草間彌生 私のかいたことばに あなたのナミダをながしてほしい オオタファインアーツ

(2021/7/10)


 草間彌生は昔の作品の方が面白いと思っていたのだが、2017年の国立新美術館の個展を見たときに大量の新作絵画「わが永遠の魂」に圧倒されて、やっぱり草間彌生はすごいと思った。今回オオタファインアーツの個展では、その「わが永遠の魂」シリーズの2018〜2021年の作品33点が展示される。
 「わが永遠の魂」は草間が80歳になった2009年から始まったシリーズで、2017年には500点を作成したということだったが、今では800点に増えているという。

 ギャラリーの壁に上下2段でびっしりと絵画が展示されている。

 


 新美術館のときの作品が1.9m×1.9mだったのに対して、今回は1m×1m(一部は1.3m×1.3m)なのでサイズが小さい。(絵が小さいとは感じなかった)。



 


 細胞のようなイメージ。横顔の反復。おびただしい数の目。ネットペインティングの再来。子供みたいな絵の人物。ただ、これらはいずれも2017年のにもあった要素だ。当時からさらに変化したと感じるものはなかった。
 92歳になった今でも自分で(工房でなく)大量の絵を作り続けているのがすごい。

 

 


 時に詩的なタイトルが付いている。タイトルと合わせて絵を見るとなるほどと思うものがある。おもむくままに描いて、そのイメージから後付けでタイトルをつけるのが多いのではないかと思う。

 子供の絵みたいな女の子の周りにモヤモヤした線の見える絵が印象に残った。タイトルはわりと仰々しい。「孤独の中を美しく生き抜いてきた私の姿を見て」。死を意識して人生を振り返っているかのようなタイトルが多い。


 「天国にいた時、私はすばらしい魂を集めて涙を流した」。この丸いのが魂か。ひとつ顔があるのがかわいい。


 床に銀色の彫刻がありたくさんの絵の色が写り込んでいる。


 少し大きい(1.3m)ものは、2021年の新作。

 細胞のような絵画に、ますます死を意識したようなタイトル。
 「何をおろかにもかくほどに永き道のりを」。



 「死にゆく日は栄光の大地で 愛と命のすべてをもってたたかってゆこう」。



 新美術館のときのように圧倒される感じはなかったが、でも草間の新作が見られてよかった。

 コロナのため事前予約制。

 

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