Piebald 劣性モルフ(Recessive Morph)
Pied
BallpythonのMorphの中でも
トップクラスに異質な存在なのがPiedではないでしょうか。
模様が出る部分と真っ白な部分が
交互に並ぶ不思議なPatternをするのが特徴です。
ちなみにPiebaldというのはアメリカ英語で【禿頭】という意味になります。
Piebaldという言葉はBallpythonだけではなく
牛や馬などの動物にも使われることがあります。
Piedは白の面積の多さで
High Pied.Middle Pied.Low Piedと分類されることがあります。
それぞれ白の面積が多い順に
High Pied>Middle Pied>Low Piedとなり、
白の面積が多いPiedをHigh Pied
白の面積と柄の出ている部分の面積が半々のPiedをMiddle Pied
白の面積が少ないPiedをLow Piedとして分類する事が多いです。
また、白い部分の面積が無く柄が出ている部分しかない
PiedをZero Pied等と呼びます。
これは白い柄が無いことからそう呼ばれています。
柄のPatternは個体によってバラバラで、
顔絵文字の様な柄が出ている個体は
Emoji Piedと呼ばれることもあります。
↑Emoji Pied
柄の中のPatternがしっかりとSmile模様になっています。
中には1匹の柄の中で3つほどSmileが見られる個体もおり、
その様な特別な個体はかなりの高い金額で取引されることがあります。
Piedの面積の比率はランダムですが、
Low Pied×Low Piedの掛け合わせでは
Low Piedが生まれる確率が高い事が分かっています。
ですが、Pied×Piedのホモ×ホモの掛け合わせは
奇形のリスクがあるといわれている事が多いです。
勿論、ホモ×ホモの組み合わせで
うまくいっている場合もありますので一概にダメとは言えません。
そんなPiedは1990年初頭に登場し
20,000$を超える金額を設定されていました。
Piedは見た目から遺伝性のない数匹だけの
特別なBallpythonとして判断されていた為、
多くのBreederは突然変異に起因する外観を持つPiedに
多額の金額を払う考えを持っていませんでした。
しかし、その中でPeter Kahl だけはリスクを冒し
Africaから来た2匹のPiedに20,000$を支払ったとされています。
そして1997年に5つの卵を採り、劣性遺伝をする事を証明しました。
Piedを販売する事でお城の様な一軒家を建てたとされています。
Piedによって大きな富を得た夢の様な話ですね。
今でもPiedの人気は高く、
ここからBallpythonにのめりこんでいく人も少なくありません。
そして、少し前までPiedはLeopardと関連のあるMorphだとされていました。
どの様な関連があるかと言うと
Leopardは全てhet Piedと噂されていたことがあります。
何故、この様な事が起こったかと言うと
Peter Kahl から入手した♂のPiedを
Greg Graziani が持っていたFHの♀と掛けあわせてClutchを採りました。
このFHの♀というのが実はLeopardであり
生まれてきたLeopardは100% het Piedになります。
このLeopardを手に入れたBreeder達はLeopard同士を掛け合わせると
Piedが生まれてくるためLeopardは
Piedのhetであると誤った情報が回る事になります。
こうしてLeopardとPiedが関連性の無いMorphである事が
分かったのは2013年の事です。
Ballpythonに歴史ありですね。
そしてPiedが大きな衝撃を与えた出来事はこれだけではなく、
2007年に真っ白なBallpythonを産み出し
またしても話題の中心になりました。
Steve Roussis がSpied aka Spider Piedを孵化させた時
頭だけに模様が残ったPiedが誕生し驚いたのですが
次に瞬間にまた驚くことになります。
全身に模様が無い真っ白なBallpythonが誕生し驚いていたところ
1匹だけでなく数匹誕生する事になります。
Steve Roussis はこの真っ白な個体に
White Weddingと名前を付けました。
Spiedの柄が出ていない個体をWhite Weddingとしており
他にもCoconutと呼ばれることもあります。
Blue Eyed LucyでもBlack Eyed LucyでもIvoryでもない
白蛇という事でまた違う異質な存在の白蛇です。
自分もどうしても欲しい時期があり凄く探していた時期があります。
Piedは意外と知られていませんが成長と共にほくろの様な
黒点が出てくることがあります。
これについても完全にランダムなので
人の手で操作する事は出来ないとされています。
その為、White Weddingであっても
成長と共に黒点が出てくる可能性があります。
個人的にはいっぱい出ているPiedも好きです。
沢山黒点が出ているPiedはDalmatian Piedとも呼ばれます。
Piedは既に沢山のMorphとのComboが生み出されており
別名が付いているComboが沢山存在します。
1部まとめて紹介していきたいと思います。
Dreamsicle aka Lavender Albino Pied
White Wedding aka Spider Pied(All White)
