の著名な地球市民によって成り立っています。カウンシルは持続可能で平和な世界へ向けて、現状に警告を促すとともに新しい動きを提案します。
カウンシルはすべての人々、文化、宗教や歴史からのメッセージに耳を傾けます。短絡的で利己的な経済や政治とは違います。狭く、限定した議題だけでは人類が直面している問題を解決することはできません。自分勝手に私利私欲を追求することはでブレイクダウンを加速することになるのです。
これは70億人以上の人々が生活できる持続可能で平和な世界へ向けて、地球規模で市民やメディアへ訴えかけるメッセージです。
WorldShift20宣言
基本的な前提(Basic Premises)
先進国のリーダーたちは、ブレイクダウンに向かっている世界に対して努力はしているが、それは現状からみると満足とはとても言い難い努力です。ブレイクダウンは望まれるものではもちろんありませんし、当然無視することもできないものです。経済、政治、社会組織のシステムと人類と自然とのエコロジーな関係はいますぐに再構築しなければならず、そのときに重要になるのが持続可能で平和な世界をめざす「意識」「価値」「原則」なのです。そのような大規模な転換を開始するために残されている時間は、ここ数年という限られたものと思われます。
しかしながら国際社会は、大きな会議において自分たちの組織の利害や権限にこだわるという「セクショナリズム」に囚われています。経済を主導する交渉者たちは、過去から引き継いだ議題を持ち出しているのです。
このような姿はG20のソウルサミットで明らかになりました。この時の宣言には世界でもっとも力のある20カ国による緊急レポートが発表されました。国際社会における福祉や福利についての協議よりも、経済が取り上げられていました。
貿易や為替レート対策の不平等、財政危機の脅威。これらの問題が注目を集めるようになった結果、気候の変化や地球規模での生態、地球人口の半分が抱えている貧困問題への注目が少なくなりました。さらには、世界でも有力な政府・企業が占めている富や消費性向についてはいかなる注意も払われませんでした。
G20は経済成長によって問題を解決できると思っているようです。ですが、これは福利と、世界に多くある貧しい人々の生存を危機にさらし、さらに、地球の気候を変化させ生態系を破壊しています。これでは持続不可能な経済体制を加速させるだけです。迫りくる気候、エコロジー、エネルギーそして核の脅威。これらの問題は経済措置という対応だけではとても解決できません。そもそも分離して考えることが可能な問題ではないのです。
私たちの子どもや孫の世代が平和に、また命を支えてくれる生態系とともに暮らせるように。そのために社会全体の構造改革が必要です。私たちは生態学的、そしてエネルギー的に持続可能であるように社会を組みなおす必要があります。また、地球温暖化、核兵器という二つの大きな人類の存続に対する脅威について真剣に取り組まなければなりません。
このままでは、地球温暖化によって引き起こされる気候変動は人類の力では維持できない深刻な状況を引き起こします。ここから生まれる問題は容赦なく、この先100年で大災害、蔓延する伝染病、人同士の争い、いまだかつて人類が行わなかったレベルでの人口移動(気候変動から逃れるために何百万、何十億の人々が大陸移動を行うことになるでしょう)などが起こるでしょう。その結果として戦争が引き起こされ、人類の80%以上が滅びると予想されます。イギリスの科学者であり環境学者であるジェームズ・ラブロックのレポートは人々の目を覚まさせ、緊急の行動を促すものなのです。
環境問題と同じく、核兵器の廃絶も今となっては願望ですまされるような問題ではありません。人類の存続に関わる問題なのです。核兵器の問題がある限り、平和な世界の実現は不可能だと言えます。あらゆる状況下での核兵器の製造と使用が禁止される核兵器禁止条約の成立は緊急の問題です。全生命を滅ぼすような大量な核保有に対する恐怖。この恐怖に人類が気づけば、民主主義において禁止条約を成立させることは十分可能です。そして、気づきはすでに始まっているのです。5大核保有国を含む21カ国において、世論調査によると国民の76%が全ての核兵器を禁じる条約の交渉を支持する、という結果が出ています。
