「伝枝ひとり噺~池袋の夜~」ご来場ありがとうございました!
・目黒の秋刀魚
真打になって間もないころ米福兄さんに教えていただいた。
季節ものなのでこの時期以外やるチャンスがない。
有名な話だが、海なし県でも新鮮な刺身が食べられる現代ではどうもイマイチサゲがピンと来ないので、当時の目黒の辺鄙さと殿様のキャラが立つように演出してみた。
伊豆の山中の敬老会でやった時、やはりサゲでの反応がイマイチだったのでわかりやすく解説を加えてみたのがヒントになった。
「アジの開きはこの辺りではみんなよく食べますが、昔、車がないころは三津(山越えも迂回もせずに伊豆中央部に入れる海沿いの地域)あたりから行商人が徒歩で運んできたと思うんです。そのアジをこのあたりで初めて食べた人がよそでぐずぐずになったアジを食べて『これはどこのアジだ』『沼津産です』『沼津?だめだめ、アジは天城だよ』…」
おじいさんおばあさんたち大喜び。
・四角いジャングルそば
時そばを改作したプロレス落語。
もともとあしたのジョーとストロングマシーンとアステカイザーのっ件しかなかったが、今回ボクシング感とプロレス感を大幅に増幅。
タイトルは梶原一騎先生をリスペクとしてのものだが、長いので短いタイトルがほしいなあ。
疲れる噺だ(笑)
・三井の大黒
二ツ目の終わりごろ南なん師匠に教えていただいた。
三代目三木助→先代柳橋→遊吉→南なんの流れのようです。
元は講談のネタで、三木助師匠は浪曲の二代目広沢菊春師匠からのような気がするが定かでない。
甚五郎ものの中では一番好きな噺。
二ツ目の頃の独演会で一回やってそれっきり、コロナの初年に独演会でやろうと思っていたら緊急事態宣言でぽしゃってそのままやらず、ようやくの再演でした。
好きな噺ならもっとやれよって話だが、難しいんですよこの噺。
相性が悪いのかこなれていないだけなのか。
大学生のころ、末廣亭の夜トリの先代柳橋師匠で聞いたのがとても印象深く、三木助師匠も南なん師匠もはじめからぽんしゅうが甚五郎だと紹介しているが、柳橋師匠に倣ってお客様も大工政五郎と一緒にぽんしゅうの正体に気づくという演出にしました。