マンチェスター・ユナイテッドの凋落が止まらない。
多額の移籍金でチェルシーからフアン・マタを引き抜いてきたにも関わらず、今試合ではアウェーでストーク・シティに敗戦。大補強の効果は一瞬で消え失せ、ファン・ペルシーとルーニーの二大巨頭が揃い踏み下にも関わらず、負のスパイラルを抜け出せないユナイテッド。
思えば、ファーガソンの後任がモイーズに決まった瞬間から不安は少なからずあった。
26年もの間ユナイテッドの監督であり、あらゆるチャンピオンシップを勝ち取ってきたファーガソンの後釜というだけでも相当に困難なミッションであるのに、そこにチャンピオンクラブを一度も率いた経験のないモイーズを監督に据えたのだから、リーグ制覇なんぞ望むべくもない。
事実ユナイテッドは最初のマンチェスターダービーで手痛い敗戦を喫し、モイーズもベンチで頭を抱えるばかり。相当きびしい船出になった。
だが、長年にわたってエバートンを率い、少ない予算と薄いスカッドの中で何シーズンにもわたってプレミア中位に座を守り続け、ビッグクラブを恐れさせたのはモイーズである。それほど有名でもない選手を連れてきて育て上げる手腕に関しては、プレミアでも一流だという認識が私にはあった。だからあまり結果が伴わなくとも、1シーズンは見守る必要があるだろうとは思っていた。
しかし、年が明け迎えた大一番のチェルシー戦。敵地スタンフォードブリッジでモイーズは好調な香川をベンチに置き、守備的な布陣。何が何でも勝ち点を持ち帰る・・・・・・・その決意が試合開始前にはうかがえたが、結果は3-1の惨敗。何よりも私を失望させたのは、守備的な戦術を強いたにもかかわらず、失点シーンの守備対応があまりにもずさんだったこと。1失点目では、ジョーンズがエトーに軽々とかわされシュートを打たれているし、2失点目ではセットプレーをクリアした後集中を切らし、完全にマークすべき選手を見失っていた。3失点目は同じくセットプレーでイバノビッチのマークを簡単に外してしまう稚拙ぶり。戦術以前の問題として、モイーズの意図が全く選手に伝わってなかった証左だ。しかも3-0とされた後も、追いつくための交代采配はエルナンデスのみ。交代カードを1枚残したまま敗れるとは、ほとんどなにもしなかったのと同じことだ。ここで私はモイーズはもう限界だと思った。
しかし、ユナイテッドはなんらの手を講じなかった。その結果のリーグカップ敗戦。しかも降格圏のサンダーランドに。延長戦のGKデ・ヘアの信じがたいミスと、1つしか決められなかったお粗末なPK戦の末だった。だれもがモイーズの解任を望むような状況だったにも関わらず、今をもってまだモイーズはユナイテッドの監督のままだ。
監督の解任は必ずしも特効薬にはならない、長い目で見るべきだという意見は一般論としてはもっともだし、私も早期の監督解任には否定的な意見を持っている。(ちなみに私は今をもって、ヴィラスボアスの解任は時期尚早であったと信じている)
正直チームの層もプレミア上位4チームに比べれば、貧層に見える。
アーセナルは、エジルとフラミニをくわえ攻守においてレベルアップ。勝負強いチームになっている
シティは序盤に取りこぼしを見せたものの、圧倒的な破壊力を持つ攻撃陣に加え、堅固な守備陣も復活し、トレブルに向け着々と準備を整える。
チェルシーは名伯楽モウリーニョのもとかつての強さを取り戻しつつあり、リバプールはロジャース監督を信頼し一貫してチーム作りを進めた結果、スアレスを筆頭にシティに匹敵する攻撃陣を構築した。
対してユナイテッドはどうだろう?
ファーガソンは引退時にこのチームは将来にわたって長く成功を収められると評したが、まったくもって信じがたい。ファン・ペルシーは元の怪我がちな選手に戻り、ヤングやバレンシアはサイドで単調なドリブルを仕掛けるだけで、クロスの精度は低く、役に立つのは献身的な守備意識だけ。ウェルベックは好不調の波が激しく、光る才能をもつヤヌザイもまだわかく克服しなければならない課題も少なくない。(そもそも10代の若者を激しいプレッシャーに晒すのが間違っている。)
クレバリーは効果的な攻撃参加ができないし、さらに守備対応も軽い。フェライニも同様(プレミア移籍組のなかでもトップ3に入るぐらいのガラクタっぷり)だ。
サイドバック、とくに左は満身創痍のエブラしか計算できない。
ガラクタとは言わずとも、この陣容ではそもそも分が悪すぎたのだ。
だが、チームが絶不調に陥った今もかたくなにフィジカルにこだわった単調なサッカーに固執し続け、ストーク戦のあとは勝ち方がわからないなどとのたまうなど、モイーズは能力的にも精神的にもダメになっていることは明らかだ。
解任したからと言ってすぐに結果は出ないだろうが、もはやモイーズには任せておけないことぐらい誰にでもわかることだ。一刻も早い決断が待たれる