田楽座日記 旅の空から♪

田楽座日記 旅の空から♪

本拠地がある伊那市富県から、全国に旅立つ田楽座のメンバー。西へ東へ今日は、どんな出会いがあったのかしら…。

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今週末3月17.18日に迫ってまいりました、信濃千秋楽、長野市公演!!

 

千秋楽直前の今回は、

まつり芸能楽信濃の演出・中山洋介と客演・中村志真さんの対談記事です!

(この対談は、2016年の信州中野公演の後に行われたものです)

 

 

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「信濃の國」は私にとってソウルミュージック

 
対談  客演 中村志真さん(荒馬座) × 演出 中山洋介(田楽座)

 

 


洋介: 中野公演お疲れ様でした!最初に客演の話を耳にしたときは、どのように感じましたか?


志真: ホントに立っていいのかなあと。

荒馬座(※1)と田楽座じゃテイストが違いすぎて、お客さんは許してくれるのだろうかと、そこが一番心配でした。新人として入座しなくちゃ…くらいの思いでした。


 でも「信濃」の川崎公演を拝見して、この会場の中で、「信濃の國」(※2)を誰よりも声高く歌うことはできると、そこだけは自負していました。中野公演本番は、舞台袖で熱唱していました。

私にとってソウルミュージックだもんね。

洋介: 今回は唄う役を中心にやっていただきましたが、歌は荒馬座に入る前から好きだったんですか?


志真: 子どもの頃は80年代アイドル全盛期だったので、聖子とか明菜とか(笑)。
 誰もいない家の中で、窓を閉め切って大きな声で歌っていたら、ある日2軒となりのおばさんに「志真ちゃんは大きな声でよく歌っとるな!」と言われたり(笑)


洋介: 荒馬座の稽古場にいったときに、演劇鑑賞教室の作品稽古を見せてもらって、やっぱり『田楽座ももっと唄い手をそだてなきゃ』と思いました。志真さんもホントに自然体で柔らかに唄ってて。

志真: 唄はね…、私も公演の中で唄だけで立つ、ということはなかなかないんだけど、唄うときには「想い」を込めたいって思う。

まっちゃん(※3)級の唄い手ならば、立ってるだけで、一言「ハァー」というだけで唄の背景や情景やら時代やら心情やら、もろもろが見えてくるんだけど…、そんな唄い手になりたいなぁって思う。

奢らず、でも引かず、自分の思いの丈を伝えたい。

「ヤーレンソーラン」って唄うにもルビをふりたい。「元気で頑張れよ」とか「威勢良くいけよ」とか。言霊ってやつかな。

洋介: 今回の客演にあたって、不安はなかったですか?


志真: 一人でやってると、ホントにこれでいいのかな、といろいろ不安になりました。

私も飯田出身、信州人なのに初めて目にする、耳にする芸能ばかりで。祭りの流れとか、どんな人達がどんな風に伝えているのか、とか知らな過ぎて。踊り方も含めて演目理解ということが誰よりも浅かった。

でも折につけ、取材にいったときのことやら、出会った地元の方のこと、資料映像やら音源やら、たくさんの情報を田楽座の座員一人ひとりが教えてくれたことで安心できました。
 板橋にみんなで来てくれた時に、合わせの時間をたくさんとってくれて、温度を同じにできて嬉しかったですね。その上で、公演中にこの時の踊り方は…と演出的なことを要求されたとき、浅いながらも自分の中で思いを寄せることができたなと思います。
 それと、踊りのフリと唄と動線を細かくスコアにしてもらって。あれはホントに助かりました。後半は命綱のようにして、その紙を握りしめながらおさらいをしていました。


洋介: チームカラーの違いには戸惑いませんでしたか?カルチャーショックとか。


志真: 田楽座へのカルチャーショックは今回に始まったことではない(笑)
 企画の内容、チラシのキャッチコピー、グッズの種類や色彩感覚、全てにおいて「こんなこと言っちゃうんだ、思い切ってるなぁ」とある意味度胆を抜かれています。