とはいえ、抵抗勢力は以前強く存在します。核兵器は力であり、政府は力の源泉としての核を手放したくはないのでしょう。軍や関連した産業は市民に恐怖を押し付け、核保有の正当性を主張しています。主要メディアはこの問題について見て見ぬふりをしています。これでは、常に身に付きまとう核の脅威、ダモクレスの剣のようなこの脅威を打ち消すことは難しいのです。
オルタナティブな哲学(An Alternative Philosphy)
意識的なリーダーシップ(A Conscious Leadership)
この地球の文明が存続するために、もはや無駄にできる時間は残されていません。聡明で賢明な指導者を選択することは人類の責任なのです。また、適切なグローバル原則の尊重により、社会構造の生存性を未来へと保ち、前進させていくことは指導者の責任です。
今日、社会のあらゆる階層において、決定権を持つ人々にリーダーシップの自覚が求められています。国家の政治リーダーたちは反対勢力をも協働に導く力が必要です。すでに起こっている変化へ舵取りするために、人類の内的な可能性を外的な課題に向かわせなければいけません。つまり、心理学的、生物学的、社会的、文化的、そして環境的な要因を考慮に入れた総合的な解決に向けての能力を育てることが必要なのです。問題に協同で取り組むことを可能にするための、文化的で、行動的、社会的、情緒的な知性を含む新しい能力が必要です。
人類は新しい方向に向けて協同で取り組むための努力ができます。地球規模での企業システムはブレイクスルーを創りだすことができます。ガバナンスに対する新しいアプローチはあらゆる社会から、多数の参加者を巻き込むことができます。ビジネスというものは人がいてはじめて意味を持ち、世界の文化を繁栄への新しい段階へと進めることができるのです。意識的なリーダーシップを通じて、個人と世界のニーズを密接につなげることが可能になります。
「この病める世界において、豊かでいるためには何が必要なのだろうか?」先進国のリーダーたちはこの重要な質問に答えられるのでしょうか。G20のリーダーたちは枯渇したこの地球を消費し、自分たちの富を増やすことを優先するのではなく、続く次の世代へ住みよい地球を残すことに焦点を当てるべきなのです。経済は、あらゆるレベルにおいて平和で公平で持続可能で健全である必要があります。世界中が精神的に健全であることで、人類は団結しバランスの取れた生態系を取り戻すことができ、世界規模の問題を根絶し、そして軍事的侵略を抑止できるのです。
グローバルな思考だけが、問題を終わらせることができますが、延々と続く国家主義と部族主義がその考え方に歯止めをかけています。ですが、たとえ私たちが一つの種族でないとしても、同じ地球に住んでいるということは変わりがありません。この地球が死んでしまうのは時間の問題です。この事実に気がついたとき、それは世界の回復のためのチャンスでもあるのです。たとえば、人類は徹底的に枯渇した世界で生き延びることはできるかもしれません。ただし、そのような世界では「人として」生きることはできないのです。
新しい意識(A New Consciousness)
人類は「どこへ進むべきか」を知るために、今まで知っていたすべてのことを一度捨てる必要があります。アインシュタインが「ある問題を引き起こしたのと同じマインドセットのままで、その問題を解決することはできない」と言っていましたが、新しい意識のみが問題解決を可能にするのです。つまり、人間性のすべてにおいて新しい意識の誕生が必要なのです。
人類に影響する多くの脅威はすでに現実化しています。それだけでなく、さらなる脅威も訪れようとしています。すべての脅威は共通の問題を持っています。それはすなわち「惑星意識」の欠如です。人類は自分たちと生態系の両方をまとめて見るという視点を欠いています。民主主義の中では、多数派がルールを決め、決定します。惑星意識を持った人はまだまだ少数派なのです。
人類は連帯感に基づいて、変化に向かい適応するための協力が必要だと認識しなければいけません。それが持続可能で平和な世界への基本的な前提条件です。