Spied aka Spider Pied
Pumpkin Pied aka Yellowbelly Pied
Panda Pied aka Eightball Pied
Oreo Pied aka Blackpastel Suma Pied
Pinto Pied aka Russo Pied
Lightning Pied aka MJ Axanthic Pied
Holy Grail aka Lavender Albino Clown Pied
他にも別名が付いたComboはありますが
有名どころはここら辺が挙がってくると思います。
Piedの特徴としてはやはり斑模様の独特なPatternであり、
Normalよりも少し明るいオレンジ色が出てくるところです。
そして、Piedは尻尾周辺の模様の縁取りが明るくなる事が多いです。
もし、Piedをお持ちの方は見てみると面白いと思います。
また、白の濃さは他のMorphと少し違った形質になります。
それは透き通った白のイメージよりも
絵の具で塗られたようなベタ塗りの白色になります。
例えるならばSuper Fireは透明度の高いクリアな白色、
Piedの白は絵の具の様なベタ塗りの白色という表現がしっくりきます。
次にRingerについて。
よく似た形質でRingerがありますが、Piedとは全く関係ありません。
Ringerとは体の1部が白くなるParadox(突然変異)ですが
Piedはしっかりとした遺伝性があり体全体に不規則に表れます。
その反面、Ringerは主に尻尾付近に発現する事がほとんどです。
Champagneなどによく見られますね。
次にPiedが他のMorphとComboになった時の
特徴をまとめていきたいと思います。
①EnchiとPiedがComboになると
基本的にはLow Piedになる事が多いです。
他のMorphが更に加わり多重Comboになると
少しMiddle Piedに寄ることがありますが
Enchi Piedはかなり高い確率でLow Piedになります。
Enchi Piedは金質が上がりながら柄が出る部分が多くなるので
Piedの中でも人気な部類に入ります。
柄の中のPatternもバンド質が強くなります。
②Pumpkin Pied aka Yellowbelly Piedは
柄の中の色が上がり、オレンジ色が強く出ると共に
柄の縁取りがギザギザになります。
明らかに柄の色が上がる為、
SingleのPiedとの見分けは比較的簡単に行えます。
③Mojave Piedは柄の中のPatternが消失する特徴があります。
その為、柄の中を乱したい時はMojaveを入れない方が無難です。
④Lesser/Butter Piedは眼が小さくなる確率がかなり高い為
あまりお勧めする掛け合わせではありません。
正常な状態で生まれてくる方が珍しいと感じています。
画像は載せませんが過去のLesser/Butter Blogで載せているので
気になる方はこちらを読んでみてください。
⑤Pinto Pied aka Russo Piedは顔の部分の柄が1部欠ける表現になる事があります。
↑Pinto Pied aka Russo Pied
かなりの確率でこの様な表現になりますが
何故、顔の1部のPatternが消失するのかは分かりません。
⑥Blackpastel/Cinnamon PiedはHigh Piedになりやすく頭だけ柄が残り、
他の部分は全部白い表現になる事が多いです。
Panda Piedでも全身が真っ白な表現になる事が稀にあり、
白黒の表現を狙っていてもうまく出てくれない事が多い様に感じます。
⑦Spied aka Spider Piedは頭だけに柄が残り
完全に柄が無くなっている状態をWhite Weddingと呼びます。
これはSpiderの柄を無くす作用が働いており
Piedでも適用されている為です。
↑White Wedding aka Spider Pied
いつか自分で作出したいComboの1つで
真っ白な絵の具で塗られたようなベタッとした濃い白い色が大好きです。
PiedはRecessive Morph(劣性モルフ)ですが
hetの状態でも表現に出てくることがたまにあります。
それは先程説明したRingerの様な
尻尾周辺に白い模様が出てくることがしばしば見受けられます。
hetの状態でこの様な表現が見られる個体は50%,66%het Piedであった時に
het Piedである可能性が高いとされています。
勿論、Ringerである可能性もある為
必ずしもhet Piedであるという確証にはなりません。
また、Pied Markerと言われる目印もあり
尻尾付近にお腹に沿った線が入る事があります。
これはTrain Trackとも言われます。
↑Pied Marker
この様にお腹に沿って黒い部分の線が沿うように
伸びていく表現がhet Piedでは見られます。
ですが、この線が入っている=het Piedではありません。
OrangeDreamなどではこの様な線がしばしば表現される事がある為
OrangeDream 50% het Pied等を見分けるのは難しいと思います。
ちなみにOrangeDreamのこの様な線の表現の事をOD Trackと言います。
Piedは世界的にも人気で様々なComboが作出されています。
中でもPopularなComboをいくつか紹介していきたいと思います。
↑Axanthic Pied
PiedのComboの中でも上位の人気を誇るAxanthic Pied.