良くも悪くも物事に柔軟だよね。ちょっとヒヤヒヤする部分もあるけど。

 最大のカルチャーショックは舞台化粧。
いっちゃんマナミちゃんはものすごいウツクシクしててね、アイメイクなんて特に。見惚れちゃった。いっちゃんにもう少し眉毛書いてください、と言われて、あわてて眉毛を描きました。史上最大くらいに…。

 いいな、と思うところは…。田楽座は現地取材に旺盛に出かけるでしょ。だから洋介さんの演出指定を聞いているときに、皆が「そうそうアレアレ」「うんうん」って、同じ情景を見ているんだなって感じたことが多かった。
 あと、それぞれが自分の思いを伝えていることかな。いろんな場面で。

お互いの感覚を共有するのに、声に出していくことが大事なもんだなぁって、改めて感じました。

洋介: 舞台で何のために芸能をやるのか、という哲学も、チームによって少し違いますが、その辺は?


志真: うーん…。最近「七頭舞(※4)」を踊っていて思うのは、こないだ学校公演があって、その日はそれはそれは暑くてね。
 こんな日に2ステージも公演をするなんて過酷すぎる…なんて日でした。でも、パンフを見て座の意義に共感してくれた先生が呼んでくれた、なんて聞いたら「がんばらなくちゃ」と。
 それで、七頭舞を踊ってる最中に何を思うかと言うと、教えてくれた地元の人の顔がよぎるんです。

あの震災でなくしたものは…、と。

だから今、自分はこの一瞬を大切に踊るんだ、と思う。

こじつけなのだけれど、見ている人にはわからないだろうけど…。

そんなことが芸能の力として伝わるのかなぁ。そういうことを荒馬座は大事にしてるのかなぁ、と。

洋介: リクツとしては伝わらなくても、芸能を支えている力はまさにそれで、荒馬座の舞台からはしっかり伝わっていると思いますよ。
 僕も獅子踊を踊るときは

「豊作であってほしい、地域が平安であってほしい」

という昔の人の切実な願いのことを考えます。
特に夏場の体育館とか、あまりにしんどい時は(笑)。


志真: そう、暑かったの!そういう大事なことより、やけくそな部分も出てしまいそうなほどに。葛藤の一日でした。

志真: ちなみに洋介さんは、今回の客演についてはなにが一番心配でしたか?


洋介: 経費(笑)。

冗談はおいといて、自分が他の歌舞団に出てほしいって言われたら、やっぱり

「自分の演じ方で方向性は合ってるのか?」

は悩むだろうし、荒馬座では当たり前のことが田楽座では違う、というストレスがいっぱいあるんじゃないか、というのが心配でしたね。
 でも実際には大変なことはあまりなくて、歌舞団は違えどこうやって演技者を派遣し合うのもアリなのかな、と思ったんですが…。


志真: お芝居の世界ではよくあるけど、歌舞団同士でってのは初めてだから、壁を一つ崩せたのかな、とは思いますね。
 お互いのテイストを理解し合った上で、そこを大切に、壊さない範囲で無理なく…。

演目の制約はあると思うけど、この先もアリですかねぇ。

洋介: 福岡公演もよろしくお願いします!
志真: こちらこそ。がんばります!


※1 荒馬座…1966年に東京板橋で結成された民族歌舞団。「首都圏に民族文化の花をさかせよう」を合言葉に、関東方面を中心に活躍。

※2 信濃の國…長野県歌。長野県民のほとんどが歌えるほど定着している。「信濃」の作品中に全員で歌うシーンがある。

※3 まっちゃん…松田満夫。田楽座元代表。舞台を長く役者として支え、特に味わいのある唄声には定評があった。2015年10月死去。

※4 七頭舞…岩手県岩泉町に伝わる民俗芸能。沿岸地域のため、東日本大震災では大きな被害を受けた。荒馬座とは25年に渡る親交がある。

 

 

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『まつり芸能楽信濃』は田楽座の創立50周年記念作品ですが、

なんと長野県県歌『信濃の国』も、今年で制定50周年なのです!

千秋楽当日は、みなさまぜひ会場で、『信濃の国』を大合唱しましょう♪

 

『まつり芸能楽信濃』長野市千秋楽公演

3月17日

18:00開場 18:30開演(開演前のロビー演奏あり)

若里市民文化ホール

 

信濃のラストをお見逃しなく!お待ちしています!

