Scrambler 優性モルフ (Dominant Morph)

 

 

Scrambler

 

オレンジ色の発色を上げる作用を持つMorphで

OrangedreamPiedとのComboが数多く作出されています。

Singleで大きなインパクトを与えるというよりも

他のMorphの良いところを引き出す縁の下の力持ちタイプであり、

発色の良さや腹上がりの白さはLaceの様な雰囲気も醸し出しています。

 

そんなScramblerは2012年にMarkus Jayne が、かなり色の明るいSOD Fireの♂を

Ozzy Boids から購入したことから始まります。

 

※SOD=Super Orangedream

 

ODがMorphとして確立されてからまだ間もない時期でSODOzzy の手から

他のBreederの手に渡るのはこれが初めての事でした。

 

そして、Ozzy から来たSOD Fireを繁殖に用い

色々なClutchを採っていく中で

リデュース傾向とオレンジ色の発色の良さに気がつきますが

この時点ではSODによる効果ではないかと考えていました。

 

OD Comboもまだ出回っていなかった事から

目を引いた個体達はキープし

色の変化を含む成長の過程を観察する事にしました。

 

その後も交配を続けていく中で気づいた事があり

PiedとのComboではLow Piedになりやすい傾向があるとともに

柄が出ている部分はScramble Patternが出やすい事が分かりました。

 

この事から他の遺伝子が混ざっているのではないかと推測し

知り合いのBreederに渡す時も

誕生した個体に変わった事や気づいた事があれば

教えてほしいと伝え、遺伝子の解明に取り組んでいきました。

 

そして数多くの卵を採り

生まれてきたBabyを比較していくと

かなり明るいオレンジ色が遺伝している事が分かり

妻のJayne に写真を見せ感想を聞くと

同じ蛇には見えないと言われ、Scramble Patternの特徴から

その遺伝子にScramblerと名前を付けました。

 

SingleのScramblerはリデュース傾向が強く

少しギラついたオレンジ色を発色するのが特徴で

明るい系のMorphとの相性が良さそうです。

 

しかし、まだDark系とのComboがあまり作出されていないので

個人的には黒くしてみた時の効果が気になります。

 

OriginatorのMarkus Scrambler Combo

かなりオレンジ色の強い個体達を誕生させているので

いくつか紹介していきたいと思います。

 

 

↑OD Scrambler

 

オレンジ色の発色を良くしていくために

ODScramblerを用いたComboになります。

ODのPatternは3種類程度あると感じていますが

この個体は黒がしっかり出つつリデュース傾向はそこまで強くないですが

バンディット表現が少し崩れているタイプだと感じます。

そこにScramblerが入る事でお腹側からの白上りが出ています。

この白の上がり方を見てLaceの様な印象を受けたことを覚えています。

 

 

↑SOD Scrambler

 

先程の個体にODの遺伝子が更に1つ乗って

オレンジ色の発色が上がりリデュース傾向が強まっているのが分かります。

腹からの白上りも分かりやすく

NormalのBallpythonからはかけ離れた色をしています。

Babyの時の発色の良さに目が行きますが

成長していってどの様な色の変化をしていくのかが気になります。

 

 

↑SOD Calico Scrambler

 

先程の個体にCalicoが入ったComboになります。

オレンジ色の蛍光色が更に強まるとともに

Calico特有の腹からの白上りが最高に効いています。

明るい部分はしっかり明るく、黒い部分もしっかり強く黒いのも

この個体の良さだと思います。

Spiderを入れて腹からの白上りをもっと強くしてみたくなります。

 

 

↑SOD Cinnamon Scrambler Ghost

 

リデュースとは程遠い柄が乱れた表現になっており

一部分にリンガーが出た個体になります。

Cinnamon OD Ghost系は柄が乱れる事が多く

そこにScramblerODの遺伝子が更に入る事で

ここまでの乱れが出ていると考えられます。

 

Ghostの真価はここからの色抜けによる幽玄な色合いなので

ここからの色の変化も楽しめるComboだと思います。

 

 

↑SOD Cypress Leopard Scrambler het Clown

 

尻尾に向かってのリデュース加減はODのお手本の様な表現をしており

黒色の出方もしっかりLeopardODを感じられる個体です。

ここまで多重になってくると中々Scramblerの判別が難しく

若干の腹のクリーム色から判断したのかと推測しています。

 

Scrambler Clownがどの様な表現になるのか楽しみで

オレンジ色よりも黒色の発色を強くしてくれると

今後のScramblerの立ち位置も変わってくるのかと思います。

 

 

↑SOD Java Scrambler Ghost Pied

 

Scramblerを語る上で外せないMorphがODPiedだと感じており

その両方が入ったScrambler Comboの個体です。

やはりLow Piedの表現になっており

尚且つオレンジ色の濃さが尋常ではないぐらい強く出ています。

Patternもあまり見た事がない表現をしており

Scramblerの名前の由来となった

Scramble Patternがしっかり出ていると思います。

 

 

↑SOD Super Scrambler Ghost Pied

 

この個体はSuper Scramblerではないかと考えられている個体で

あくまで推測でMorph判別されています。

今のところScrambler優性Morphとして扱われていますが

共優性Morphである可能性もまだ残っており

検証段階となっています。

 

Low Whiteの表現にオレンジ色を通り越して黄色に近い発色をしています。

柄の中のPatternも独特で二重線が乱れながら尻尾に向かって

整っていくような表現になっています。

OD Piedでは二重線が出やすいですがScramblerがそこを乱しているのか等

推測するのもBallpythonの面白いところです。

 

今回はScramblerについてまとめていきました。

 

今後、オレンジ色を強くしたい時には必須のMorphになってくるような

強い効果が期待できるMorphです。

個人的にPied化した時にLow Piedが生まれやすいのも

PiedをBreedしていく中で大きな存在になると感じます。

 

Enchiも同様にPied化した時にLow Piedが生まれやすい事から

重宝されているMorphなので

Scramblerも更に評価されていくと思います。

 

 

また、

比較的新しいMorphですが、確立されるまでに10年近くの月日を要しています。

それだけ、隠されているMorphの単離は難しく

情熱を維持し続けるのも大変だと思います。

 

新しいMorphが確立されていく事でBreedingの幅も広がり

それまで注目されていなかったMorphの評価が上がったりするのも

Ballpythonが長年愛されてきた要因の1つだと思います。

 

δ7Ballpython

 

画像引用

Markus Jayne