Cryptic/Amur/Gizmo 劣性モルフ (Recessive Morph)

 

 

Cryptic

 

今回はClown対立遺伝をする

劣性MorphCryptic/Amur/Gizmoについてまとめていきます。

 

この3つのMorphについては同じ遺伝子である可能性が高いとされていますが

それぞれ確立された背景に歴史があるので各々まとめていきたいと思います。

 

まずはCryptic.

表現の特徴としてはまずEye Lineが太くなり繋がる事が多いです。

また、Towerと呼ばれるPatternが表れやすく

お腹から背中に伸びる矢印の様な模様が多くみられ

背中を跨ぐことが多い様に感じます。

お腹の模様はCrypticではあまり見られない事が多い様ですが

Amurのお腹にはギザギザした模様が出る事があります。

 

CrypticBELL LineDesertGhostから派生されて確立されたMorphです。

Clownと対立遺伝体を形成し、het Clown het Crypticの状態で表現が現れます。

 

het Clown het Cryptic = Crypton

 

状態的にはDouble hetですが表現が出てくる事が特徴です。

CrypticCryptonはかなり表現が近い為

判別するのがかなり難しいです。

 

その為、CryptonにはCrypticよりもClownを掛け合わせた方が

子供の判別が容易になります。

何故かというと、Crypton×Crypticの掛け合わせで生まれてくる子供は

 

Cryptic 1/2

Crypton 1/2

 

となり判別が難しくなってしまいます。

 

Crypton×Clownの掛け合わせでは

 

Crypton 1/2

Clown 1/2

 

となりCryptonClownの判別は容易にできるためClownをおすすめしています。

 

また、Cryptic×Clownの掛け合わせはすべてCryptonになり、

Crypton×Cryptonの掛け合わせは

 

Cryptic 1/4

Crypton 1/2

Clown 1/4

 

になります。

 

Crypticの部分をAmur.Gizmoに置き換えても同じ事が言えます。

その場合

 

het Amur het Clown = Amon

het Gizmo het Clown = Clizmo

 

という名称になります。

 

Crypticは2020年頃にFireball Reptiles Jeremy Smith のRequestにより

Morph MarketではunknownからRecessiveに変更されました。

比較的新しいMorphでこれから更に色々なComboが生まれてくると思います。

最後にまとめて好きなComboを載せていこうと思います。

 

次にAmurについてまとめていきます。

Amurは2013年にMarco Van Haren によって見つけられたMorphです。

Europe VersionのCrypticといった印象を持つ方も少なくないと思います。

 

 

Amur

 

やはりCrypticとかなり似ています。

Patternだけを見るとHidden Gene Woma

似た模様になる事が多い様に感じます。

 

Amurは最初、優性遺伝をするMorphだと

OriginatorのMarco Van Haren は推測していましたが

結果的に劣性遺伝である事が分かりました。

 

そんなAmurは2013年に

Pastel Harlequin het DG × Pastel Harlequin het DG

のClutchで偶然誕生しました。

最初はHarlequinの変わったタイプが生まれたと思い

新しいMorphであるとは思いませんでした。

 

2014年にはCinnamon het DG × het DGのClutchで

Harlequinが入っていないにも関わらず

同様に変わった表現の個体が誕生しました。

 

両個体とも♀であったためスーパー体が存在するのかを検証する事になります。

2014年のClutchでは2匹のCinnamon DGが誕生しており

♀の方は一般的なCinnamon DGであったが

♂の方はCinnamon Amur DGである事が今では分かります。

2014年当時はCinnamon DG自体がどの様な表現になるのか分からなかった為

Amurの解析にも時間がかかったそうです。

 

優性遺伝であると公表された後、劣性遺伝であると訂正されましたが

その背景には2つのClutchが関わっており

2014年に誕生したCinnamon Amur DGの♂を2匹の♀と交尾させ卵を採りました。

 

Cinnamon Amur DG × Orange Ghost 9Eggs

Cinnamon Amur DG × VPI Axanthic 7Eggs

 

計16卵採り、孵化させましたがAmurは1匹も誕生しませんでした。

Amurが優性遺伝ならば1/2の確率で生まれてくるため

16卵で0となると優性遺伝でないと考える必要が出てきます。

 

その後、Cinnamon Amur DG × Pastel Harlequin het DG

でClutchを取った結果、Amurが誕生しました。

これらの事からMarco Van Haren の所有している

het DGhet Amurを持っている個体が多く

Amur劣性遺伝であり偶発的に最初のAmurが誕生したのだと結論付けられました。

 

Europeでは洗練された鮮やかで品のある表現をした個体が多い印象を持っていますが

Amur Comboに関しても同じ印象を持っています。

Americaから出てくるCryptic Comboはどちらかというと

派手で厳つい表現を目指している事が多い様に感じます。

どちらの表現も魅力的なので参考に画像をBlogの最後に載せようと思います。

 

そして最後にGizmo.

