常連になったバーで、なぜか妙〜に気に入られていたベレー帽の私。

そのオーナーがリンダ。中国人女性で、当時アラサー。

フランス留学帰りで、もう一人の女性とおしゃれに共同オープンしたらしい。

 

とにかく スタイルが反則レベル。

黒髪ロン毛がサラッと風に揺れるだけで、

 

「……え、ここ上海だけど?映画のワンシーンなの?」

 

と2回は見返してしまう。

チャーリーズ・エンジェルのルーシー・リューの“ワイルド版”みたいな存在感。

店に立ってるだけで“背景が高画質”になる女。

 

そんなリンダが、暇を持て余す私を毎週どこかに連れ出してくれた。

大都市・上海のキラキラ観光地とか、プールとか、食べ歩きとか。。

 

気づけば私は 

駐在妻なのに毎日サマーキャンプの子ども

 みたいな生活うさぎのぬいぐるみ

 

そしてある日、いつものようにバーに入ると、窓際にどーんと看板。

 

「日本語教師 求」

 

私「へぇ〜近くに語学学校あるんだねぇ〜」

と完全に他人事で言った瞬間。

 

リンダ、ワインをくるくる回しながら、いきなり爆弾投下。

 

「いいじゃない。暇なら働きなよ。ここで。」

 

……軽っ!!

その“ノリで人生決めるタイプの言い方”やめて?

 

私「いやいやいや、私、日本語教師の資格ないんだけど!」

と正しいツッコミを入れたら、リンダが即答。

 

「大丈夫、大丈夫。あなた、日本人でしょ?それで十分!」

 

ちょっと待て。

その理論だと私はもう明日から相撲解説とかもできることになる。

 

さらに追い打ち。

 

「だって私、フランスで中国語教えてたわよ。中国語できるから。」

 

え、そういう仕組み?

世界ってそんなルールで動いてたっけ?

 

でもリンダは超真剣で、その目がなんかキラキラしてて、

その謎の説得力に、私もなぜかうっかり納得しかけていた。

 

「……日本人なら大丈夫!」

 

という 根拠が“ほぼ国籍”だけの自信が、なぜか胸に響いたのだ。

 

(つづく)