第九条~幻燈狼狐伝2  | 劇部屋24シアターズ

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劇部屋24のオリジナル作品「月羽妖夢伝」制作近況や
劇部屋24での上演記録を残していきます!!

第九条~幻燈狼狐伝2 <非公開作品群>
●コウエン●
かまど猫の件が解決しても、
僕たちはまだ元の世界に戻れないでいた
■ツキ■
なあ、コウエン。
●コウエン●
なに?ツキ。
■ツキ■
あのさぁいつになったら戻れるんだ?
●コウエン●
わかんないなあ。そんなことは
■ツキ■
わかんない?ウソだろ?
ちょっとはわかってんじゃねえのか?
●コウエン●
ごめん本当にわかってない
■ツキ■
だってお前昨日俺のしっぽにくるまって
寝てる時、あーだこーだ言ってたじゃねえか。
●コウエン●
ああ確かに言ってたね
でもあれは考えてみたら
何の確証も根拠もないことだったんだ。
■ツキ■
ゲーーー
●コウエン●
でも確かに言えることは
ここが元の世界とは違うこと
■ツキ■
確かに。それは確からしいな
●コウエン●
そして必ず事件に巻き込まれること
■ツキ■
そ、それもそうだな。
●コウエン●
ツキ。話は後だ。また事件が起こりそうだよ
■ツキ■
どういうことだ
●コウエン●
ほら
●コウエン●
指差した道端の真ん中には
古ぼけた一体の人形があった
■ツキ■
おい、あれすごく禍々しくないか
●コウエン●
うんちょっと禍々しいね
■ツキ■
ああれは見たことあるような気がする
●コウエン●
ほう!!
■ツキ■
何でも捨てちゃったら私メリーさんここにいるのって追いかけてくる系のやつじゃないか
●コウエン●
あーなるほど。あれかー
■ツキ■
ある少女が引越しの際、古くなった外国製の人形、「メリー」を捨てていく。
●コウエン●
その夜、少女に電話がかかってくる。
■ツキ■
「あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの…」
●コウエン●
少女が恐ろしくなって電話を切ってもすぐまたかかってくる。
■ツキ■
「あたしメリーさん。今タバコ屋さんの角にいるの…」
●コウエン●
そしてついに「あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの」という電話が。
■ツキ■
怖くなった少女は思い切って玄関のドアを開けたが、誰もいない。
やはり誰かのいたずらかとホッと胸を撫で下ろした直後、またもや電話が…
●コウエン●
「あたしメリーさん。今 あなたの後ろにいるの」
ぎゃ~~~~!!!
って やつだよね??
■ツキ■
そうそう
●コウエン●
そのメリーさんが今目の前にいる
■ツキ■
そう
●コウエン●
こんなに魔力ビンビンだから、捨てても当然追いかけてくる
■ツキ■
そう
●コウエン●
だから解決しなけりゃ帰れない
■ツキ■
キッサマーーーーーー!!

■ツキ■
あのさぁコウエン。
●コウエン●
なんだよツキ
■ツキ■
何で俺が人形を持つことになってるんだ
●コウエン●
それはなりゆきだよ。仕方ないじゃないか
■ツキ■
仕方なくないよもう
●コウエン●
だって、もし俺がメリーさんに取り憑かれて
ツキの魔力で抑えきれなくなったら一体どうするんだ?
■ツキ■
それは・・・
●コウエン●
だろ?それにさ・・・
■ツキ■
それになんだよ
●コウエン●
それにほらメリーさんだって
ツキのコト気に入っているよ
■ツキ■
え!?
●コウエン●
私メリーさんツキさんに抱っこしてほしいの
■ツキ■
なになになになになにいいいいいい?
●コウエン●
あ、悪い。今のボク。
イタズラしてゴメンネ。
■ツキ■
クソ野郎!!いつか、ぶっ殺す!
●コウエン●
ごめんって。でも、見て。月に抱っこされたら、
この人形の表情が柔らかくなったと思わない?
■ツキ■
そ、そうか??
●コウエン●
まんざらでもないね
■ツキ■
うるせえよ。
それより・・・こいつ、どうすればいいんだ?
●コウエン●
うーん・・・とりあえず・・・
元の持ち主のところに
持っていくべきだとおもうんだ。
■ツキ■
それは賢明だな
●コウエン●
だろ?さて、と・・・
この人形の持ち主さんは誰なのかな?
えーっと・・・
■ツキ■
待て。コウエン。
オレに考えがある。
●コウエン●
どうするんだ
■ツキ■
その人形の匂いを嗅がせろ
そうすればそこに残った香りから
所有者を特定できる
●コウエン●
なるほど。
■ツキ■
クンクンクンクン
●コウエン●
俺には何も臭わないぞ
■ツキ■
おいコウエン。ヤメロ。
●コウエン●
え?
■ツキ■
人形のパンティーをクンクン嗅いでも
臭うわけねえだろ・・・
●コウエン●
そお?
■ツキ■
バカかてめえはそんなところ好き好んで
触るヤツなんかいねえっての!!
それに!この台本、成人エックス設定がついちゃったら、
作者立ち直れなくなるんだぞ!
セリフの訛り治らないレベルじゃないんだぞ!!
●コウエン●
えーーー
■ツキ■
えーじゃねーの!!
落ち込まないの!!
よこせ。俺がやる
●コウエン●
はーい
■ツキ■
ったく!クンクンクンクン

