アニメ版「スターダストクルセイダース」最終話を観ました。
去年の春から始まった承太郎達の旅の物語も、遂に今回で完結となります。
因縁に決着をつけるための旅、その結末を見届けましょう。

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最後の最後に勝つのはどちらか――
因縁に終止符を打つための『奇妙な冒険』、遂に完結!

DIOの呪縛によって命を脅かされた母を救うため、50日にも及ぶ長い旅に出た承太郎達。
その長い旅と、100年に及ぶDIOとの因縁に、遂に決着の時が訪れる。
ジョナサンの肉体を完全に我が物としてパワーアップを遂げたDIOに対し、懸命に立ち向かう承太郎。最後の最後に勝つのはどちらか――
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今回も、最初から最後まで緊張と興奮と感動で体が震えっぱなし&涙が滲みっぱなしでした。
そして…最高でした

冒頭、DIOに血を吸われぼろぼろにされてしまったジョセフの体から魂が抜け出て承太郎に語りかける所で早くも涙が滲みました。
「この旅行は楽しかったぞ」という台詞、これがラストシーンでのポルナレフの台詞にもかかってくるんですよね。それを思うと余計に泣けてくる。
そんな静かな雰囲気を吹っ飛ばすように、そしてジョセフを冒涜するかのように、容赦なくジョセフから血を吸い上げていくDIO。瀕死にされた祖父の前で高笑いを上げるDIOを目にし、遂に承太郎の怒りが爆発します!
ここで承太郎とDIOが対峙する部分で、原作28巻の表紙に似た構図がッ! うおお、燃えるッ! 実に燃えるぞォ!

今回のオープニングは最終回ということもあってまたまた特別仕様でした! 第2部・第3部前半の時の様に効果音が入っていた他、あちこちにDIOやザ・ワールドの影が追加されていました(「討つべき英雄は~」の部分でスタープラチナが出てくる直前にザ・ワールドの拳で穴が開く演出が入る・「始まってしまった物語に」からの部分にDIOやザ・ワールドのシルエットが描き加えられているなど)。
前回のオープニングにもあった「あの演出」も入っていて「うおおおっ!」と鳥肌が立ちました!
最終回にふさわしい、豪華な演出でしたね。

本編はいよいよ最終決戦。「止まった時の中で少しだけ動ける」事を活かし戦おうとする承太郎でしたが、ジョナサンの肉体が馴染んだ影響でスタンドまでパワーアップしたDIOに追い詰められ窮地に!
この展開は原作を読んでいたから既に知っていたものの、やっぱり見ていて焦りました。そりゃこんなん予想できませんよね、スタンドの方までパワーアップしたなんて…。
しかしこの場面も思わず見入るぐらい迫力満点でした! 「最高にハイって奴だァ―ッ!」に始まるDIOの声も彼の高いテンションがよく表されていましたね。
しかしこの声、今までのゲーム・OVAのDIOの声よりはるかに狂気がかっててちょっと怖いくらいでした。完全に体が馴染んだ後でDIOの目の色が微妙に変わっている(目の色が赤くなっている)という所に気づいた時もちょっとギョッとしました。
いつになく力の入った声優さんの演技に、観ているこちらも引き込まれました!
そういえばザ・ワールドの「キックによる無駄無駄ラッシュ」で思い出しましたが、第5部のジョルノのスタンドもキックでラッシュを放つ場面がありましたね。まさかこれ、親譲りだったんでしょうか。

ド迫力の殴り合いの後はいよいよクライマックス、あの「ロードローラーだッ!」の場面です!
ここのDIOもとんでもなくハイテンションでしたね。そしてラッシュでロードローラーを撃ち返そうとするスタープラチナと肘鉄ラッシュで承太郎を押し潰そうとするDIO&ザ・ワールドの描写もスピード感&迫力があって手に汗握りました…!

