2018年8月12日(日)
来週の旅のおともを探すべく本棚を物色していたら、「むかし・あけぼの」を見つけました。
ボロボロになるまで読みましたねぇ。
なのに、この本を書いたのが田辺聖子だということが私の頭から抜けてました。
田辺聖子かぁ。
初めて読んだのは、たぶん高校生の頃。姉が読んでいた短編集だったと思います。
今も覚えているのは、(タイトルは忘れちゃったけど)六甲山ホテルを舞台にした恋愛小説。「これが、大人の恋かぁ。」なんてドキドキしながら読んだ記憶があります。六甲山ホテルにも憧れました。
そのあと作者の顔写真を見て「何かの間違いだ」と思ったのも覚えています。(ごめんなさい。世間知らずのこどもだったんです、私。)
そして、田辺聖子女史のエッセイといえば、「カモカのおっちゃん」。
懐かしいなぁ。
若いときはただ単純におもしろいと思って読んでたけど、今読むと、きっと深い感慨に包まれるだろうなぁ。
「カモカのおっちゃん」は、私にとっての「親方」だってことが、今はよくわかるからです。
そうだ。 私、今までいろんなブログで「親方」のことを「BOSS」「夫」「旦那さん」などなど、呼び方が定まらず、いろいろと書いてきましたが、本日ただいまから「親方」に統一いたします!
「親方」が「カモカのおっちゃん」の欠片ほどにも愛すべきキャラクターとなるよう願いを込めて(笑)。
田辺聖子女史は、本当に並々ならぬ好奇心で人間観察して、それを自他の境目なく書いた作家です。
カモカのおっちゃんに対しても、尽きない興味を持ち続けたからこそ、あれだけ際立ったキャラクターを確立させたのだと思います。
夫婦というのは長く一緒にいれば、出会った頃のロマンティックな恋愛感情が薄れていくのは致し方なく自然なことだと思います。
その代わりに育っていくのが、友愛というか同志愛のような感情。
夫婦関係を続けるために必要なのは、相手に対する尊敬と、(ふだん多少の意見の違いはあっても)イザという時にはこの人だけは絶対に自分の味方だという信頼感だと私は思っています。
さらに夫婦が楽しく仲良く一緒にいるために必要なのは、(「男として」「女として」の関心が薄れていっても)人間としての関心だと思います。
人間というのは、一緒にいればいるほど、興味深いものです。
日常の中の、相手の小さな言動に「おもしろさ」を見つけ続けること。それが、仲良しの秘訣だと思います。
田辺聖子女史の「カモカのおっちゃん」は、まさしくそこから誕生したキャラクターです。
私たちはよく、「ず〜っとラブラブだね〜」と言われます。別に否定はしませんけど、「ず〜っと」ラブラブなわけはありません。
何かとしょっちゅう親方のことを書いているのは、のろけたいわけではもちろんなく、私にとって親方は本当におもしろい観察対象だからです。
アニマルチャンネル見てると、ジャングルの野生動物を長期にわたって観察している研究者が登場しますが、私こそ、実際にボス猿と一緒に20年暮らしながら猿の群れ(男社会)を観察している研究者みたいなものです。
その研究成果については、追い追い発表していこうと思いますが。
この数年は、「時代の流れ」が我がボス猿の群れにも押し寄せていて、なかなか興味深い時期にあります。
話が逸れましたが、これからは「親方」と呼ぶことに決めました。っていう、本日のご報告でした。
ではでは皆様、今日も小さな中におもしろいこと見つけてお過ごしください。
<追記>
旅のおともは、結局いつもと同じく、敬愛する犬養先生の「万葉の人々」に決定いたしました。和歌への愛情がにじみ出る犬養先生の語り口が大好き。それなのに、読むと もれなく眠くなる。というのが、旅のベッドのおともにぴったりな故なのであります。
ああカモカのおっちゃん (文春文庫 た 3-16)
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