会社設立のため定款の認証に向け動いている丁度その時。

定款の認証を受けるためには銀行口座が必要。私が目指す事業内容は、この地域に前例が無い「よく分からない事業」であるため、銀行口座を開設するには事業計画書と契約書の見本が必要とのこと。そして資本金が必要だ。

 まずは銀行口座開設のため、これから行う主業務の事業計画書と契約書の見本を創ることに。相変わらずの私の装備はパソコンただ一つ。よって、ここでも白紙に文字を叩くこと数日掛けこれも完成した。バイト先である大館市の地方銀行から助言を受けて製作したその書類を、自宅兼会社創立場所の「近所」という理由から同じ銀行の支店である「私の町の地方銀行」に持ち込んだところ、雲行きが怪しいのだ。「ふーん、へー、それで?」という感じの対応に「相手にしない」という空気を感じ得た。話にならない!と感じた私は、もともと助言を頂いた隣町の銀行で口座開設することにした。このとき、一般的に周りが「私がやろうとしていること」をどういう目で見ているのかが分かった気がした。「若造の遊び」「どこかの資産家の趣味」「どうせすぐなくなる会社」、実際直接聞いたわけではないが、後に様々な方からも「そのように思っていた」と打ち明けられたことも少なくない。

 

タイミングが良かった。2005年は既にベンチャーや起業を後押しする政策があったことで、資本金1円でも会社を創れるということだが、それには経済産業省の認証が必要であり、そのための条件を満たすことも必要だった。ところがというか、必然的にと言うべきか当時の私の立場は全ての条件を満たしていたこともあり、この資本金制度を使った会社設立をすることになった。

口座を開設し、資本金制度の認証を受け、そしてついに定款が認証され法務局への登記が済んだことでやっと会社が出来た!

 

2005年7月6日 株式会社デラックスウエア創立

 

飲食店バイトで資金を稼いでは全額投入し、キーボードを叩いては行動する日々がかれこれ半年間は続いたと記憶する。稼いでも稼いでも湯水のように消え行く資金に焦りと戸惑いもあり、創るたびに修正が入る書類に不安が募り、周りからの期待と応援はバイト先の企業社長只一人という孤独の戦いを終えたところ、この新会社としてはスタート地点にすら立っていない。必死の半年間もスタート前の準備に過ぎないのだ。

 

それでもまずは大きな一歩を踏み出した。

これまで全資金投入したこともあり、7月6日は個人口座も会社口座もほぼ0円、所持金およそ200円だったことで先行きどころか明日も過ごせないようなスタートになった。そのおよそ200円の所持金は、自分へのお祝いとして「缶ビール1本」を買ってゼロになったが、この時ばかりは何故か希望が不安より勝っていたことが今でも不思議に思う。

 

27歳 村松隼人 代表取締役就任

2005年7月6日会社創立 社員0人 資金0円 資産パソコンのみ

 

 

次回8-5で完結です。

会社創立後、実質の創業まで更に半年。株式会社デラックスウエアの空白の半年間の動き。