経済や金融の領域だけでもなく、環境、技術、教育、情報公開、文化の交流などすべてにおいて協調の重要性について気づくこと、そして活気づける意識が必要です。地球上すべての人々との相互関係、一体性、運命についての共通認識について明確に意味をとらえていかなくてはならないのです。
G20の指導者たちは、狭い意識レベルでのコミュニケーションの故に、古くから続く問題を終わらせることができずにいます。環境に対する感謝の欠如、動物や惑星の生活、自然世界を搾取するような扱い。そして人間、文化、国家間での差別。この3つの差別は指導者たちの考え方だけから生まれているのではなく、何十億もの人類ひとりひとりの意識からも生じているのです。リーダーシップの役割があろうとなかろうと、意識を高め、それによって人間社会の未来と地球を守るという責任を取ろうとする地球市民の努力をサポートしなければなりません。
パブリックセクターのリ・オリエーテーション(Re-Orientation in the Public Sector)
『成長の限界』は1972年の発表以来、世界中で多くの出来事や動きに警鐘を鳴らしました。ですが、それでも地球への状況は良い方向には変わっていかなかったのです。国連やG20のような権威のある多くの組織が変化を生みだし、NGOや市民グループがそれを実行していきました。ただ、これらのアクションはいまだ効果的ではありませんでした。
惑星意識を広げ、共有するためにも具体的なアクションプランが、宇宙船地球号の乗客である人類には今すぐに必要なのです。 民族国家が自分たちの経済の「回復」「安定の継続」「バランスの取れた成長」を求めるという時代遅れの考え方を捨てなければいけません。持続不可能なシステムを活性化しようとするのではなく、現在のシステムの徹底的な転換が必要なのです。
政府やNGO、ブレイクスルー、つながりを伝播する市民社会。この間にある協力関係に基づく新しい社会のシステムが必要です。それは創造的で、全体的な変化を起こすことのできる社会的相乗効果と協力を高めるという新しい機能を持ちます。現在では、インターネットを使うことで、入念に調査することができ、世界や各国そして地域社会ごとに起こっている出来事のつながりを広めることができます。
2009年12月コペンハーゲン会議は、政府組織が国家や共同体の利益を超越し危機的な地球問題を客観的に扱うことは不可能であることが示されるという大失敗に終わりました。世界的な危機は人間精神の包括的システムの危機である、ということが理解されていなかったことがこの悲劇を引き起こしました。人間の精神性を無視し、経済のためにあらゆるものを犠牲にし続けるのならば、世界はブレイクダウンへと向かって負のスパイラルに陥ってしまいます。
G20はこの視点を変えることはないでしょう。人類は精神性が意思決定の問題において優先されるという時代にいます。世界のリーダーたちは、意思決定のプロセスが経済や政治よりも精神性によってなされるという原則にコミットすべきです。そしてリーダーたちは、惑星がひとつのシステムであると認識し、世界の利益についての意思決定は人類の未来を犠牲しないものにしなければならないのです。
人生に対する深い意義、状況、周囲の環境に依存しない内的な喜び、他者への配慮や思いやり、そういったことへの発見に対して幅広いサポートを行うのはリーダーにとっての原理原則です。調和と共同体を大切にし、お互いが自由に生きていくことのできる世界。欲望や恐怖ではなく、知恵や思いやりによる統治がなされる世界を共に創っていくことが必要なのです。
政府は精神性についての概念全体が、グローバル社会という文脈の中で再定義される必要があるかどうか、を検討しなければなりません。精神性は人種、宗教、性別、国籍の壁を超えるグローバルコミュニティに最も適した概念です。人類はグローバリゼーションの挑戦と危機に対処できるようにするための確かな普遍的概念を考え直す必要があります。これらの概念の多くは人間らしさの中にあります。こういった概念を現代の文脈に沿って再確認する必要があります。
緊急に整備しなければいけない制度(Urgent Institutional Steps)
