年内最初の「ウルトラジャンプ」に掲載された「ジョジョリオン」第50話を読みました。
連載が始まって5年、50話まで進んだジョジョリオン。今回は定助達と田最環の対決…ではなく、この物語の根幹にかかわる重要人物の過去が明らかになります!


それは、前回の回想から更に遡り、今から十数年前のこと。
杜王町の浜辺で海水浴をしていた一人の女性がナンパされますが、男達は子供の遊び道具が彼女の側に置かれていたのに気づくと立ち去ってしまいます。女性は何かの薬を飲んでおり、カバンには離婚届けが入っており、更に欠勤の連絡を入れた職場からは「もう来なくてもいい」と怒られるなど、かなり滅茶苦茶な生活を送っている様子。
そんな時、彼女が目を話している間に、彼女の一人息子が海で溺れてしまいます。
それに気づいた女性は慌てて我が子の名前を呼ぶのでした―――
「仗世文!」と。

溺れた子供――仗世文は病院へ運ばれたものの、すでに心肺停止の状態でした。しかし、彼を看た一人の女医は仗世文の頭に怪我があるのを見つけて頭に血栓ができていると気付くや「まだ助かるはず」と判断し、傍らにいた自分の息子を呼び寄せると「あれをやって」と指示を飛ばします。
息子は母の指示を受け、猫のような頭部と人間の体を持つスタンドを出し、その左手から放たれた小さな自走爆弾を仗世文の頭の中に潜り込ませて血栓を爆破、見事彼の命を救ったのでした。
この時彼の命を救った女医の名は「ホリー・ジョースター」。そしてその息子の名は、「吉良吉影」といいました。
そう、吉良と仗世文は、この時点で出会っていたのです。
のっけから明かされた衝撃の事実に鳥肌が立ちました! まだ『病気』を発症する前のホリーさんがこんなにしっかりしたカッコいい女性だったとは、と驚き。第3部のホリィさんというよりは、第2部のリサリサに似た人物です。
そして遂に姿と名前が完全に明らかにされた吉良吉影のスタンド。その名は、第4部と同じ「キラークイーン」。しかもシアーハートアタックまでついていました。能力は微妙に違えど、名前と姿は一緒…奇妙な因縁を感じます。現れた時のポーズも第4部のキラークイーンのジョジョ立ちを思い出しますしね。
そういえば、小さくしたシアーハートアタックを血管の中に潜り込ませるくだりは第3部のラバーズ戦で花京院達が小さくした自分達のスタンドをジョセフの脳に入り込ませる場面を思い出しますね。
しかし、仗世文が親からの愛情に恵まれなかった子供だったとは…。今は両親と一緒に暮らしている、と康穂は言っていましたが、母親が離婚届を持っていたことから考えると今の両親のどちらかは再婚相手なのかもしれません(あの母親は名前が出ていないので「空条聖美」かどうかがわからない)。
また、吉良と幼い虹村さんのツーショットにもちょっとほっこり。ぬいぐるみを抱っこしている幼い虹村さんは子供らしくて可愛らしい。仲の良い家族だったんだなあ…と今の状況を思い返してしんみりとなりました。

さて、仗世文と吉良の出会いから時は流れて数年後。…おや、これは前回の回想シーンの続きのようですね。
吉良と仗世文はある光景を密かに盗み見していました。それは、表向き杜王スタジアムの警備員として働いている大年寺山愛唱が、肩を壊した野球選手にロカカカを高額で売っている場面。
『ロカカカには体の悪い所を直す代わりに代償として体の一部を失わせる力がある』と知った吉良は、その実を『病気』になってしまった母・ホリーを救うために手に入れようとしていました。そして、その狙いを知った仗世文もまた、あの日自分の命を救ってくれたホリーさんに恩返しをしたいとの想いから協力させてほしいと申し出ます。
ああ、やっぱりそういうことだったのね…。なんとなく予想はついていましたが…。その本心を表には出さない、という所に何となく第3部の承太郎と似たものを感じます。
それにしても、『母親が病気で倒れ、それを治す手立てを探す』というのは第3部のストーリーと似ていますね。あちらは『DIOを倒すことでスタンドの暴走を止める』という対処法が分かっていましたが、こちらではそもそもホリーさんの病気の原因が分からないためどうしようもない状態。対処法があるのとないとではこんなにも差があるのか…。
また、仗世文の「親の愛情に恵まれず、恩人に救われたことで立ち直った」という点は第5部のジョルノの生い立ちを思わせます。

ともあれ、母の病気を治せる手立てを見つけた吉良は早速ロカカカを手に入れようと動き出しますが、そんな彼に仗世文は一つの提案をします。
それは、「実」ではなく「枝」を盗んでそこからロカカカを育てようというもの。仗世文は自分のスタンドが持つ「シャボン玉が触れたものを吸い上げる力」を使えば枝を接木することが可能だと示し、それを見た吉良も彼の提案に乗ることを決めたのでした…。
ここで早くも仗世文のスタンド能力が判明! スタンドの像はソフト・アンド・ウェットによく似ていますが、その能力は「シャボン玉が触れたものを吸い上げる」というもの。前回の回想でコショウを移動させたのもこの能力によるもののようです。
ふーむ、「吸い上げて移動させる」力か…ソフト・アンド・ウェットの「奪う力」とはずいぶん違いますね。そうなると…。


今回は一話まるまる過去編、という異例の回でした! 一気に事の真相が明らかになり始め、今までにない大きな展開がここで訪れそうです。
さて、今回最後に気になった点を上げておきましょう。それは「ホリーさんの病気の原因について」。
以前定助の正体が判明した時点では、ホリーさんの病気は「吉良吉影と融合したXの『奪う力』によって引き起こされたもの」だと考えられていました。しかし、今回明らかになった仗世文のスタンド能力は「奪う力」とは微妙に異なる物であり、更にホリーさんが彼にとって命の恩人であることもわかりました。そうなると、命の恩人であるホリーさんを危険な状態にしてしまう理由が全く分からず、また「吸い上げる力」がどこまで応用できるのか・人の体内の臓器の一部を奪うと言ったことは可能なのかという点も不明です。
ということは…ホリーさんの病気は、「別の何者か」によって引き起こされたものではないか、と考えられます。

まだまだ定助の元になった人物達の過去には不明な点が多いのですが(定助のフラッシュバックの中に登場した男の正体、エイフェックス兄弟と吉良達とが敵対するに至った経緯、夜露と仗世文との因縁)、恐らくこれらが明らかになるのも近いでしょう。
先月号に引き続き、次回が気になる引きでした。来月号も楽しみです!