DELUHIベスト完結盤『VANDALISM [Σ]』のリリースに際して、2015/3/31発行【ZEAL LINKフリーペーパーNo.018】に掲載された音楽ライター:早川洋介氏の寄稿を、執筆者・早川氏および版元・ZEAL LINK様の承諾のもと、当DELUHIオフィシャル・ブログにて全文転載させていただきます。

DELUHIというバンドが音楽シーンを駆け抜けて行った確かな証として、ベスト完結盤 [Σ]と共にここに刻み残させていただきますので、オフィシャル・ライナーノーツとしてお読みいただけましたら幸いです。

by BRAVEMAN RECORDS



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バンド解散後、ある種“伝説”としてファンの間で語り継がれることは多々あるが、DELUHIの場合は名実ともにそう呼ぶに値する存在だったと、最新ベストアルバム『VANDALISM[Σ]』があらためて証明するのではないだろうか。決して脳内変換によって美化された偶像などではなく、常にシーンのなかで突破口を見出すべく進化してきたまばゆいバンドの姿が、ここにリアルに刻み込まれている。

まず最初に本作のスペック的部分を紹介すると、ベースとなるのは2011年にリリースされたベストアルバム『VANDALISM』であり、今回新たに2010年発売の3ヵ月連続シングル「Frontier」「The farthest」「Departure」を追加し、全16曲を最新リマスタリングで収録。また、これまで制作したビデオクリップ「HYBRID TRUTH」「s[K]ape:goat」「Two Hurt」「REVOLVER BLAST」「Frontier」「The farthest」「Departure」をアップコンバートし、16:9の高画質ヴァージョンで収めたDVDがプラスされている。さらに初回生産分には、「NO SALVATION '09」(1stワンマン会場限定シングル収録)と「Recall(2009 Re-Recording ver.)」(ツアー『Symphony from Japan 2011』会場限定シングル収録)のカップリングCDを封入と、まさに“Σ(シグマ)”の名にふさわしく、多面的に彼らの軌跡を総括する充実の内容だ。

こうしてDELUHIの歴史をたどる楽曲群といま対峙して感じるのは、どの時代のナンバーも演奏力含めてクオリティが高く、密度も濃い。しかし、彼らの活動期間は2008年1月の結成から2011年8月の解散まで3年7ヵ月と短く、つまりは最初から頭ひとつ抜きん出ていたバンドだったと言えるし、類いまれなる急速な進化を遂げたバンドとも言える(活動期間の短さが伝説化により拍車をかけていたりする)。付け加えておくと、元々の『VANDALISM』は単に過去曲の集成ではなく、全曲リミックス(これだけでかなり印象は変わる)&リマスターに加え、一聴して違いが分かるリアレンジやリレコーディングが随所に施されている。大幅に変貌を遂げた楽曲や、当時の未発表新録曲(「砂の泉」)もあり、そういう意味では初期曲であってもバンドが成熟していた時期のテイストが注入されている作品でもあった。が、それを差し引いても、純粋に曲の良さとセンスが光っており、だからこそ多くのファンを魅了し、今なお解散が惜しまれているのだ。

あえて分かりやすく彼らのスタイルを形容するならば、“V系メタル”ということになるのだろう。ただし、この名称はあくまで便宜的なものであり、主戦場としていたのがV系のシーンだったということでしかない。いわゆるその要素は初期のビジュアル面にこそあれど、最初から音は本格的なヘヴィメタル/メタルコアの血を汲み、見よう見まねの付け焼刃ではできない激しくもドラマティックな楽曲を構築していた。だからこそシーンの垣根を越えて多くのリスナーに訴求し、V系のシーンでも“DELUHIが好き”というファンは“本格派”と認識される現象が一部では起こっていたようだ。一方で、ポップに振り切れる感覚を併せ持ち、ハードなサウンドと混じり合うポピュラリティ溢れるメロディアスな歌も魅力だった。

