天秤宮 23.それを幸福と呼ぶ自由を与えよう

―9月23日―

正義は失われた
正義は犯された
正義は消え失せた
お前を糸で操り 正義は成された
真実を探すことなどない 勝利こそがすべて
それがいかに残酷なのか いかに真実なのか いかに現実なのかを知れ
(METALLICA「And Justice For All」)

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「幸福」と感じることは人それぞれだ。
美味しいものを食べることを「幸福」と呼ぶ人もいれば、綺麗なものを身に着けることを「幸福」と呼ぶ人もいる。
私にとっての「幸福」は、『生きる目的を与えてくれた人と出会えたこと』だ。
彼が生きているお陰で、私はずっと生きていられる。
彼が生きているということは、『それを幸福と呼ぶ自由を与えよう』と言ってくれているようなもの。
だから私は、この幸福を謳歌する。
―――もっともそれは、脚に鉄球をつけられているかのような重苦しいもので、とても楽しいと呼べるものではないのだけれど。

これから始まるのは、私の復讐劇。
緑の紙と赤いテープで封じられた真実を白日の下に引きずり出すまでの物語。
法を逆手にとって罰を逃れた人間に、しっぺ返しを食らわせる物語。