少し前に被写界深度(ピントが合う範囲)の話をしたけど、写真はピントをどこに合わせるかで、見せる印象が大きく変わることは誰でも知っているだろう。
ところで、この特性はご存じだろうか・・・。

ピントは手前より奥に深い
レンズの性質上、ピントを合わせた中心から、手前に向かってピントが合う距離と、奥に向かって合う距離を比較すると、奥に向かってピントが合う距離が長い。被写体との距離とピントの範囲を比較した時、近くの被写体の被写界深度は浅く(短く)遠くの被写体の被写界深度は深く(長く)なる特性がある。

この特性を上手く利用すると、見る人に与える印象を変える写真を撮ることが出来るようになるのだ。

絞り値(f値)を解放に近づけることで被写界深度を狭くすることが出来るが、被写体との距離によってもこの特性は変わる。被写体に近いと被写界深度は浅くなり、被写体から遠いと被写界深度は深くなるのだ。f値解放でも遠くにピントを持って行くと景色全体にピントは合うのだが、近くのものはボケると言うことになる。

この組み合わせは、写真を撮る、魅せる写真を撮る上で、非常に効果的な組み合わせで、多くのカメラマンがこの特性を利用して作品を作っているのだ。

観光旅行で記念写真を撮る
例えば、観光旅行で背景を入れた人物写真を撮る時、記念写真に背景と人物にピントを合わせたい時、先の特性は役に立つ。
被写界深度を深くしたいのだから、f値を大きく(例えばF11とかに)して、手前の人にピントを合わせることで、後ろの人や背景までピントの有った写真を撮影することが可能なのだ。f値を大きくする(絞りを絞る)と、取り込む光の量は少なくなるので、シャッタースピードが遅くなる、あまりシャッタースピードが遅いと「手ぶれ」という別の問題が発生するから注意が必要だが。

被写界深度の特性が分かれば、どこにピントを合わせたら良いのか見当がつきやすい。

迷ったら、カメラに近いところにピントを合わせることで、狙い通りの撮影が出来ると思う。観光地の記念撮影で、背景がぼけてしまっては残念だからね。

被写界深度は、写真撮影で重要な特性だから覚えておいて損は無い。