357数秘カードから紡ぐストーリー


【それでもセンターに】



わたしはダンサー。1人で何役もやったりもしてるの。舞台裏はいつも戦場だけど舞台の上では余裕の表情を見せる。だってわたしはプロだからね。これが最後の舞台になってもいいてくらい毎回全力で踊ってる。舞台の上で踊ることが楽しくてこのまま舞台の上で死ねたら幸せて思ってる。




だけど長年身体を酷使してきたから、あちこち身体がいうことをきいてくれなくなってきちゃったの。楽しかったダンスが楽しめなくなってしまった。わたしはしかたなくおもいきってダンスを少し休むことにしたの。毎日、踊ることしか考えてなかったから急に何をしたらいいかわからなくなってしまったの。



わたしからダンスをとったら、何にも残らないんだ。来る日も来る日も躍り続けてきたけどわたしにしか踊れないダンスなんてなかった。
わたしがいなくなれば誰かがわたしの代わりに踊る。それだけだ。それだけのことなのに心の中がスースーする。わたしはこれから何を目標にどこへ行って何をすればいいのだろう。
気がついたら何日も出口の見えないトンネルを歩いていました。歩き疲れて座り込んだとき、ふと顔をあげてみたら少し先にキラキラした光のようなものが見えてきました。
「あれが出口かもしれない」
わたしは最後の力を振り絞ってトンネルをぬけました。




そこにはきれいな湖がありました。
そこには立て札がありました。
「入ると元気になる湖」
胡散臭いなあと思いながらも
わたしは恐る恐る湖にそっと足をつけてみました。しばらくすると痛かった足の痛みがなくなってきました。重かった身体も軽くなりました。
わたしはうれしくなってまた夢中で踊っていました。
「また踊れる。楽しい。誰もみてくれなくても
踊ることがこんなにわたしは好きなんだ。」
わたしはもう一度ダンスをやることにしました。




この前ね、わたしオーディションに合格したの。なんと主役に大抜擢。うれしさと不安とで胸が押しつぶされそう。センターに立ってみて気づいたの。
センターに立つって孤独なの。振りをわすれても誰かの真似をすることもできない。前に見えるのはお客様だけ。主役になるってセンターに立つってこんなに怖いんだ。わたしの誰も代わりはいない。怖くて不安でたまらなかったけどその気持ちをふっきるように毎日踊り続けたの。
仲間が言ってくれる。
「心配しなくても大丈夫。なにかあったらカバーするから。のびのびと自分のダンスを踊って。」そうか。自分から見えなくても仲間の息遣いは聞こえる。そばでいつも仲間が見守ってくれている。
本番の幕がもうすぐあがる。
わたしは深呼吸して舞台の幕が少しずつあがるのを待っている。
どんな舞台になるかわからないけど何があっても自分らしく最後まで踊りきろう。この舞台を楽しもうと心に誓いました。



なんとなくこの名曲を…