もう桜も開花して暖かくなってきましたが、少し前のお話しで恐縮です。年度末は何かと忙しく、ブログをまとめる時間がありませんでした。
2月20、21日の2日間をかけて寒糊を煮ました。
修理や表装で使う糊は生麩(正麩)という小麦粉澱粉を煮たものです。糊はその都度煮て使います。寒糊とは、冬の一番寒いときに煮た生麩糊のことを言います。それを瓶に入れて数年~10年くらい寝かせます。寝かせた糊を古糊と言います。古糊は、掛軸や巻物などの巻いたり広げたりするような柔軟性を必要とする表装作品の裏打ちに使います。
長い間寝かせているので、もちろんカビが生じます。カビている部分を取って白っぽく残っている部分を使います。そのため、10年くらい経った糊の量は1/10くらいに減ってしまいます。とてもとても貴重な糊です。完成した古糊です。一瓶仕込んだものが、こんな量まで減りました。
完成した古糊。
糊は煮る直前まで、小麦粉澱粉を水に浸けて膨潤させておきます。ゲル状になっていて面白い感触です。水は精製水を使っています。
これを鍋で約30分ほどかけてかき回しながら煮ていきます。なかなか疲れる作業です。
糊を煮ています。ただひたすらかき回します。
出来上がりました。それを瓶に入れます。寒い時期に煮るのは熱々の糊が早く冷えるためです。
できあがった糊を瓶に移します。
紙で封をします。貼る糊は沢山あります。
封印して冷暗所で寝かせます。次にカビの除去のために開けるときは1年後です。近くに100年を超すお屋敷があり、台所の床下をお借りしています。大丈夫ですよ、臭いは漏れません。
以前の糊もチェックが済んだら封をします。
冷暗所で保存します。
年によってカビの生じ方、臭いなども異なり、数年経ってみなければ良い古糊になるか分かりませんね。
今年の寒糊も、良い古糊になりますように。
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