スポーツ指導の場での暴力・体罰を考える | 電撃ネットワーク ギュウゾウ ブログ『ギュウゾウ新聞』 Powered by アメブロ

スポーツ指導の場での暴力・体罰を考える

スポーツの指導中にある体罰に対して、いわゆる「結果」を残している指導者たちが揃いも揃ってコメントの歯切れが悪い。

それは「体罰の効果」を知っているからだと思う。
自分が体罰によって「成長した」感覚を持っているからだ。

桜宮高校の卒業生たちが「先生は間違っていない」と言うのも同様であろう。匿名でコメントしているから本音を言える。元日本代表クラスのコメンテーターは余波が怖くて言えないだけ。本音では体罰の効果はあると言いたいのだろう。体罰が練習の中に日常的にある中で学び結果を残した選手が指導者になっているからだ。

大相撲の世界で可愛がりと呼ばれた肉体と精神の限界まで追い込む指導法しかり、昔の大学応援団にあった思考停止まで型にはめ込むシゴキも同じ方向性の指導法・指導術だ。指導者の技術が不足し肉体的にも精神的にも事故が起こっている。

ところで、五輪、プロボクシング、相撲などで今もよく見られる試合前に背中をバンバン叩いたり、頬を張ったりするのは体罰?
気合を入れているのだし選手も容認しているから体罰ではない?
見た目だけではやっている事は同じだよね。

スキンタッチがある競技では叩くと言う行為に対して鈍感になりがちである。
そこにも落とし穴がある。

私の経験から言うと、体罰に人を伸ばす効力はある。
ただし、体罰を行使する指導者にそれを使いこなす力量が問われる。
体罰を受ける側にも受ける力量が必要でもあるし。

私は体罰を全面的に否定はしない。
しかし肯定もしない。
叩かずとも選手の精神的・肉体的の向上はあるからだ。
体罰は指導術の中の小さな一つすぎない。

この機会に徹底的に暴力を使った指導を無くそう。

その結果で日本のスポーツが弱くなったって良いじゃないか。

新しい指導術が必ずある。
それが出来てからまた強くなれば良い。


ただ、暴力・体罰がなくなっても「言葉によって傷つけられた」と言う告発は増えると思う。
体罰を使わない指導法を学んだ指導者が育つまでにはまだ時間がかかるからだ。
映画「愛と青春の旅立ち」のような指導法は暴力以上に暴力的に厳しい、指導者の力量も非常に高いレベルで必要だ。

やるべき事は徹底的に暴力を使った指導を無くす。
そして指導者の育成に力を注ぐことだ。




・・・・・・・・・・・

追記

>ある実業団の指導者は、選手が「集団告発に踏み切った背景にあるのは、指導陣らの金メダル至上主義」と指摘した。「指導陣の情熱も分かるが、実際に柔道を嫌いになって辞めたいという子も増えている。彼女たちが告発した一番の理由は、次の世代にそういう思いをさせたくないから」と話した。


スポーツという勝ち負けを争う競技とは別の、勝ち負けはおろか試合すらない武道の価値観も指導者は知っていて良いのではないかと思います。スポーツはどうしても相手に勝ちたいと思ってしまう運動なんです。勝利至上主義。それに対して自己鍛錬としての運動、立合いは調和を学ぶためという考え方もある。古流の型しかない武術にはこうした考え方も多い。

最後に、ちょっとズレるかもしれないがアマチュアとして運動をやる上での金言を。

「学生野球の本分は練習にある。日々の練習こそ精神を磨くたまものであり、試合はその付け足しにすぎない」(飛田穂洲)


・・・・・・・・・・

イギリス、フランス、アイルランド、オーストラリアでは平手で身体(頬は除く)を打つこと以外は法律で禁止。韓国では体罰において、道具を小・中学校では直径1cm程度、長さ50cm以下、高校では直径1.5cm程度、長さ60cm以下の直線型の木の棒だけ使うようにし、手足は使わないように指示。思ったより体罰は認められていたりする。

スパルタ教育で有名な古代ギリシアの都市国家スパルタは滅亡した。
(覇権を握り流入した戦利品が貧富の差を生み軍隊が弱体化した事も滅亡の理由という説もある)


・・・・・・・・・・・・

■柔道女子ロンドン代表ら15人、園田監督らの暴力告発

 昨年のロンドン五輪の柔道日本代表を含む国内女子トップ選手15人が、全日本柔道連盟(全柔連)指導陣から暴力やパワーハラスメントを受けてきたとして、昨年末に日本オリンピック委員会(JOC)に連名で告発していたことが29日、分かった。五輪前の強化合宿で女子代表の園田隆二監督(39)やコーチに、平手打ちや竹刀で殴打されるなど体罰に相当する過剰な指導を受けていたことが判明。国内トップレベルでも「勝利至上主義」による理不尽な暴行の実態が浮き彫りになった。

 史上最多となる38個のメダル獲得に沸いたロンドン五輪の陰で、柔道の女子代表勢らが理不尽な暴力指導を受けていたことが明らかになった。

 関係者によると、トップ選手たちが前代未聞といえる集団告発に踏み切ったのは昨年末。「女子日本代表チームにおける暴力及びパワハラについて」と題された文書をJOCに提出した。練習での平手打ちや竹刀での殴打や暴言、けがをしている選手への試合出場の強要があったことなどを訴え、全柔連に指導体制の刷新を求めているという。ある選手はスポーツ報知の取材に、暴行の実態を赤裸々に告白。「愛のムチとは程遠かった。みんなの前で(コーチらが選手を)ガツガツ殴ったり蹴ったりして、ひどかった。代表選考の実権を握っている人たちに逆らうと『五輪に行けなくなる』『切り捨てられる』と、みんな泣き寝入りしていた」と明かした。

 JOC幹部は29日、文書の提出があったことを認め、「アスリートファースト(選手第一)が基本。正確に事態を把握し、指導者への指導を徹底したい」と述べた。JOCに加盟する全柔連では、すでに倫理委員会で聞き取り調査を行い、園田監督やコーチら当事者も事実関係を大筋で認めていたという。園田監督は取材に対し「今までは自分の考えでやってきたが、修正する部分は修正していきたい」と話すにとどまり、進退には言及しなかった。

 「最低でも金、最高でも金」を掲げ、五輪でのメダルを量産してきた柔道界。ロンドンでは男子が史上初の金「0」に終わり、女子7階級では、57キロ級の松本薫(25)=フォーリーフジャパン=が唯一の金メダルを獲得したほかに銀(78キロ超級の杉本美香)と銅(63キロ級の上野順恵)が各1個。08年北京五輪(金2、銀1、銅2)の成績を大きく下回った。

 ある実業団の指導者は、選手が「集団告発に踏み切った背景にあるのは、指導陣らの金メダル至上主義」と指摘した。「指導陣の情熱も分かるが、実際に柔道を嫌いになって辞めたいという子も増えている。彼女たちが告発した一番の理由は、次の世代にそういう思いをさせたくないから」と話した。告発した15人がだれかは明らかになっていない。しかし、陰に隠れていた悲痛の叫びが表面化した今、柔道界はどう対処するのか。

(スポーツ報知)