そして、ここからが一番鳥肌の立つ場面。
潰れたロードローラーとその下から流れ出す血を前に、遂にジョースターの血を根絶やしにしてやったと高笑いするDIO。
彼が時間を止めていられる時間は何と「10秒」に延びていました。
「承太郎の血でも吸っておくか…」そう思ってロードローラーの上から降りようとしたDIOでしたが…その瞬間、何故か体の動きが鈍くなり、遂には「止まって」しまいます。
それは、まるで「時間を止めたかのような」現象でした。
しかし、時間を止めることができるのは、DIO以外にはいないはず。
――いいえ、いました。一人だけいました。
DIOと同じように「時が止まっている間が見え、時間が止まっている間も動ける」――
「時を止める力」が発現する前兆を見せていた人物が、一人だけいました。
まさか…そう、そのまさかです。
時を止めたのは承太郎。スタープラチナにも、ザ・ワールドと同じ「時を止める力」が目覚めたのです!
こいつは熱いッ! 今まで読んだ少年漫画よりはるかに熱い展開でした!
単純に主人公が強力な力を身につけるのではなく「ラスボスと同じ能力が覚醒する」という展開は初めて見た時驚かされました。
ということは…そう、「10秒目」はDIOが時間を止めていた瞬間ではなく、承太郎が時間を止めた瞬間だったのです!

最後の打ち合い。DIOは何が何でも勝とうと、正々堂々と勝負を挑もうとした承太郎に自分の血による目つぶしを食らわせます。
とどめにキックを放ったザ・ワールドに対し、拳でそれを受けるスタープラチナ。三方向からドン! ドン! ドン! と最後の打ち合いの瞬間を描いたカメラに鳥肌ッ!
そして一瞬の静寂の後――遂に決着がつきました。
ザ・ワールドがキックを放った足は、さっきスタープラチナに殴られ傷を負った「左足」。
そこについていた傷が拳を受けた衝撃で一気に裂け、みるみるうちにDIOの全身を二つに割るように亀裂が広がり…

『こ…このDIOがァ―――――ッ!!』

あっけない断末魔と共に、DIOは散りました。
その敗因は、承太郎のスタンド能力を予想できなかったことでも、彼を侮ったことでもなく、
「承太郎を怒らせたこと」という至ってシンプルなものでした。
そう、DIOは忘れていたのです。ジョースター家の人間の精神的爆発力が凄まじいことを。そしてその爆発力は、「大切な人を傷つけられた時」に発揮されることを。
100年前の子供時代の大ゲンカやジョナサンとの決戦の時に味わったはずのそれを、彼はすっかり忘れていたのでした…。


今回のアイキャッチは一回目がザ・ワールド、二回目がスタープラチナ。どちらもフィギュアの「スタチューレジェンド」と同じカラーリングでした。セカンドカラーと同じ黒×紫のザ・ワールドはいかにも悪役という感じでカッコイイです。緑のスタープラチナは単行本の表紙にも描かれていましたね。

DIOが完全に敗れてからしばらく経った夜明け前。DIOの遺体、そしてジョセフの遺体と共にスピードワゴン財団の医療車両に乗り込んだ承太郎は、そこで医師達にある提案をします。
それは、DIOの遺体からジョセフの遺体へと輸血を行って祖父を蘇生させるというものでした。医師達は口を揃えてそんなことは無理だと言いますが…そこで承太郎が一言。
「無理だと?
 この旅は無理なことばかりしてきた旅だった…。
 無理だとか無駄だとか言った言葉は聞き飽きたし、俺達には関係ねえ。」

このセリフがまたグッとくるんですよ。これもまた、先の場面でのジョセフの台詞と同じように、第3部の物語を総括した言葉なんです。無理なことをたくさんして、無駄だと思われたことを悉く逆転のチャンスに変えて、その末にようやくDIOを倒したんですもんね…。
長かったなあ、よく頑張ったなあ…と思わせる言葉でした。