ちなみにですがLightning Piedとも別名が付いていますが
その場合はMJ LineのAxanthicでしか名乗れないとされています。
それはMJ Line AxanthicのOriginator Markus Jayne が
そう定義している為です。
個人的にはどのLineでもLightning Piedと名乗っていいと思いますが
Markus Jayne が独自性を出そうとしているので
そこに合わせていると自分の中で落とし込んでいます。
まるで水墨画の様な表現が幅広い層に人気で
ペットとしても芸術作品の様に扱われています。
↑Banana Pied
大人気共優性モルフBananaとのComboになります。
こちらも可愛らしい見た目から女性の方から高い支持を得ています。
Banana PiedはBananaの血統によって
色が濃く出たり薄く出たりと個体差がある為、
自分の好きな色や柄と白い部分の配分をした子を迎える事をお勧めします。
個人的にはここにOD.YBを入れたいです。
海外では既に数多くのOD YB Pied Comboが作出されています。
↑Panda Pied aka Eightball Pied
長い間Panda Piedを自分で出そうと
Breedに励んでいる方も多いのではないでしょうか。
そのくらい魅力的な表現でBallpythonとは思えないような
白黒の斑模様を出してくれます。
しかし、Panda Piedは長年の間奇形率の高さから
敬遠されることもしばしばありました。
その理由はEightball自体が奇形率が高く、
そこに加えて劣性遺伝のPiedがComboになる為
正常な状態で生まれてくる確率が他のMorphに比べて
間違いなく低いからです。
もし、自分でPanda Piedを狙うのであれば
Piedのホモ×ホモは避け、
CinnamonとBlackpastelをアウトクロスさせてBreedするのが
良いとされています。
確率は低くなりますが
Cinnamon het Pied×Blackpastel het Pied
の掛け合わせが一番奇形を避けられつつ
Panda Piedを狙える組み合わせだと思います。
そこに加えてPiedの白の面積の割合はコントロールできない為
極端に黒の面積が大きかったり、
逆に全身白い表現になってしまったりと運の要素も強い為、
作出のハードルが他のComboに比べてとても高いです。
これらの理由からMiddle PiedのPanda Piedは
かなり高額な金額でやり取りされることが多いです。
↑OD YB Pied
Justin が毎年出してくるOD YB Pied Comboです。
柄の縁取りがギザギザになりながら柄の中の色が
かなりオレンジ色になっています。
ここまでしっかりとオレンジ色が出てくるのは
YBとODの特徴がしっかり出るLineを使っているからだと思います。
自分好みの理想の個体を作出したい場合は、
親の個体の発色や色の濃さに拘ってBreedする事で
理想の子供が生まれてくるはずです。
今回はPiedについてまとめていきました。
かなりのボリュームになりましたがそれくらい
魅力があるMorphであり特別な存在だと思います。
PiedからBallpythonに興味を持つ人は多く
そこからどんどんはまっていく人も多いです。
同じMorphでも表現はそれぞれ唯一無二であり
個性が光るMorphだと思います。
是非、この機会にPiedについて興味を持ってもらえると嬉しいです。
それでは今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
δ7Ballpython
画像引用 WOB