☢Caution!!☢
キャラ崩壊アリです完全な創作です短いです
それでもいいよ!という方のみどうぞ
うだるような夏。
水の中が一番心地よくなって、きゅうりが一番美味しくなる季節。
いつもみたいに川に流れてきたものを眺めながら、水と戯れていた。
いつもどおりの、今までどおりの夏。
「…あの。」
いつもどおりの風景に、いつもどおりじゃない人間が立っていた。
「…なに?」
「ここはどこか教えてもらえないかな?」
「…幻想郷。の川だけど。」
「…げんそうきょう……????」
その人間は、どう見てもこの世界の人間じゃなくて。
「なんで迷い込んでんの?」
「迷い込んだと言われても。なんか気付いたら居たんだ。ケータイも繋がらないし…」
「ケータイ?」
そう聞くとその人間は見慣れない、手に乗るサイズの機会を取り出した。
「ここにはケータイがないのかい?」
「…しらない、みたことない。」
とは言いつつ、機会に惹かれてしまうのは自分の性というやつで。
「ケータイに興味ある?」
「…別に。…人間はこれで何をするんだ」
「なに、と言われても。電話したり、メールしたり…」
「でんわ?めーる?」
「えぇっと…。遠くにいる人と会話したり、文章を送ったりするんだ」
「どうやって?」
「どう、と言われても…」
迷い込んできた人間はこいつが初めてではない。でも、なんとなく、この人間に興味がわいた。
「人間、名前は。」
「え、あ。遼だよ。佐藤遼。」
「さとうりょう。…めいゆー。」
「盟友?」
「めいゆー。仲良くなったから、遼はめいゆー。」
「そうかい。嬉しいね。…君の名前は?」
「…河城にとり」
「にとりちゃんか。いい名前だ。」
そういって、涼は僕の頭を撫でた。
なんだかくすぐったいような、心地いいような、よくわからない感覚。
「さっきから俺のこと人間って呼んでたけど、にとりちゃんh「にとりでいい。」
「お、おう、にとりは、人間じゃないのか?」
「なんだと思う?」
「え、そんなこと言われてもな…。」
困って笑う顔が、なんだかおかしくて、気付いたら自分も笑ってた。
遼は、とりあえず巫女のところに連れて行くことにした。興味は湧いたけど、やっぱりもどるべきだと思った。
神社に送ってから、涼から見せてもらったケータイ、とやらを思い出して作ってみる。
遠くにいても話せたり、文章を送れるらしい。
これを持ってたら…。というところまで考えて、自分の思考のおかしさに顔が赤くなった。
翌日。うまくいったら、涼はもう自分の世界に帰っているはずだ。
が。
「やあ、にとり。」
「…めいゆー?なんで、ここにいる。」
「元の世界に帰るのは、もうちょっとここを満喫してからのほうがいいかなと思ってな。」
「そうかい?幻想郷はいいところだから、ずっといたら戻りたくなくなるよ。」
「そうなのか。まぁ、もうあんまり戻りたくないからなー。」
遼はそう言って川べりに腰を下ろした。
「にとりはここで何してるの?」
「僕は河童だからね。この近くに家があって、普段はずっとここに居るよ」
「そうかい。じゃあ、明日もここに来たら会えるかい?」
「…ん。僕はいると思うよ。」
「そうかい。」
そんな会話。でも、明日も会いに来てくれるかもと思うと不思議と心が踊った。
「まぁ、俺もしばらく人里の方で暮らしてるからさ。たまには遊びに来てよ。」
「行っていいのかい?」
「もちろん。」
そう話して、僕は遼に自分で作ったケータイを見せた。
「あれ、これは?」
「ケータイ。作った」
「作ったのか!?すごいな!」
遼は僕の技術を絶賛した。河童にとってこんなこと、造作もないのに。
「つながったりしないかなー。あぁでも、電話番号わからないか…。」
涼はブツブツ言いながら、僕が作った携帯を眺めている。
お、と小さなつぶやきが聞こえる。次いで、遼が僕にケータイを渡す。
「耳に当ててみて。」
言われた通りに耳に当てて、そこから流れる音を聞いていた。
『もしもし、どうかな。聞こえる?』
その小さな機械からは、間違いなく遼の声が聞こえた。
『う、うん。聞こえる。なにこれ?』
『これが電話。』
遼はその機械を器用に操作して、僕にもそれを教えてくれて。
これがあれば俺が人里にいてにとりがここにいても、いつでも話せるな。
と言って笑った。
そうして、僕らはでんわでお互いのことをたくさん話した。
向こうの世界のこと、こっちの世界のこと。むこうでの遼の生活…。
たくさんのことを聞いた。遼のことをいくら聞いても、彼に対する興味は尽きなかった。
「にとり、それは恋というやつですよ」
遼が来てからもう2週間が過ぎようとしていた。
暑い夏はさらに暑さを増していた。けれども、水平線の向こうで綺麗に広がる夕闇が、ここから夏の終わりに向かっていく寂しさを写しこんでいた。
「恋?」
「恋、です。」
雛がそう言ってくる。コイ…恋。
「…よく、わからないな。」
「きっとその人間もにとりのことが好きですよ。」
