お互いに共通の趣味であるカラオケの話で盛り上がったけど、まだ名前も知らない。
「僕の名前ですけど、トトロっていいます。」
このときは下の名前で伝えた。
出会いの場で親しくなりたいと思った人には下の名前を伝えるようにしている。
「私は、花子です。」
花子さんがなぜ花子さんかと言うと、
『高嶺の花子さん』という曲のイメージと似ているなと思ったから。
花子さんを一言で言うと、ちゃんとしてる。むしろちゃんとしすぎてるようにも思った。
服装、髪型、メイク、それから佇まいが、街コンというカジュアルな雰囲気の中では少し浮いているくらいちゃんとしていた。
経験したことはないけど、お見合いの場で会っているのかと思うような花子さん。
見た目に惹かれたのかと言われたら、確かにそうなんだけど、
でも、俺はもっと飾らない感じの人の方が好きだと思う。
艶のあるサラサラした髪も素敵だけど、そんなに綺麗な髪には触れてはいけないような気がしてくる。
ちょっとアホ毛が出てたって、それもいいなと思うし。
ちゃんとしたメイクも綺麗だけど、自然な感じのメイクの方が好きだし、
上手く表現できないけど、素敵なワンピースを着ていて、身体を動かしたときにワンピースから現れる身体のラインが、特におしりが。
いや、これはただの俺の性癖(笑)
そんな高嶺の花子さんのような人はどちらかというとタイプではないと思っていたんだけど、でも何か気になる。
話してみたら、見た目より親しみやすいと思った。
でも、自分とはつり合わないように感じて、少し気後れしてしまう。
そんな、『高嶺の花子さん』
この曲は、高嶺の花子さんに思いを寄せる男性の気持ちを歌っていて、自虐的だけどお茶目で、妄想的なところが自分の感覚と似ています(笑)
カラオケの歌の合間に、花子さんとお互いのことを話していたら、花子さんに2曲目の選曲が回ってきた。
「どうしようかな。何歌おうかな?
トトロさんは次何を歌いますか?」
「僕はもう、時間的に回ってこないかもしれないですね。」
「そっかぁ、もう1曲聞きたかったです。」
「そうですね。もう一曲くらい歌いたかったですね。」
嬉しいことを言ってくれるけど、これはお世辞かな?
カラオケの器械を操作しながら、何かを考えてるような様子の花子さん。
それから何かを思いついたように、
「トトロさん、デュエットしませんか?」
「デュエット、
いいですよ!」
「打上花火、歌えますか?」
花子さんは、俺とデュエットしたいというより、時間がないのを知って、一緒に歌えるようにデュエットに誘ってくれたんだと思う。
高嶺の花子さんというより、
気配りの花子さんに、ちょっと感動してしまった。