アニメ版「スターダストクルセイダース」第10話を見ました。
シンガポールでの刺客の襲撃を乗り越えた承太郎一行はインドへ到着し、レストランで休憩を取ることにした。その途中、トイレに立ったポルナレフは「鏡の中にしかいないスタンド」に遭遇する。それは、ポルナレフが捜していた「両右手の男」のスタンド「ハングドマン」だった。
「両右手の男」が近くにいることに気付いたポルナレフは、感情に任せてアヴドゥルの制止も聞かず単独行動をとってしまう。しかし、それは「両右手の男」がポルナレフを倒すために仕掛けた罠だった!


遂にこのエピソードがやってきました。前半の最大の山場であるJ・ガイルとの戦いです。
このエピソードで、第3部の名脇役でもあるホル・ホースが登場。最初は悪人に見えますが、実は敵ながら何とも肉芽ない憎めない奴であり、第3部の敵キャラクターの中では数少ない「何回か再登場する敵キャラクター」でもあります。
ちなみに、ホル・ホースが自分を慕っている少女と話す場面は、後の展開へのちょっとした伏線になっています。
しかし象に乗って登場するってすごいインパクトだ。
エンペラーの描写もかっこよかったですね。「メギャン」というオノマトペもちゃんと描写されています。
弾丸が飛んでいくときの描写や、軌道を操って弾丸をアヴドゥルの方へ跳ね返すときのカメラワークなどスピード感ある描写がなされていました。
この場面で今回のエピソードの敵「J・ガイル」の姿が出てくるのですが、この時彼が「帽子をかぶっていて顔が見えない」という点もこの後の展開への伏線になっています。


OVAでは一貫してシリアスなエピソードでしたが、テレビアニメ版では最初に原作にもあったコミカルな描写があってほのぼのと楽しめました。
「便器の中のブタ」の描写は思わず笑ってしまいました。何であそこまで怪しい雰囲気出てるんだ(笑)。
オリジナルの描写として、レストランで料理を注文したポルナレフの台詞に呆れるジョセフ達に花京院が「何でもいいってことですよ」と返す場面がありました。そういえば、花京院とポルナレフはこのエピソードから仲良くなってくるんですよね。これ以降、彼ら二人がコンビを組んで行動する場面が数多く出てきますし。
この場面のジョセフの口をあんぐりと開けて呆れた表情がまた笑えます。

そんな中、ハングドマンの登場で楽しかった雰囲気は一変。妹の仇がすぐ近くにいると気付き、怒りにかられたポルナレフは「両右手の男」を捜そうとアヴドゥルの制止も聞かずに単独行動をとり――まんまと敵の罠にはまってしまいます。

この時のポルナレフとアヴドゥルの口論で出てきた「恐怖」という言葉は、第3部のテーマの一つ。DIOのセリフにもあった言葉ですが、それよりも遥か昔、第1部でツェペリが切り裂きジャックとの戦いでジョナサンに「勇気とは何か」を教える場面でも登場していました。
敵と対峙した時の「恐怖」を知るからこそ、相手と自分との力の差を冷静に見極めることができる。
そうすれば冷静な判断や行動ができるようになり、退却することも相手に立ち向かっていくこともできる。
しかし、敵と対峙する恐怖を知らず、リスクを考えずになりふり構わず相手に向かっていく「ノミの勇気」を持って戦うのはただの命知らず。

かつてツェペリはそう教えていたのですが、皮肉にもこの時のポルナレフはまさにその「ノミの勇気」を出した状態でした。


原作でもたびたび重要な場面で登場する「雨が降る」という描写。それがポルナレフの単独行動の場面にも登場していました。
この雨が、後々ハングドマン襲撃の場面への伏線となっています。また、雨が降ってくることでポルナレフがJ・ガイルの姿を見つけた時に「J・ガイルの周りだけ雨がはじかれている」描写(ポルナレフが妹の事件を回想する場面でも出てきた描写)が入ることでポルナレフの妹の事件とこのエピソードとの結びつきをより強くする効果も出ていました。

ホル・ホースとポルナレフが戦闘に突入するときの描写もかっこよかった! 同時に爆笑してから同時に怒りの表情になって怒鳴り、同時にスタンドを出して相対。この流れのかっこよさよ。
今回の戦闘シーンは緑をメインカラーにして銅色と紫をアクセントカラーにした配色。今までにない、渋い感じの配色でした。

そして…ああ…アヴドゥル…!
原作を読んでいるのでこの後の展開も知っているのですが、それでもこの場面は辛い。
「自分の周りで死なれるのは迷惑なんだよ!」というポルナレフの言葉と、彼が強がりながらも感情を抑えきれず涙を流す描写(それまでにずっと後ろを向いていて顔が見えず、涙を流していたことが分かった時に初めて振り向くという描写)が心に刺さって、もうね…。

余談ですが、最初にこの展開を読んで「アヴドゥルが実は敵から危険視されていた」ことを知った時は意外に思いました。承太郎に次いで強力なスタンド使いだったことが原因のようですが、彼が敵スタンド使いの情報をいくつか知っていたことも考えると、DIOが自分側の情報がこれ以上漏れるのを防ごうとしたというのもあるかもしれません。


エンドロールを見て驚いたのですが、ホル・ホースとJ・ガイルを演じていたのはどちらも「ジョジョ」のゲームに出演したことのある声優さんでした!
ホル・ホース役は第5部を原作としたゲーム「黄金の旋風」でメローネの声を演じた木内秀信さん。メローネの声の時は甲高く狡猾そうな声でしたが、今回は低く渋い感じの声でした。
OVAや「オールスターバトル」では若本規夫さんや大塚芳忠さんといった渋い声の声優さんが彼を演じていた関係からか、ホル・ホースは渋いイメージが強いんですよね。でも木内さんのホル・ホースはOVAや「オールスターバトル」のホル・ホースよりも少し声が高く、若々しい感じがします。OVAでは終始一貫してシリアスなキャラクターでしたが、原作ではコミカルな場面もいくつかあるキャラクターなので、こちらの声の方が合っているかもしれません。
J・ガイルは「オールスターバトル」でホワイトスネイクの声を演じていた桐本琢也さんです。J
・ガイルのキャラクターにピッタリ合った声でしたね。
そして、ホル・ホースを慕う少女ネーナを演じていたのは何と雪野五月さん! ベテランの女性声優さんです。今まで演じられた役で一番有名なのは「ひぐらしのなく頃に」の園崎魅音でしょうか。他にも「犬夜叉」の日暮かごめや「銀魂」のお妙など様々な役を演じていらっしゃいます。こちらもギャグから怖い演技まで様々な演技のできる声優さんです。

今回は偶然にも、OVA版の第4話と同じ終わり方になりました。
次回はJ・ガイル戦の後半です。
相手の能力を見抜き、反撃に出ようとするポルナレフと花京院。しかし、J・ガイルはそんな二人に対して卑劣な手段を使ってくる。
果たして、ポルナレフは妹とアヴドゥルの仇を討つことができるのか!?

J・ガイル戦のエピソードがどこまで引っ張るかも気になります。次回で決着がつくか、それとももう一回伸びるか…。