(2023/2/5)

 クロード・ヴィアラ「無題(ばら色)」(1974)。
 クロード・ヴィアラを知ったのは、2000年・東京都現代美術館の「シュポール/シュルファスの時代」展だった。シュポール/シュルファスは1960年代末フランスの美術運動。英語にするとsupport/surfaceで、表面と支持体を意味する。キャンバスの上に描かれたものが作品という従来の絵画ではなく、また、ミニマルアートのように色と形だけに還元するのでもなく、色と形を定着する支持体(=シュポール。画布、木枠など)との関係に目を向けた。
 パレットのような、同じ形が繰り返し描かれている。画布に折り目が着いていて、壁に貼ってある。画布に絵を描いたのではなく、色のついた画布そのものが、作品である。




 キャンバスの上に描くのではなくキャンバスそのものを作品とする、という傾向の先駆者が、ルーチョ・フォンタナであった。フラットに1色に塗ったキャンバスに切れ目を入れる。簡単に作れそうな作品だが、歴史的には重要。
 ルーチョ・フォンターナ「空間概念 期待」(1961)


 大竹伸朗展に関連してか、80年代のニューペインティング時代を中心に絵画が多い。

 シルヴィオ・メルリーノ「フラワーズ・ハンター」(1989)。聞いたことのない画家だ。大きな花のような形は、ジャケットが貼ってある。ものを貼り付けるところが、80年代っぽい。(ジュリアン・シュナーベル(割れた皿を貼る)とかキーファーとか)。
 森を描いていて、ジャケットの上にも絵が続いている。ジャケットの中心には意味ありげに陰陽のマークが赤く光る。森の中に光る虎が駆けている。変な絵だ。

 




 中村一美「方法を持つ者 IV」 (1991-92)。感情の赴くままに激しい筆致で描いているように見えるが違う。この人は同じ形を、色や描き方を変えて繰り返し繰り返し描く。初めに形があって、それに従って考えて描いている。(ということを2014年の中村一美展(国立新美術館)で知った)。このYの形も、80年代から90年代まで繰り返し描かれたもの。桑の木の形がもとになっている。

 



 辰野登恵子「Work 86-P-1」。抽象画だが何か現実のものを描いていそうな。

 



 剣持和夫「無題」(1989)。彫刻家だと思っていたが絵も描くのか。写真の上に油彩で描いているようだ。ちょっとキーファーを思わせる。



 鷲見和紀郎「Work M-5 対岸」(1986)。ブロンズ彫刻だが平面っぽくもある。

 

 

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