■ツキ■
甘酸っぱい匂いがするななんだろうこれは
●コウエン●
何かわかるのか
■ツキ■
あーこれは赤くて甘酸っぱいそうりんごだ
■ツキ■
芳醇で濃厚なりんごの匂い
●コウエン●
なんだよそしたらこれは市場で捨てられたものだというのか
■ツキ■
俺はそう思う。だって、これはリンゴの臭いに他ならない!
●コウエン●
じゃあ行ってみよう

●コウエン●
なァ ツキ。
■ツキ■
なんだよコウエン。
●コウエン●
市場に来てみたけどさ~ここには人々の雑踏ばっかりで
人形なんかおいてすらないよ
■ツキ■
おかしいそんなはずはない
●コウエン●
じゃありんご屋のところを探してみようか
■ツキ■
ああ。
●コウエン●
ここだ市場のはずれの
りんご屋だ!!
■ツキ■
んーーー
●コウエン●
あれどうしたんだ?ツキ?
■ツキ■
違うんだ!違うんだ・・・
何かが違うんだ
●コウエン●
どういうことだ
■ツキ■
匂いが違う
●コウエン●
え?
■ツキ■
ここには確かにリンゴがある。でも、ないんだ。
●コウエン●
どういうことだ
■ツキ■
どう言えばいいかな・・・
確かに俺達の求めているのはリンゴだ
しかし探しているりんごの匂いがここにはないんだ
●コウエン●
ほう!じゃあ場所を変えてみればいいってことだね
■ツキ■
あーそうなるな
●コウエン●
じゃあ行ってみよう
■ツキ■
いってみようって、アテがあるのか
●コウエン●
んーよくわかんないけど・・
行ってみよう!!
■ツキ■
って、コウエン・・・
●コウエン●
なに?
■ツキ■
ここ・・・どこだ??
●コウエン●
ここは洋館だよ!素敵なところだろう!
■ツキ■
すげえところだなー
●コウエン●
たろたろすげえだろ行ってみよう
■ツキ■
って、あれ?コウエン?
●コウエン●
あ!!すいませんすいません・・・・
それで・・・・ご主人様には、お話は、通してあるんですが・・・・
ここのお館に化け猫の気配がするということで、
ちょっと捜索にあたらせて頂きたいんですよ
・・・はい・・・・化け猫というのは非常に恐ろしい生き物でして、
人を読むと食らうという風に申されておりまして・・・はい・・・
確証ですか?確証は、ここにいる、妖狐の「ツキ」というものがおりまして、
ここには、確実に、化猫が居ると確信しておりますもので・・・・
はい・・もし、誤報でしたれば、妖狐の肉を1 kg もれなく、差しあげますので、
それで晩御飯の足しにしていただければと・・・・
妖狐のお肉はグラム1万円のお取引でゴザイマス・
はい!妖狐の肉は誠に美味というふうに聞いておりますので!はい・・・・
では、よろしくお願いいたします・・・・・
■ツキ■
おい?コウエン・・・?
●コウエン●
なに?
■ツキ■
なにやってんだ
●コウエン●
なにやってる?って・・・・やだなぁー。
洋館立ち入りのアポ取りじゃないかアポ取り。
■ツキ■
アポ取りだあ??
●コウエン●
そうだよ。人間という生き物は、格式にこだわる生物だよね。
段取りとか、そういうことだとか、どうでもいいことに時間を費やすもんなんだ
■ツキ■
それは分かってる!!だけどさ・・・・
●コウエン●
だけど・・・・どうしたんだ?
■ツキ■
なんで、失敗したら俺の肉1 kg だとかそういう話が出てるんだ
●コウエン●
小声(チッ 聞こえていたか地獄耳)
■ツキ■
何か言ったか?
●コウエン●
いやいや・・・・・何もお前の肉のことについて削り落とすとか、そういう話はね
してないよ~してたけど。・・・・あ、そうだ。あの話はな・・・担保の話なんだよ
■ツキ■
担保・・・・だと??
●コウエン●
そうだよ!!もしも約束したことができなかったらどうするかっていうことなの!
でも、今の場合は。単なる儀礼的なものだよ。
まさか、お前が失敗するとなんか誰も思ってなんかいない。
あてにしているからこそ、担保というものを作るんだよ
これは、人間の習慣と伝統というものなんだ。いいか?
■ツキ■
そうか・・・そういうものなのか・・・ならいいけど
●コウエン●
よきよき
■ツキ■
まだだ!!まだ聞きたいことがある。
この場所と、りんごと、どういうの繋がりがあるんだ?
●コウエン●
そこなんだよそこの確証が欲しかったからこうして僕たちは来たんだよ
■ツキ■
確証・・・ね・・・
●コウエン●
あ・・・・すいません・・・・・
娘さんの部屋見せていただける件どうでしょうか?
ご了承いただけないでしょうか??

