私は今、旅をしている。
ひとり、長い長い航海を、ずっと続けている。
東の空をまだ見ていないが、
私は、
水平線から、少しづつ明けようとしている気配を感じている。
けれども、
今暫く、夜は明けないようだ。
天の星は、まだうっすらと見えている。
夜の帳が明ける、この奇跡的な、月と太陽が出逢う時の狭間。
この素晴らしい一瞬は、もうすぐ終わる。
そして、
もうすぐ始まる。
もうすぐ、太陽が私に素晴らしい瞬間を見せてくれるだろう。
けれども、海はまだ静かだ。
遠くからカモメの鳴き声が聞こえるようになるのも、もうちょっとだけ、先だろう。
この一瞬が、愛おしい。
地球と、私だけの時間。
小さな波の音と、小さな風の音が、
これから何かが始まるプロローグのように聞こえる。
帆が少したなびいている。
帆はやがて、風を大きくはらみ、
船を更なる先の航海へと押し出すだろう。
もうすぐ、この一瞬の時の狭間との別れの時が来るだろう。
だからこそ、
今、この一瞬がとても愛おしい。
だからこそ、愛おしい。
生きる限り、別れは必然。
そして、出逢う。
そう、出逢いすら、必然。
もうすぐ、夜明けが始まる。