『JIN-仁-』第一話より速記 … 2021年10月15日 モリタ式速記法 | 個人用途の新速記法 EPSEMS(エプセムズ)

個人用途の新速記法 EPSEMS(エプセムズ)

 草書派理論(CURSIVE THEORY)に基づく
  日英両言語対応の手書き速記法

【この『JIN-仁-』第一話の話とおなじで、速記も自分が練習し、自分の腕でスラスラと書いているつもりでいたりするけれど、田鎖式以来の先人の礎あってのことなんだな…deme7】



未来(みき)、信じられないだろうが、俺は今、江戸にいる。手術をしていると人殺しに間違われるような世の中で満足な道具も薬もなく手術をする羽目になっている。とても簡単な手術だ。今ならまず失敗することなどない。でもそんな手術にここでは青息吐息だ。これまで手術を成功させてきたのは俺の腕じゃなかったんだよ。今まで誰かが作ってきてくれた薬や技術、設備や知識だったんだ。そんなものを無くした俺は、痛みの少ない縫い方ひとつ知らないヤブだった。14年も医師をやって俺はそんなことを知らなかった。自分がこんなにちっぽけだってことを俺は知らなかった。謙虚なつもりだったけど、俺みたいなヤブができる手術だけを選ぶなんて、考えてみれば随分ふざけた話だと、君はずうっとそう言いたかったのかもしれないな。もしかしてこれは、物言えぬ君からの俺への罰なのか。(『JIN-仁-』第一話より)