ネットで”データ復旧”で検索するとたくさんのデータ復旧業者が出てきます。

この業界も一時期に比べるとだいぶましにはなってきましたが いまだに「データ復旧率95.〇%」、「定額料金」などという表記が見られるホームページも少なくありません。

しかし データ復旧は決して魔法の技術ではなく 復旧できないケースもあります。

また定額と称して実際に依頼してみると「定額のケースには当てはまらないため別途お見積り・・・・」というのもあります。

基本的にデータ復旧はそれなりに費用が掛かるものとお考えいただいた方がよいでしょう。

 

普段から確実にデータのバックアップを取っておけばデータ復旧など利用しなくて良いのです。

 

私共もデータ復旧を生業にしていると様々なお問い合わせをいただきます。

商売ですからデータ復旧のご依頼をいただきたいのはやまやまですが、それにしてもお客様が気の毒に思えるケースも多くあります。

 

このブログをたまたま目にした方、今すぐ大事なデータのバックアップを取りましょう。

 

サポート先のご担当者様から電話

「ネットワーク上の生産管理システムが繋がらなくなった。ネットが全くつながっていないようだ。」

「できるだけ早くお伺いします。」

約一時間後現地へ

確かにネットに繋がっていない。ネット上にpingを打っても応答なし。

とりあえずネットワーク機器をリセット。

何とスイッチングHUBの電源を入れ直したらすべて復旧。

16ポートのHUB(10/100の古いタイプのもの)がダウンしていただけだった。

それほど高価なものではなかったが単純なHUBがダウンすることも珍しい。

もう数年以上電源を入れっぱなし(当たり前か)で使っていてチップが劣化しているのかもしれない。

と思って調べてみたら過去に自分でブログに書いていた。

 

同時代のチップを使っているようで長年の熱で劣化したようだ。

とりあえずはネットが使えるようになったので新しいHUBを手配してもらうようにした。

ネットワーク専門メーカーのものを推奨しておいた。

HUBが届いたら様子を見に行くことにした。

久々にMOメディアの復旧依頼が来た。

何年ぶりだろう?

MOもなんて見たことも聞いたこともない人の方が多くなったかもしれない。

MO正式には 光磁気ディスクmagneto-optical disk)

レーザーを使い瞬間的に200℃近くまで温度を上げて磁気により書込み、読み出し時は(書き込み時より)弱いレーザーを当てデータを読み出す。

乱暴な言い方をすると温めて柔らくなったところに磁力で記録し冷やして(硬くなって)データを保持する。

本来は他の磁気だけで記録するメディアに比べ耐久性は高い。

ところが現実には様々な問題が発生し、容量が小さい事や速度が遅いこともあり徐々に業界団体であるMOフォーラムも2010年に解散してしまった。

今ではネットで検索しても情報はほとんど残っていない。

 

さて本来 耐久性が高いはずのメディアだが 案外壊れやすく昔はかなりな数の復旧依頼があった。

 

今回ご依頼いただいた案件は全く読みだそうとしないもの。

どうも管理情報の部分をレーザーが焼き切ってしまっているようだ。

MOフォーラムが提供していた復旧ツールも全く受け付けない。

残念ながら復旧不能となった。

 

HDDのデータ復旧に関しては様々な技術、ノウハウ、ハードウェアが存在するがMOは ほぼ日本でだけ使われていたこともあり復旧に関する技術もあまり研究されていない。当然今後も研究されることもない。

 

今もMOを使われている方がいらっしゃったら十分注意をして確実にバックアップを取ってお使いください。

 

イジェクトボタンを押して一回で出てこなくなったら 危険な状態の可能性があります。