■近藤勇 ② 墓参
新選組局長、近藤勇の墓所は、愛知県岡崎市、福島県会津若松市、京都府山中、そして実家がある東京都三鷹市などなど、諸説がたくさんある。
これは、東京の板橋で断首された首級が、京都まで運ばれ晒されたのちに、何者かが持ち去ってしまい行方不明になっているからだ。
それぞれの墓所に所以があり、墓石も建っている。
そこで、首級が眠る墓所の特定は研究家に任せるとして、今回は首から下が確実に埋葬されている、三鷹市の龍源寺へ偉人墓地の旅。
まずは、近藤が断首された地と言われる、板橋駅前の寿徳寺飛び地へ。
ここには二番隊組長の永倉新八が発起人となって建てた慰霊塔と近藤の石像がある。
そこに手を合わせて……と思ったら、改装中。
今年は4月23日に慰霊祭があるので、それに合わせて直しているのだろう(今の暦では5月なんだが)しかたない、防災ネットの隙間から南無南無。
敷地内の近藤石像が向いている方角を磁石で調べると東南東110度。浅草にあった吉原遊郭あたり。女好きだった近藤らしい方向を向いている。
余談だが、板橋駅前には、アイデアメニューを置く店がいっぱいあって楽しい。甘党だった近藤をイメージした『イサミあんみつ』に、近藤一派が暗殺した芹沢鴨から、鴨南蛮にセリがのっている『芹沢(鴨いり)そば』など。
板橋駅前寿徳寺飛び地にある近藤勇石板
さて、近藤生誕地の調布へ向かおう。西光寺には近藤勇の座像があるから墓参の前に寄り道をする。
地図で視線の先をたどると鎌倉大仏・大船観音があった。新選組ファンは、鎌倉大仏さんを観光する機会があったら、北を向いて「局長見てる~」と手を振ってください。
西光寺で銅像を見た後は、今日のお目当て龍源寺へ。
ここの門前にも近藤の銅像がある。これは、京都壬生寺、愛知法蔵寺、町田小島邸にある像と同じ型から作られた銅像である。マニアの間では、トミーズ雅さんに似ている事で有名な銅像だ。何度見てもホントそっくり、ガハハ。
方角は西北西280度。目線は府中競馬場を通り越して、幼少の頃に見ていたであろう富士山がある。銅像好きとしては、向いている方向に意味があって欲しい。願掛けをしたであろう霊峰富士を見ているなら納得だ。
近藤は宮川家の生まれで、剣の天分をかわれ近藤家の養子となった
龍源寺の苔むした近藤のお墓には、新選組ファンが添えたであろう千羽鶴の束があった。そして、般若心経を唱えるお爺さんの姿が。親族の方ですかと尋ねると「近藤が好きなんです」と答えてくれた。逆賊として首を刎ねられて140年、近藤は墓参者が途切れない人気者になった。
龍源寺の近くには、近藤を祭った神社が建つ。武士に憧れた男は武神になった。