第七条~レジテンドコード・ゼロ 第2話 | 劇部屋24シアターズ

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劇部屋24のオリジナル作品「月羽妖夢伝」制作近況や
劇部屋24での上演記録を残していきます!!

第七条~レジテンドコード・ゼロ 第2話

♂・・ユウキ
♀・・ヒカリ・女


ユウキ:
そういえば・・・
他のメンバーは、どうしてるだろう。
そう思った先にいたのはヒカリだった。
彼女は、よく似合うベアトップの
ドレス姿でビュッフェスタイルの
パーティーを楽しんでいるように見えた
でも、俺はわかっていた。
そのように見えるだけで、心の中では
彼女は絶対に楽しんではいないのだ。
その確信が彼女との出会いだった、
その話は、とある雪のちらつく
治安の悪い荒廃した都市で起こる。

ヒカリ:
その頃、私はたくさんのお客を
愛想笑いと我慢と作り笑顔で迎える
毎日を過ごしていた
ヒカリ:
私はこんな女じゃないのに・・・
泣きたい時に泣かない
笑いたい時に笑えない
そして私は
お金のために生きている
お金こそが 私の存在意味になってる
誰か助けて・・・
そう思ってる間にも
また仕事に追われる私がいる
話はそんな夜の一角から始まる
ヒカリ:
私はヒカリ。夜の街に生きる女だ。
20 M 平米のフロアにいて、ひたすらに時間と人々の呼吸と話し声、とグラスの中の氷が鳴る音に
神経を尖らせる日々を送っている

ユウキ:
フロアには他に10人程度の
キャストがいる。
みんなお店のためと
自分の収入のために
神経をすり減らしている
笑顔の中に図太さを
微笑みの中にずる賢さを
自分の経歴に適当なウソを
そしてお金と自分の誇りを引き換えに
生きてきたのだ

ヒカリ:
すべては、一人の大金持ちを
幾人ものキャストで
奪い合うためだった。
今のかくなる私は
その大金持ちを捕まえた、
いわば勝ち組である。

ユウキ:
彼女は身長155バスト82
ウエスト56ヒップ84
E カップ。
頬には紅色のコンシーラー、
唇にはほのかな甘い香りが漂う
レーザールージュの口紅を、
衣装は紺色の下地に
銀のスパンコールがあしらわれた
露出があるスーツを選ぶ。

ヒカリ:
もちろん嫌だ。
何が悲しくていい年こいて
こんなものを
着なきゃいけないのか

恥ずかしいと思う自分に
ピリオドを打って
店のフロアに出た時
私はさながら女優になる
これまでの自分を否定し
頂いた源氏名に
ふさわしい女になりきる。
大人の貫禄を漂わせ、
どんな話題も笑顔で頷き
優しく時には真摯な言葉で
励ます。
深い良いではなく、
ほろ酔いの状態を
上手い具合にキープしたまま、
グラスの氷は絶やさずに
ぬるいお酒で機嫌を損ねる
可能性がある人だからだった。
真面目な人だからジョークや
うるさいおしゃべりは控えめに
時には手などをタッチしてもらって
持ちつ持たれつ、退店までお付き合い。
こうやって
彼の好きな甘えられる
しっかりした落ち着いた
度胸の据わった
おしとやかな女性を演出する。

教えられたことがある。
お酒で酔わせて
男が自慢話を始めたら
手をたたいて
褒めて褒めて褒めちぎる
男がやや冷めてきたら
ちょっと冷たく場を変えてみる
男がちょっと落ち込んだら
とにかく場の雰囲気を保たせて励ます。

キャバクラの接客は
ふたえにする女優のごとしと
いったキャストもいたくらいだ。
お客とは付かず離れず一夜の仲。
私はこの教えだけは守っていなかった

私は他の客には目もくれず、
1人お客さんに好かれることに
特化したのだ。
理由は羽振りも良かったのと
将来の約束をしてくれた
ことにあった。

ユウキ:
僕は必ず君と一緒になって
君を幸せにするよ

ヒカリ:
朝は午前6時にモーニングコール
単身赴任の彼のために
昼の弁当を作りしておく。
午後6時、晩御飯を作り置きしておいて
私は早い時間帯に出勤。
彼からの連絡を待つ
彼から連絡が入ったら
午後8時彼が近くまで来ているから
私が迎えに行って、
同伴で出勤するのだ
午前2時までお店でお話ししたり
お酒を利用したりしてもらい
終わった後はラブホテルで
軽くエッチ。
翌朝までには彼は家に戻っているという
算段だった

