花子さんとのメールのやり取りも減って、自然消滅してしまいそうな雰囲気を感じていたとき、

花子さんから来たメールは、カラオケのお誘いだった。

こんばんはニコニコ
お久しぶりです。

◯日にカラオケをやろうと思いますが参加しませんか?
皆さん、歌が好きなモラルの良い人達の集まりですよ。

俺が花子さんにメールで、会いたいです。と伝えたのは、2人で会いたいという意味だったけど、花子さんの返事は、2人ではなくて、花子さんのカラオケグループへのお誘いだった。

花子さんから誘ってくれるとは思っていなかったので、嬉しかった。それから、今のところはモラルのある人なのか俺は。
2人で会うわけではなかったけど、それも正直ホッとする気持ちもあった。
花子さんはやっぱりまだ高嶺の花子さんであって、2人きりで会うことをイメージしても、緊張の方が勝ってしまって、楽しいイメージをすることができなかったから。
それも、メールが続かなかった理由だと思う。

花子さんのカラオケグループに誘ってもらえたのは、2人の距離感としてはちょうどいいのかもしれない。

お誘いありがとうございますニコニコ
ぜひ参加したいです。

と返事をした。

メールには、こんな一文もあった。
メンバーが歌ってるときのおしゃべり禁止です。個人的人脈作り、ビジネス勧誘も禁止です

花子さんはこのカラオケグループの幹事さんで、服装も髪型もちゃんとしてたけど、ルールもちゃんとしてる!
でも、長めのメールを全部読むと、参加してる人が嫌な思いをすることがないように、楽しめるようにルールを決めているんだなというのがわかる。

それからこんなことも。
わたしとはもし聞かれたら、とあるカラオケの集まりでと適当な感じでお願いします

カラオケ街コンに参加したことは言わないで欲しいと。
花子さんにも事情があるのね。
わかるなぁ(笑)


花子さんのカラオケグループに誘われた俺にはやらなきゃいけない宿題があった。

花子さんから課された宿題。
それは、『打上花火』を歌えるようになること。

いや、そんな宿題なんて課されてない。俺は自分への宿題で、打上花火が歌えるよう、カラオケの練習をした。

花子さんにデュエットに誘われたのに、歌えなかった打上花火。

通勤の車の中で打上花火をリピートでかけて、カラオケの練習をした。
こういうところだよね。
曲のリピートの合間で静かになると冷静になって、カラオケの練習してる自分にキモってなる。
だけど、宿題だと思って健気に練習しちゃうトトロさんのこういうところだよね!
ピュアで可愛げのある感じは嫌いじゃない。(自己愛強め!)


カラオケの当日。
今回は出会い目的ではなくて、カラオケを楽しもうという気持ちだった。
花子さんへの気持ちもまだよくわからないけど、とりあえず、頼まれてもいない宿題を一緒にやり遂げないと(笑)
また会えるのは楽しみだった。