著者: 夏目 漱石
タイトル: 夢十夜;草枕
残念ながらうちにあるのはこの装幀ではないんですが…。
初めてこの夢に出逢ったのは高校の国語の教科書。
その時掲載されていたのは第一夜の今際の際の艶かしい女の話と、第六夜の仁王の話だったように思う。
当時の私の中での夏目漱石といえば“我が輩は猫である”“坊ちゃん”で、あのファンキーさがすべてだと思っていたので好きになれなかった。要するに喰わず嫌いである。ところがこの『夢十夜』の幻想感とシニカルさ。こんな作品があったんだ…と後れ馳せながら驚いたと記憶している。十夜の夢で編まれたものだということはこの授業で知ったが、すべての夜を覗き見することになったのはそれから十年くらい後となってしまった。
ティーンエイジャーの頃の私は作文が苦手だった。
引っ込み思案なところがあり、ああでもないこうでもないと考えているとだんだん複雑になり、思いを言葉をうまく書き著すことが出来なかった。今のずけずけ書き散らかしている様とは大違いだが、唯一その頃から変わらないのは脈絡の無い文章だということくらい。
ある日の授業。
ちょうどこの『夢十夜』が終わったところで、“夢の物語を書きなさい”という課題が出た。通常の作文だけでも難儀を極めるのに、物語=短編小説だなんて…そんな殺生な。と、最初は腰がひけて何を書いたもんだろうか…と思案した。そこでその頃本当に見た妙に印象的な夢をモチーフにして、かなり抽象的な夢物語を書いて提出した。内容は残念ながら朧げにしか覚えていないが、第一夜のような浮遊感にラストはちょっとミステリーのような終わり方になっていたように思う。友人の書いたものを読ませてもらったがタッチが全然違う、意味不明だよなぁ…まぁ、提出することに意義がある。これで単位がとれればそれでヨシとしようくらいの意識だった。
次の週の授業でそれが戻ってきた。
先生の感想コメントが最後に書いてあった。
お誉めの言葉だった。
予想外のコメントになんだかとても嬉しかった。
今考えるとコメントのしようがなくてのお誉めの言葉だったかもしれない(笑)。でも、それをきっかけに私は公表するしない問わず、ものを書くのが好きになった。それまでも読書好きだったがもっといろんなものを読みたい…という欲求も生まれた。そして今も日々フィクションであれ、ノンフィクションであれ、書き続けている。
あの時、『夢十夜』に出逢ってなかったら、
今、このblogも存在していなかったかもしれない。
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