ユウキ:
しかし、この日は違っていた。
待ち合わせの場所になっても
彼は現れず、かけた携帯にも
着信は付かなかったそうだ。

ヒカリ:
どういうことなんだろう。
私は直ちに店に戻る。
とそこで驚愕な光景を
目の当たりにする

ちょっとあなた・・・
そこには自分とは真逆の
キャピキャピのキャバ嬢に
腕を取られている
私の客の姿があった。

ユウキ:
ごめんね

ちょっと・・・好き だって
言われちゃったもんだからさ
君とは違って・・やっぱり
女は若さが決め手だよね

そうやって彼はその女と
店を出ていった・・・
目で追いかけると
隣の店に消えていく・・・

やられた・・・
引き抜きだ・・・。

私はパニックになっていた
売上どうしよう
私の人生どうしよう
彼には内緒で小さいながらも
愛の巣を買っていたのだ。

彼女は、途端に目の前が真っ暗になり
その日から目の色が変わったように
営業を始めたらしい。
しかし、全ては遅かった。
客は全て店の子達の
歯牙にかけられ、
年増なヒカリが付け入る隙は
なかったのだ
加えてヒカリは
将来結婚する気でいたため、
この客だけを大事にしていた、
ゆえに周りの子からは
総スカンを食っていたのだ

そして・・・最悪の結果が出た

ヒカリ:
ちょっと待ってよ
今日支払いだって言ってたでしょ
今日支払ってもらわないと困るの
別のお店の支払いもあるんだから

ユウキ:
そんな事は知らないよ
大体において
君が全部やったことだから

ヒカリ:
そんな!!
私はあなたのことだと思って

ユウキ:
うるさいな!
とにかく、ないものはないんだ
あんまり しつこいと 
警察をを呼ぶよ

ヒカリ:
ひどい!あんまり!あんまりよ!!

女:
あなたはヒカリさん・・・
見れば見るほど馬鹿な女・・・
ユウキ:
誰だよ?この人。
女:
誰なの?この人
ユウキ:
バカだな分からないのか
こいつは俺に
こびへつらおうとする
ババアだよ
ヒカリ:
だましたのね!?
女:
失礼ね、騙したのではない
あなたをおもちゃにしていただけ。
ヒカリ:
そんな・・・
ユウキ:
諦めな!人生、諦めることも肝心だよ
ヒカリ:
ひどいひどいひどいあんまりよ
ユウキ:
うるさい!!!

ユウキ:
そして彼女は右ほほに
強烈な痛みを覚え
気づいてみたら
店の外に転がっていた
自分のロッカーの持ち物と共に
ヒカリ:
そのお客とは3年前に知り合っていた
思えば色々なことを話したし
色々な相談にも乗ったし
私もいろいろなことを
陰ながら色々な手を尽くして
今の仕事のために尽くしてきたつもりだった
しかしその頃の笑顔はもうなりを潜め
彼は私を腫れ物のように眺めている
ヒカリ:
邪魔者のように私を見下ろしていたのだった
うめき声をあげて私は身を起こす
頬が著しく痛い
そして耳がキーンとなってる
もう・・・疲れた・・・
私はするすると体を起こすと
遠くからの車のヘッドライトに
身を委ねることにする。
・・・身を委ねようとした時・・
不意に耳元で声が響く。
ユウキ:
一緒に来るかね
ヒカリ:
そしてわたしは仲間になった
ユウキ:
しかし最初のうち
彼女は私になつくことがなかった
何をしても何をしてあげようと思っても
常に上目遣いで信じられない顔をした。
冷たい顔だった冷たい女だった
でも私はとにかく笑顔で接するようにした。
まごころをみせようとしたのだ。
2年経った頃からだろうか・・・
徐々に彼女打ち解け初めて来た
半年後、僕は彼女を誘った
彼女は二度とこんな自分が
作られないようにと願いを胸に
参加要請を承諾した。
ヒカリ:
それからというもの
私、ヒカリは
偵察索敵情報任務の先端を
行くことになった

ユウキ:
次回レジテンドコード・ゼロ第3話
おたのしみに