好き、という単語で僕の顔は真っ赤に熱くなって。
「~~~~~、そうかな?」
「そうです。」
そう言うと雛は優しく微笑んだ。
「でも、にとり。」
と思ったのも束の間で。雛は真剣な眼差しを僕に向ける。
「彼は人間で、貴方は妖怪です。もともと住んでいた世界も違います。時間も違います。」
「どういうこと?」
「…もし、この先彼と一緒にいることを望んでも、その時間は確実に短いものです。…悲しい別れが、確実にやってきます。」
頭ではわかってることだった。
ボクと彼は違う。違うけれど、それでも…。
「…うん。わかってる。わかってるけど、でも遼と一緒にいたいよ。」
「へぇ、遼さんというのですね。」
無意識に口をついたその名前に、僕はまた赤面した。
くすくす、と雛が笑う。
「思っていたよりにとりが本気だったようで、安心しました。何かあった時は、きっと力になりますからね。」
そう残して、雛は夕闇に消えていった。
翌日からも、平穏な日々が続いた。
僕は遼から人里のことを聞いて、遼は僕から妖怪たちのことを聞いていた。
時々一緒に人里で甘いものを食べながら話す。
僕は遼の知らないことを知っていて、遼は僕の知らないことを知っていた。
僕は遼のことを知らなかったし、遼は僕のことを知らなかった。
だから、遼のことを知ろうとした。たくさん知りたかった。全てを知りたかった。
遼も僕のことを知りたがった。同じ気持ちだったかどうかはわからない。それでも、聞いてくれることが嬉しかった。
「なぁ、にとり」
「なんだい、めいゆー。」
「ちょっと、話があるんだ。明日、俺の家に来れないかな?」
「明日?今じゃダメなのかい?」
「明日がいい。まだ準備が整ってないんだ。」
「…?」
そう言って、明日に会う約束を取り付け、僕らは別れた。
話ってなんだろう。もしかして、元の世界に戻る気になったのかな。
本当にそうだったらどうしよう。嫌だと駄々をこねようか。
でもそうしたら、遼に迷惑をかける。きっと、困った顔をするだろう。
いろいろなことが浮かんでは消えて、気が気じゃなくて。今までの生活が消えてしまうのかと、不安でしょうがなくて。
早く明日になって欲しいという気持ちと、ひょっとして終わるなら、この時間が過ぎないで欲しいという気持ちで、僕は切なくなった。
翌日。考え事をしていたら、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
夜に考えたことが頭をよぎる。少し重い体を起こして、遼の家に向かった。
家に着くと、いつもどおりの笑顔で出迎えてくれた。
「やあ、いらっしゃい。」
その笑顔で、少しの不安が吹き飛んだ気がした。
家の中に入ると、少し前に来た時よりも片付いていて、なんというか、引っ越し前の部屋のようになっていて。
「話がある、って言ったよな。」
遼は笑顔のまま切り出した。
「う、うん…。」
不安が隠しきれなくて、思わず俯いた。
「なぁ、にとり、…俺のこと、好きか?」
え、と顔を上げる。いつもどおりの、少し困っているような笑顔がそこにある。
「俺は、にとりのことが好きだよ。いつも一緒にいて楽しい。ずっと一緒にいたいと思う。」
「けれど、俺は人でにとりは妖怪だ。きっと俺の何倍もの時間をにとりは生きるんだと思う。」
「…だけど。俺の気持ちは変えられないから…。」
「もし、君の長い人生のほんの少しの時間を、共に生きてくれるなら、」
「一緒に暮らしてくれないか。にとり。」
遼の口から出てくる言葉の一つ一つを、僕はゆっくり聞いていて。
理解するのに少しだけ時間がかかった。だって、あまりに僕の望み通りだったから。
「…本当に、いいの?僕は妖怪なんだよ。めいゆー。」
「それでもいいって思わなかったら、こんなこと言わないぜ?」
「だ、だって、食べちゃうかもしれないよ。めいゆーのこと」
「にとりがそんなやつじゃないことぐらい、知ってるよ。」
「ほんとに、ほんとにいいの…?」
「ちゃんと、俺の本音だよ。」
まだ疑う僕を、遼は慰めてくれて、諭してくれて。
「僕でいいなら…本当に、僕でいいなら、…よろしくお願いします、めいゆー。」
「そのめいゆーって呼ぶの、もう無しな。」
「うえ、あ。」
「ちゃんと名前で呼んで欲しいですねー?」
「え、あ、その…、り、遼…さん」
本人の前で本人の名前を呼ぶのは、なんだかくすぐったかった。
「ふふ、ありがとう、にとり。」
僕は妖怪だ。きっと、遼は僕よりも全然生きてくれなくて、きっと、悲しい別れはすぐに来てしまう。
けれど、僕が生きるほんの少しの時間でも、彼と出会えたこの偶然は、きっとかけがえのないものになるんだろう。
未来の事は、わからないけれど。
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はい、SS書いてみましたとさ。
友人がにとり好きなのでモチーフにさせていただきました。てへぺろ
にとりに赤い顔させたかったんです…。