各国は、このチャレンジに一丸となって動かなければいけません。すべてのエリアにおいて実行しなければいけないことは二つあります。ミレニアム開発目標に向けての事務局を設立すること、目標実現へ向けての進捗状況を確認しあえるシステムを確立するということです。資本は結果ではなく、ゴールへ向かっての手段です。すべての権利は守らなければいけません。個人の権利、生態系が持つ権利をないがしろにしてはいけないのです。命はそれだけで、神聖なもので、大切にしなければいけないのです。
私たちは、富の尺度のすべてのレベルにおける人間の興味だけではない、環境と人々の幸福に照らした適切な尺度を確立しなければいけません。国家は、普遍的な考え、自然との調和に基づいた価値、州やグループで共有された関心、法律、そのすべてとバランスを取らなくてはいけません。
今、世界中のあらゆる国でSocial Harmony Index を作る必要があると考えます。Social Harmony Indexは、環境について、兵器について、人権について、誠実さについて、自由について、民主主義について、情報の自由について、政府公務について、治安について、豊かさと貧しさのギャップについて、都市と田舎について、教育の普及について、国家の自然環境状態について、創造力について、社会保障についてなど、その他いろいろな全てのものを考慮し数値化されます。Social Harmony Index(SHI)を集めることで、世界中のあらゆる社会の評価、そしてその格付けを知ることができます。そして、すべての国のSHIをまとめることで、World Social Harmony Index(WSHI)を知ることができ、これは年々の変化のパターンを教えてくれます。これらのリストは、毎年、国連もしくはG-20によって評価、とりまとめられ再発行される必要があります。WSHI は世論として政府に影響を与え、各国の開発の基準になります。あらゆる国は今、SHIに注目し、GDPによる競争を弱めるべきなのです。 人々の利益は健康的な生態系、堅実な財政、そして盛んな地域社会によって保たれます。つまり、資本市場の枠組みをもう一度組み直し、再び信頼を得るということが一番の優先事項なのです。
緊急に実行しなければいけない事項:
これらのための全体システムアプローチは、人類の歴史の中で最も重要で時間がかかります。これから先の数年に行われる決定事項が、今後人類にとって成長するか否かの分かれ道です。138億年間にわたる人類の命がこの一世紀、ないしは二世紀で決まるのです。世界がいま必要としているのは社会にとって平和で情熱的で効果的な働きかけです。そして、必要なのは平和で情熱的で有能な人々、つまり求める社会に適した人々です。リセットボタンはもう押されました。人類はこれ以上今までと同じような贅沢を続けることはできません。今、地球のために動かなければなりません。かつてなかった社会的な大きな変化に取り組む情熱が必要なのです。
今までの脅威(人類による自然に対しての敵意も含めて)の時代は終わり、人間らしさとその文化を尊重する新しい時代が訪れようとしています。この変化を乗り越えるために、全人類の可能性とあらゆる叡智が力を合わせる必要があります。
これは大変な変化です。世界を大きく変える曲がり角なのです。悲しいことに今、人類は文化から生まれた経済ではなく、経済学のおまけのような文化しかないという状況にいます。事実、人間が設計し、導入した経済とガバナンスシステムがどれだけ文化の創造を妨げているでしょうか。国家のリーダーが柔軟で協力的ではなく、古い考えのまま門番のように残っています。
「持続可能で平和な世界」という目標は、人類史上はじめて達成することができるものなのです。現在、多くの優秀な女性が意思決定の立場にいます。また、コミュニケーション技術の発達で遠いところにいる人たち同士がつながることが可能になっています。そうです、今なら人類は夢見た世界を現実にすることができるのです。
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翻訳協力 本WorldShift20宣言は、以下の方々のボランティア協力のもと、翻訳を頂きました。
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