 

 

1/20㈯は、浜松市浜北なゆたホールにて田楽座LIVE

 

オープニング演奏には、田楽座が振り付け・作曲をした「有玉獅子舞」が出演します♪

 

そこで今回は田楽座LIVE直前!この有玉獅子舞の振り付け・作曲の舞台裏特集です(^o^)/

 

【田楽座新聞No516.2016年2月号より】

 

田楽座が生み出す「郷土芸能」のDNA 

「はまでん(田楽座浜松公演実行委員会)」メンバーでもある「有玉獅子舞」からの依頼にこたえて獅子舞の振り付け・作曲を行った。
「郷土芸能」を新たに創作することを通じて田楽座として大切にしたい「核」とは。


*有玉獅子舞(ありたまししまい)*


浜松市有玉地区で活動する獅子舞団体。地域のお寺の屋根裏から出てきた獅子頭を修復し、「せっかく獅子頭があるんだから自分たちも獅子舞をやろう!」と有志が集まって、各地に伝わるいろんな獅子舞を参考にしながら、暗中模索で獅子舞を始める。
平成8年10月10日、地元の有玉神社のお祭りで獅子舞を初お披露目。太鼓と組み合わせたり、ひょっとこ踊りをつけたり、と皆でアイディアを出し合いながら獅子舞をつくってきた。
出演は年間20回ほど。有玉神社のお祭りのほか、お正月には多方面から声がかかり、また幼稚園・保育園での公演も。地元に伝わる祭り囃子や田楽座などの太鼓曲も演奏している。

 


●今回の作曲・振り付けで特に意識したのは?


変に聞こえるかもしれませんが、

有玉獅子舞の皆さんのお人柄」です。

浜松の人はみんなそうですけど、人当たりが良くて開放的で大らかで、ちょっとやんちゃな感じもある。

そういう「浜松っこ気質」にピッタリくるものというのを常に考えていました。
郷土芸能にも
その地方独特の気質みたいなものがあって、関東ほど洗礼されていないけど信州ほど大味でもない、という絶妙なバランス感が、浜松あたりの芸能にはあります。


●地方独特の気質?


例えば地域特有の音階感覚みたいなものがあるんです。

和音階とか琉球音階なんかが有名です。

田楽座の感覚は「東北っぽい」とか、学術的というよりも経験知的なものですが。
今回の獅子舞のお囃子には、浜松周辺の祭礼囃子の独特な音階感覚を、笛が演奏しやすいように移調して取り入れてみました。


田楽座は50年にわたって祭り芸能を研究してきた蓄積があるので、作曲するときもそういう郷土芸能的ノウハウを生かして創るわけです。


●「郷土芸能的ノウハウ」とは?


いろいろありますが、例えば変拍子の使い方。

郷土芸能は変拍子を多用します。
獅子舞の振り付けは4拍子区切りの方が舞を覚えやすい。

それに対してお囃子は、3拍子と5拍子のフレーズを組み合わせて8拍にして、4拍区切りの舞と帳尻を合わせる。

3拍や5拍という奇数拍は、偶数拍を聞き慣れた耳だと意表を突かれますので、短い曲でも聞いていて飽きないんです。
今回作曲した「舞い立ち」という曲は、そういう少し凝った作りにしました。


いっぽうで、曲を覚えるハードルを下げるために「狂い」という曲では、太鼓を4つのフレーズの反復だけ。

ただし笛は長い曲を吹いていますので、笛に対して太鼓がブツ切れにならないよう、終止形的なリズムを使わずに4つとも接続詞的なリズムにしました。文章で言えば「。」を使わず「、」で繋いでいく感じです。


実際の郷土芸能の中にも、単純なフレーズの繰り返しなのに、人の耳の錯覚を巧みに利用して、変化に富んでいるように聞かせている、というものがけっこうあります。


●今回いちばん苦労したのは?


「郷土芸能的ノウハウ」は諸刃の剣で、上手に使わないと、ただ奇をてらってるだけの、現代人には覚えにくいものになってしまうこともあるんです。庶民のものであるはずの郷土芸能が、演じにくいものになってしまっては本末転倒です。
かといって覚えやすい簡単なものならいいか、というと、それだけでは「やりがい」がない。

難易度とやりがいのバランスをとるのが、いちばんの苦労でした。


●そういうところにこだわるのは、ナゼ?


