「うちの社員になって店長を務めては?」ついに来た。飲食店バイト先でこの企業の社長から直々に提案が来た。

もう完全に曖昧に出来る余地はなかったため、「有難う御座います、しかし結構です!」とお断りした。

すると社長は「何を言ってるの?」という表情を見せ、少し間をおいてから「何かやりたいことでもあるのか?」と聞いてきた。私は素直に「はい、衣料メーカーをやりたいと思っています」と答えた。

 この飲食店バイトを運営する秋田県大館市の会社は、地元では有名な歴史ある企業であり、婦人服小売りを主事業とするためアパレル業にはある程度精通していた。

そのため、「お前衣料メーカーってどんなか知っているのか?」と少し「ムッ」としたような口ぶりで話が続いたため、「前職でカジュアル服のメーカーにいましたから」と答え、その場は「そうか」と社長が立ち去り話はそこで終わった。

 

やりがいを感じ始めた飲食バイト、あるきっかけから「もう一度人生を掛ける仕事」に就きたいという希望。自分の中で既に答えは出ている「もう一度…」


 

行動開始することにした。

しかし、資金が無い。本格的に無い。

衣料メーカーを行うには資金が必要だ。

 

そこで私が取った行動が「自分の売り込み」だった。

地元秋田県は日本でも有数の縫製業が地場産業として確立されているため、製造を行う縫製工場へ私自身の売り込みを始めた「ごめんください。私を雇いませんか?」「服の企画から卸営業、小売り販売まで一貫してこなしますから!」。一体何件回ったか定かではないが、それでも飲食バイトギリギリの時間まで毎日のように行動した。しかし返ってくる答えはどこも「ウチはいらないよ、メーカーじゃないんだ」「忙しいから帰ってくれ」「ウチは縫製工場だよ」だった。ごもっともです。

このことで「就職」ではどうしようもないことが明らかになった。

 

そして結果「会社を創ろう」という答えが必然的に導き出された。

 

しかし、問題は会社といっても立ち上げの知識も無ければ資金も無い、第一どこでどうしたら会社と名乗れるのかすらわからない・・・

 

 

やりたい事は衣料メーカーという思いだけが先走る

27歳 村松隼人