 

 

Gizmo

 

Gizmoは2012年にSnakeme Mike Wilbanks から

Clown ♂Lemonblast ♀を購入しました。

そこからhetを採って、HomoのClownを目指す計画を実行し

2015年に9個の卵を採る事に成功、

無事に孵る事を願って約60日間待ちました。

 

そして卵は腐る事なく無事Hatchする事になりますが

ここで想像していた表現とは違う個体が誕生する事になります。

 

 

 

↑Pastel Clizmo aka Pastel het Clown het Gizmo

 

太く繋がったEye LineにSingle Pastelではまず見られない表現をしています。

結果的にこのClutchでは以下の個体達がHatchしました。

 

1.0 het Clown

3.0 Clizmo

1.0 Pinstripe het Clown

0.1 Pastel Clizmo

0.1 Lemonblast het Clown

0.2 Lemonblast Clizmo

 

 

↑ Clown ♂ × Lemonblast het Gizmo ♀

 

結果的にLemonblasthet Gizmoを持っていた事が分かりました。

この9本は全てKeepして検証していく事になります。

 

そして翌年の2016年に同じ組み合わせで再度Clutchを採り

9つの有精卵を採る事に成功しました。

 

1.1 het Clown

2.0 Clizmo

0.1 Pastel het Clown

0.1 Pinstripe Clizmo

0.1 Lemonblast het Clown

2.0 Lemonblast Clizmo

 

 

↑ Clown ♂ × Lemonblast het Gizmo ♀

 

2回目のClutchでもClizmoが誕生し

しっかりと遺伝している事が分かりました。

その後、Keepした個体達からGizmoが誕生し

Clown対立遺伝をする事が確立されました。

 

個人的にはCryptic/Amur/Gizmoにおける大きな違いはないと感じており

3つのMorphを見分けるのはかなり難しいと思います。

 

それぞれのMorphが各国で検証され確立されていくストーリーは

Ballpythonが好きな方たちには夢のある堪らない話ではないでしょうか。

この様にして次々に説得力のあるMorphが確立されていくのも

Ballpythonの良いところだと思います。

 

次にそれぞれのComboを紹介していきたいと思います。

 

 

↑Enchi Crypton

 

元々Eye Lineが太いCryptonですが

そこにEnchiが加わる事で更に太くなり頭の後ろで繋がっています。

Enchiの金質がしっかり出つつPatternもバンディット表現が出ており

Sideの宇宙人模様は消失しています。

Crypton特有のお腹から背中にかけてのTowerと呼ばれる矢印も

しっかり表れておりそれぞれの特徴が良い方向に進んでいるComboだと思います。

 

 

↑Pastel Leopard DesertGhost Crypton

 

世界最先端のComboである事は間違いないと思います。

Pastel Leopard DesertGhost Clownではここまでヒョウ柄が出ない為

Patternを厳つく派手にしたい場合はCryptonの方が良い

分かりやすい例だと思います。

背中にしっかりと尻尾付近まで伸びるStripeを軸に

Sideは大きなSpotや沿うように伸びるPatternが散らばっています。

頭はしっかり抜け体色はDesertGhostのBaby時における濃くて

メリハリが付いた色合いが見て分かります。

Axanthicを入れたら完全に完成された表現になると思います。

 

 

↑Pewter Harlequin YB Amur DG

 

毎年オランダのTop Breederが多く作出しているAmur Comboです。

DesertGhostが入っているので色が鮮麗なのは勿論の事、

目を引く部分は暗色部と明色部のContrastの濃さです。

Pastelが入っているので頭や体の色が抜けていますが

黒い部分がかなり濃く出てきています。

AmurClownに置き換わった場合は表現にかなり違いが出てくるため

Amurでしか出せない表現だと思います。

 

 

↑Cinnamon Amur DG 66% het VPI Axanthic

 

Cinnamon DGではSideのPatternが大ぶりになる事が多いですが

Amurが入った場合は高確率で縮小された様な表現になります。

またしっかりとEye Lineが太くなっているのが分かります。

66% het VPI Axanthicなのでもし入っていたら

3重劣性が狙える個体になります。

おそらく今年には誕生するのではないかと推測しているので

どの様な表現になるのかとても楽しみです。

 

 

↑Bongo Clizmo

 

Bongo Clownよりもワントーン色が明るくSideのPatternは大ぶりになっています。

またBongo Clownでは背中の染み抜けが出ますが

Bongo Clizmoではあまり出ない事が多いようです。

ですが顔の色抜けはBongo Clownにかなり近い表現をしています。

個人的にはここからBlackheadBlackpastelを入れてみたくなります。

 

 

↑Spotnose Gizmo

 

Clownと相性抜群のSpotnoseとのComboです。

やはりGizmoとも相性が良く厳つく攻撃的な表現が好きな方には

間違いなく刺さるComboではないでしょうか。

背中のPattern的にYellowbellyも入っていると思います。

更にLeopardの加えてBatmanとどのくらい変化するのか見てみたいです。

Clownにはない表現を出してくれるCryptic/Amur/Gizmoは更に

BallpythonのBreedの楽しみを広げてくれたMorphだと思います。

これからまたNew Morphは増え続けると思うので

一生楽しみながらBallpythonを飼育していきたいと思います。

 

今回はCryptic/Amur/Gizmoについてまとめていきました。

太いEye LineにTowerと呼ばれるPatternが特徴の劣性Morphです。

Cryptic/Amurは日本でも馴染みがあるので知っている方も多いと思いますが

Gizmoはこの中では1番新しいので知らなかった方も多いと思います。

それぞれのMorphが誕生するまでに様々な過程があり

それを知る事で見えてくる事も沢山あると思います。

 

沢山のMorphがある事で幅広い表現が可能になる

Ballpythonは最高の生き物だと思います。

これからも新しいMorphが確立された際に随時更新していきたいと思います。

 

δ7Ballpython

 

画像引用

 

 

 

http://snakeme.eu/