Monarch 劣性モルフ (Recessive Morph)
Monarch
UltramelのLine違いと言われてるMonarch.
個人的にはUltramelよりもかなり
濃い色を出してくれる個体が多い様に感じます。
全体的にワントーン濃い印象を受けますが
その中でも暗色部の濃さが際立っており
Ultramelではまず見られないマットな茶色を表現してくれます。
そんなMonarchはMonarch Ball/Rance Meier が
1999年にあまり綺麗とは言い難いPastelのPairを購入しました。
このPastelのPairは餌を食べる事が少なく10年近く小さいまま時を過ごしていました。
2008年頃になるとPastelのPairは狂った様に餌を食べ始め
やっと繁殖可能サイズになった為
Pairingを始め♀は排卵を経て卵を産卵しました。
↑Pastel Pairing
産んだ卵にはSlug(無精卵)も含まれていた為
健康な有精卵は2個しか得られませんでしたがこの2個の卵が
後に大きな感動をもたらしてくれる事になります。
本来であればPastel×Pastelの掛け合わせでは
生まれてくる可能性があるMorphは
Super Pastel
Pastel
Normal
の3種類ですが
実際に生まれてきた子供は色が明るく
背中に太いStripeが走った個体と
黄橙色と紫色が鮮やかな背中にStripeが走った個体が誕生しました。
このどちらの個体にも黒色は見られず
Pastel×Pastelの掛け合わせではまず出てくることの無い表現です。
その後、検証した結果生まれてきた子供は
Pastel Genetic Stripe MonarchとPastel Monarch
という事が分かりました。
↑Pastel Genetic Stripe Monarch&Pastel Monarch
1年半後に再度、同じPastelの掛け合わせを行った結果
7個の有精卵を得る事に成功しました。
そして全卵無事孵化した結果生まれてきた子供たちは
Super Pastel ×2
Super Pastel Genetic Stripe ×1
Pastel Genetic Stripe ×1
Genetic Stripe Monarch ×1
Monarch ×1
Genetic Stripe ×1
という結果になりました。
このClutchで初めてSingleのMonarchが確認され
その後も検証を重ねた結果
Monarchは劣性遺伝である事が確立されました。
また、変わったPastelはSingleのPastelではなく
Pastel Double het Genetic Stripe Monarch
である事が判明しました。
一般的なPastelに見えなかったのはこの2つのhetの
影響だったのかもしれません。
10年かけて育てた個体から採れた2個の卵が
無事孵った事でMonarchの存在が分かり
そこから検証してMorphとして確立された
ストーリーを考えると夢のある話であり
PastelがDouble het Genetic Stripe Monarchであった事も
含めると奇跡に近い出来事だと思います。
最初のClutchで2個の有精卵しか取れなかった中で
Monarchが生まれて来なければ
それ以上掛け合わせることなく他のPairingに
変えていた可能性もあるので本当に凄い事です。
Ballpythonの新しいMorphが誕生する裏では
この様な出来事が稀に起こります。
Morphの誕生経路を辿る事でそのMorphを
更に好きになる可能性もあるので
是非色々なMorphの歴史を調べて見て下さい。
ここからはMonarchのComboをいくつか紹介していきたいと思います。
↑Pastel Monarch het Clown 66% het GS
明るい作用を及ぼすPastelとのComboであり全体的に明るくなっていますが
暗色部はかなり色が濃く黒色に近い色合いをしています。
Contrastがかなり効いており
ここからどの程度Brown outしていくのか気になります。
また、het Clown 66% het GSという事で
将来性もありここから大いに化ける可能性を持った個体です。
↑Pastel Monarch Genetic Stripe 50% het Clown
先程の個体にGenetic Stripeが加わった個体になります。
Colorにも若干影響が出ておりより黄土色が強く出ており
Genetic Stripeの1番の特徴である背中の太いStripeがしっかり出ています。
2重劣性+50% het Clownという
最先端なComboも狙えるPotentialの高いKINOVA の個体です。
↑Enchi Monarch
Enchiが加わる事で明るくなりつつマットな色合いを出してくれています。
暗色部がかなり濃い茶色を出しており
Patternもリデュースバンディットのお手本の様な柄をしています。
基本的にEnchiとAlbino系は相性が良く
非常に濃い色合いを加えつつPatternもEnchiに引っ張ってくれます。
ここに更にCinnamonやBlackpastelを入れてみたくなります。
↑Pastave Monarch
PatternはしっかりPastelとMojave両方の特徴が出つつ
色はMonarchのマットな茶色が出ている個体です。
SimpleなComboですが再現性が高く
Mojaveの栓抜柄が好きな方に刺さる個体だと思います。
成長していった際の色の変化が気になります。
↑Pastel Calico Monarch
Calicoが存分に持ち味を発揮している個体です。
Sideのお腹から背中にかけての白上りが綺麗に出ており
暗色部もうっすらと抜けています。
Pastel.Calico.Monarchそれぞれの特徴が
バランスよく出ており
相性の良さを感じさせてくれます。
CalicoはMorphとして確立されてから数年経っていますが
まだまだやりがいのいあるMorphであり
特にAlbino系との相性が抜群です。
Monarchとも相性が良い事をこの個体から学びました。
↑Hurricane Monarch
Pattern MorphのHurricaneと
Color MorphのMonarchのComboです。
Monarchに引っ張られてHurricaneの
うずうずしい模様が大振りになっていますが
ここに更にHurricaneを重ねてHayabusa aka Super Hurricaneに
できるとかなり激しく密度の濃いPatternのMonarchが狙えます。
個人的にはMonarchにDark Morph+Pattern Morphを入れてみたくなるので
Hurricane以外にもSpotnose等を入れてみたくなります。
↑Monarch DesertGhost
MonarchとDGの2重劣性個体になります。
落ち着いたマットなキャラメル色に濃くバンディット寄りの
茶色のPatternが存在感を出しています。
リデュースバンディットタイプのDGを用いた事が
伺える美しい個体です。
成長と共にどの様な色の変化を起こしていくのか気になる所です。
濃い部分はそのまま残り明色部がWhite Outしていく気がします。
↑Monarch Clown
流石はClownと言えるような表現でBallpythonの奥深さが伺えます。
ClownとMonarchの両方を感じ取れつつも他のMorphも入っている様に
感じられる個体です。
Patternが特に見た事の無い柄をしていて背中が乱れて途切れつつも
色抜け具合に差があったりと背中だけ見ても面白い個体です。
SideのPatternも大きなスポットは出ず
細かく乱れた模様が独立しています。
Clownの面白さとMonarchの面白さをどちらも感じられる
興味深いComboです。
個人的には他のMorphも入っているのかなと思います。
今回はこんな感じでMonarchについてまとめていきました。
UltramelとLine違いと言われているMonarchですが
個人的には色の濃さが全然違うと考えており
Ultramel.Monarch共に活かすべき方向性があると思っています。
また、Monarchの誕生はストーリー性があり
Morphとして確立されるまでに奇跡に近い事が起こりました。
極稀にこの様な事が起こりますがMorphの誕生は
奇跡の連続や偶然が重なって広がっていきます。
まだまだ世に出て来ずに隠れているMorphは沢山あると思うので
これからも新たなMorphが確立され
Ballpythonの楽しさが広がっていくと良いと願っています。
それでは次の記事もお楽しみに。
δ7Ballpython
画像引用
KINOVA
Monarch ball