かくして承太郎の奇策により、ジョセフは見事蘇生!したのですが…ちょっと待って、ジョセフが起きた瞬間のカメラワークとBGMのチョイス最高じゃねえか! そして石塚さんの声もノリノリ。
あーもう、見ているこっちも焦っちゃったよ!
蘇生して早々「DIOのモノマネ」をして孫を怒らせたジョセフ。あのやりとりもちゃんと入っていて満足でした。実在の俳優やアーティストの名前が出てくるのでその関係でカットされちゃうかな、とも心配していたので。
ともあれ、ジョセフが助かってよかった…。ここまでずっとシリアスな場面が続いてきたので、明るい場面が挟まってホッとしました。

DIOの遺体を朝日に晒して灰にする場面。ここでまた涙が滲みました。
失ったものは戻らないけれど、彼らのおかげで自分達は生きているというジョセフの台詞が胸にしみる。第1部・第2部と同じように、仲間から希望を託されたからこそDIOに勝つことができたことを実感させる言葉でした。
そして驚いたのが、「花京院! イギー! アヴドゥル! 終わったよ…」という台詞が「承太郎の台詞」になっていたこと。OVA版ではジョセフがこの台詞を言っていたので、これは「ジョセフの台詞」だとばかり思っていました。
でも、承太郎が語ったこのセリフを聞いた瞬間、そして承太郎とジョセフに微笑みかける三人が映った瞬間に涙がジワリ…。原作から描写を変えて「承太郎達に微笑みかける三人」の描写を入れてくれたスタッフさんに感謝です。ちくしょう、この演出は反則だ…

朝。長い旅を共にしてきた承太郎達とポルナレフに、遂に別れの時が訪れます。
ここでのポルナレフの台詞が、冒頭のジョセフの台詞にかかってくるのが胸に迫ります。
「辛いこともたくさんあったけど、この旅は楽しかった」…シンプルだけど、グッとくるセリフでした。
「じゃあな! しみったれたじいさんにそのケチな孫よ! 生きてたらまた会おうぜ!」
「また会おう お前が忘れていなけりゃな」
「忘れたくてもそんなキャラしてねえぜ…お前はよ」

この三人のやり取りでまた涙が…いつもの調子で笑い合っているのに目に涙が滲んでいるという描写も泣ける。
いつものように笑い合って別れを告げ、別々の方向へと歩き出す三人。
50日間の長い旅が、終わった瞬間でした。

日本。DIOが倒されたことでスタンドの呪縛から解放されたホリィは無事に回復し、承太郎とジョセフが戻ってくることを悟ります。
そして同じ頃。帰りの飛行機の中で、承太郎はエジプトへ着いたばかりの時に撮った仲間達との集合写真を見つめて静かに微笑んでいました…。
ここでどっと涙が出ました。原作になかったこの描写の追加で、第3部のエンディングが更に感慨深いものになりました。
承太郎とジョセフの乗った飛行機が日本へ向かって飛んでいく場面で、第3部の物語は幕を下ろしました。


ああ、とうとう終わった…観終わった瞬間、そんな想いが胸に広がりました。
第1部・第2部よりももっと長く、そしてそれ以上に熱い物語だった第3部。
楽しい所も辛い所もたくさんあった旅は、とても印象深いものでした。少年漫画の王道とも呼べる展開もあり、そして「仲間の絆」を感じさせる場面あり、山あり谷ありの「辛いこともたくさんあったけど楽しい旅」でした。
「ジョジョ」の物語はこの部でいったん幕を下ろしますが、物語はまだ終わりません。ここから先は、DIOが遺していった新たな因縁との戦いの物語となります。
その物語も、ぜひアニメ版で見てみたいですね。
長い間見続けてきた第3部が終わってしまったのは寂しいですが、「最後まで見届けてよかった」という思いもあります。あの悲しくも温かい、余韻のあるラストシーンがアニメ版で更に感慨深いものになりました。
監督さん、スタッフさん、素晴らしいアニメを作ってくださりありがとうございます。そしてお疲れ様でした!

アニメ版「ジョジョ」の感想記事もこれにて終了となります。ここまで読んでくださった皆様方、ありがとうございます。


作業中BGM:Pat Metheny Group「Last Train Home」