●コウエン●
あ Ok ですか。
じゃあ いまから家に入らせていただきます。
ありがとうございます
■ツキ■
おい
●コウエン●
うん?どうした??
■ツキ■
この部屋何もなさそうだぜ
●コウエン●
いやそれは・・違うとおもう・・・
■ツキ■
なんだと? どう、ちがうっていうんだ・・・?
●コウエン●
なるほど!そういうことか!!わかったぞ!
■ツキ■
おいコウエン分かったって何が
おい、おおおーい
●コウエン●
あ、そういえば・・・娘さんのお部屋、見せていただきまして
ありがとうございました。やっと例の化け物の正体が分かりました
■ツキ■
ちょ!ちょっとまってくれ!
ええ?本当なのか??
●コウエン●
ハイ。そうです。ご婦人様、そして、ツキ。
■ツキ■
じゃあ・・・・正体は何だったんだよ。
●コウエン●
はっきり申し上げましょう。それは「霊魂」なんです。
■ツキ■
れ、霊魂(れいこん)!?もしかして、呪ったりする、悪さするって、あれか?
●コウエン●
それは、悪霊!ちがうよ。霊魂はね・・・・
あなたを守護しようとうろついているのです
■ツキ■
何と??どういうことだよ?コウエン!?
ご婦人、驚いていらっしゃるじゃないか
●コウエン●
前後してすみません。お尋ねします。
小さい頃家が引っ越すとかなんとかで
大事にしていた人形を
捨てられた思い出はありませんか
■ツキ■
・・・・・・・・・・・え!えええ!
奥様あるんですか!?
●コウエン●
その時に捨ててしまった人形は
これじゃなかったですか?
ツキ。悪いんだけど
さっきの人形を見せてあげて
■ツキ■
こ、これか?
・・・・・・・・・え!えええ!?
コレが、ご婦人の幼い時
捨てられた人形!?
●コウエン●
この人形はお返しします。
良かったですね。これからも 大事にしてあげてください

●コウエン●
お代金はまたいただきにきますよ。
一か月後。またよろしく。
行こう。ツキ。
早く行かないと
ご婦人方の
貴重な再会の時間が短くなってしまう。
■ツキ■
あ、ああ。そうだな。



●コウエン●
なァ。コウエン。
どうしてわかったんだよあの人形が
ご婦人の捨てられたものだって。
●コウエン●
一つはあの人形から
りんごの匂いがしたことにある。
市場に行った時に君はそのニオイが無いと言った。
すると残りはそのりんごがかおる場所
つまりはゴミ捨て場だと踏んだんだ。
■ツキ■
でもあの家のものだということはわからないだろ?
●コウエン●
それは人形をからわかる。
このご時世にあんなに手の込んだ装飾をする
というのはよっぽど裕福な家か人形マニアか
そのうちのどちらかだけさ。
■ツキ■
婦人の持ち物ということについては
●コウエン●
雑誌を読んだんだ雑誌にあった服が
人形に着せられていたからね
■ツキ■
あの人形も最高に思い出のある服を
着たかったに違いない。
お気に入りをそばに置こうというのは、
どうやらいつの時代の人間も同じようだな
■ツキ■
そしてまた一つの事件が終わる。
●コウエン●
僕たちはまた見果てぬ旅に旅立っていくのだった。
■ツキ■
次の事件はなんだろう。それを話すのは またこんどだ!

おわり