やはり愛着を持って継承していってほしいから。

それに尽きます。
芸能って、人から人へ伝えられていくもので、「伝えたい!」と思うのは、愛着があるからですよね。

芸能は大勢の人の愛着を注ぎ込む「容れもの」です。
プロや専門家ではない人たちが生活の合間を縫って、長い時間をかけて伝えてきた芸能の中では「よくぞこれほどのものを・・・」とほれぼれしちゃうものがたくさんある。


郷土芸能は人間がもっとも人間らしく輝けるメディア

演奏する皆さんが幸せになるための振り付け・曲になってなければ、郷土芸能とは言えません。

 

今回の振り付けと曲が、有玉に暮らす人たちが輝くためのものでありたい。それが田楽座の願いであり、こだわりです。

 

 

【田楽座新聞No516.2016年2月号より加筆修正】

 

 

田楽座LIVE@HAMAKITA NAYUTA

1月20日㈯

なゆた・浜北 ホールにて14時開演!

 

みなさまのご来場、はまでんのみんなとお待ちしています!

http://dengakuza.com

 

2017年も残りあとわずか。

 

『これからの一年が実り豊かな年となりますように』

 

今回はこんな時期にピッタリな、「田遊び」の演目についての記事です!

 

 

【2015年5月 田楽座新聞 No509 ”私たちの信濃 第9弾” 】

 

 

田遊び

 

 

そろたそろたよ 早乙女衆が 赤いたすきに 菅の笠

うれし目でたや この田の稲は 黄金がざんざと なり候

あんまり植えりゃ お腰がいたい おいとま申すぞ 田の神様

田の神様よ ご縁あるなら また来年もござれや イヤサカッサッサ

 

 

「信濃」の幕を下ろす演目 『田遊び』。

日本各地の田楽芸能、稲作に関わる芸能をミックスして構成しました。

豊作を願う唄を通して、お客様が迎える一年が実り豊かであることを願い、幕を下ろします。

 

 

踊るって楽しいよ! 太鼓はかっこいいよ!

だけだったら、郷土芸能はここまで大事にされてこなかったと思います。

豊作を「祈る」、子孫繁栄を「願う」、という核があったからこそ。

人間の生死や社会の安定に関わる

「祈り」

「願い」

「思い」があったからこそ、

何百年も続けられ、そこへ帰りたいと思うほど、大切なものになったのではないでしょうか。

 

おもしろいかどうか、売れるかどうか、得かどうか、で物事をはかってばかりの現代社会に対して、

それを投げかけたかった。

 

 

僕は田楽座の舞台が大好きです。

伝統のものを題材にしているのに、現代人が見ても面白くてかっこよくて、背伸びしないで楽しめるから。田楽座のファンの皆さんにも、共感していただけると思います。

やっぱり田楽座の舞台は明るくておもしろくないと!

でもおもしろいだけでは足りないのです。そこに「思い」が、「願い」が、「祈り」がなければ。

 

 

緞帳が閉じきる寸前の、一列に並んだ演技者がかける

「イヤサカサッサァ!」というカケ声。

郷土芸能の定番のカケ声の一つですが、これにも意味があるのです。

 

「弥栄(いやさか)」とは、ますます栄えること。

お客様の未来に、たくさんの幸福が訪れますように。そんな祈りをこめて―――――。

(中山 洋介)

 

田楽座新聞 No509(2015年5月)を加筆修正

 

 

いかがでしたか?

2018年も皆様にとってより良い年となりますように、 弥栄サッサ!

本年は皆様よりたくさんのご支援をいただき誠に有り難うございました。

これからも田楽座をどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

明くる2018年1月そして3月、

田楽座五〇周年記念作品 “まつり芸能楽 信濃” は、

千秋楽を迎えます!

 

 

2/12 奈良 マルベリーホール

3/17.18 長野 若里市民文化ホール

https://www.dengakuza.com/

 

 

ぜひご予定くださいませ!