そして、バンドのブレーンであり、楽曲のほとんどを手がけていたLeda(G)の存在もまた、DELUHIがクローズアップされる大きな要因だったことは間違いない。古臭さのない瑞々しい作曲能力に加えて、天を衝く冴え渡るテクニックは新世代ギターヒーローの名にふさわしく、難易度という側面だけでなく、フレーズ選びや起承転結の美学には目を見張るものがあった。同業者にとっても刺激(脅威?)になったのでは、とさえ思ってしまうほどだ。

思えば、最初のワンマン=渋谷O-Crest公演(2009年1月)が決定した時は、何とかソールドアウトさせるために先輩アーティストのライブ会場近くで日々熱心にビラ配りをしていた彼らだったが、ラストの渋谷公会堂(2011年8月)でのライブは、チケットを入手できないファンが出るほどにまでバンドは成長していた。メンバー自身も“まさか渋公が埋まるとは思っていなかった”と告白している。いわば絶頂時に突如として消えてなくなってしまったわけで、今風に言うなら“デルロス”状態に陥ったファンは数知れず。筆者もその一人だが、残念ながら、いまだ完全にその穴を埋めるポジションのバンドには出会えていない。ちなみに現在はメジャーレーベルに籍を置き、DELUHIとは同時期にインディーズで活動していた某ミュージシャンは、“今はDELUHIの後釜になろうと狙いにきてるバンドが多い”という趣旨の発言をしている。これらのことからも、DELUHIが作った“型”の影響力の大きさが分かるし、同時にその“型”を踏襲することの難しさも露呈している。

『VANDALISM[Σ]』は、当時を知るファンを再び熱くさせるのはもちろんのこと、まだDELUHIを体感したことがなく、どうにも今のシーンには刺激が足りないと感じている人に是非とも聴いてもらいたいキラーチューン揃いの名盤だ。バンド解散後、Juri(Vo)やAggy(B)は各々の活動を展開し、LedaとSujk(Ds)はプロジェクト=UNDIVIDEを経て、先頃新バンドであるFar East Dizainを結成。それぞれが今を生きており、単に時間軸上だけで見れば、DELUHIは過去のものとなるかもしれない。だが、ラストライブでLedaが“DELUHIは俺の宝です”と言った通り、彼らの楽曲はいつまでも色褪せず永遠に輝き続けていくことだろう。

2015.3.25
text:Yohsuke Hayakawa

(「ZEAL LINK フリーペーパー No.018」より全文転載)


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DELUHIの全輝跡を網羅する
ベスト完結盤 [Σ](シグマ)。
ラスト三連作シングルを加えた
全曲リマスター・計16曲と、
高画質版へアップコンバートした
全MV映像7曲を完全収録!
●初回生産限定封入特典:
 レア音源2曲入りCD



VANDALISM [∑]
2015年3月25日リリース!


http://youtu.be/pqzUYiDlm8o


アーティスト●DELUHI
タイトル●VANDALISM [∑] (ヴァンダリズム[シグマ])
レーベル/品番●BRAVEMAN RECORDS/BMCD-020
形態●ベストアルバムCD+DVD 
定価●¥3700(税抜)/¥3996(税込)
発売日●2015年3月25日(水)
※2Dワイドジュエルケース
※カラー44P歌詞ブックレット

収録曲●
[CD]※全曲リマスター
1. HYBRID TRUTH
2. Two Hurt
3. G.A.L.D
4. REVOLVER BLAST
5. シェイド
6. LORELEI
7. 黄泉の譲り葉
8. Vivid Place
9. Rebel:Sicks, Shadow:Six
10. Baby play
11. s[K]ape:goat
12. Orion once again
13. 砂の泉
14. Frontier *
15. The farthest *
16. Departure *
*…今作追加収録

[DVD]※全曲アップコンバート(16:9高画質版)
1. HYBRID TRUTH 
2. s[K]ape:goat 
3. Two Hurt
4. REVOLVER BLAST
5. Frontier
6. The farthest
7. Departure

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★初回生産限定封入特典・2曲入CD★
1. NO SALVATION '09(1st ワンマン会場限定シングル収録)
2. Recall(2009 Re-Recording ver.)
 (「Symphony from Japan 2011」会場限定シングル収録)
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●発売元:BRAVEMAN RECORDS
●販売元:ONG DISTRIBUTION