喜屋武岬の知られざる風景 | Nature | Photography | Music | Art

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少々デリケートな場所なので書くかどうか迷ったのだが、そこで見た風景が想像以上に絶景だったので番外編として記しておこうかと思います。


もちろん、WW2時にここで犠牲になられた方々には敬意を持ちながら。

GW最終日、石垣~羽田の直行便が取れなかったので那覇経由で沖縄本島に一泊して帰る事にした。

毎回、沖縄本島の最終日はお気に入りの糸満の海で素潜ってから帰ることが多い。
糸満の南岸は那覇空港からさほど遠くない場所にあるにも関わらずあまり開発されることもなく今でものどかな沖縄の風景を残しており、おそらくそれはWW2の時の惨劇の舞台となったために幾分アンタッチャブルな場所になってしまっていることと、断崖が多くて港が作れないことの二つが大きな要因になっていると思う。

一方このあたりの海岸は地元のサーファーや釣り人にとってはごく日常の活動フィールドだし、ダイバーにとっては断崖がそのまま海の中まで続くダイナミックな地形とあまり荒らされていない海が楽しめる隠れ人気ポイントとなっている。

今回はあいにく海が思いのほか荒れていたので潜るのはやめて、たまには糸満南岸の陸上側を散策することにした。

喜屋武岬…荒々しい断崖が続く糸満南岸の中でも最も迫力がある風光明媚な場所なのだが、WW2の悲惨な出来事の舞台ゆえ戦跡としての側面が語られることがほとんど。

喜屋武岬展望台から見る糸満の海。高低差は30m以上。


展望台横にある灯台の近くに獣道があって、崖ぎりぎりの場所まで行くことができる。 写真では迫力が表現できないが、実際は眩暈がするほどの高低差。




ここを訪れる観光客は慰霊碑に手を合わせた後に展望台と灯台で風景を一眺めすればその他には何も無い場所なのでここであまり長居する用事はない。自分も以前はそうだった。


しかし今回、泊まっていた宿の人から喜屋武岬の崖上から磯釣り用に崖下に下りられるルートがあることを聞いた。

上から眺めると足がすくむような崖なのにそんなルートが本当に存在するのか半信半疑ながら興味を持ったので探検してきた。

おそらく地元の磯釣りのおっちゃんしか行かない場所。
かなり危険なルートなので、磯や岩に慣れている人以外はやめておいたほうがよい。自前ロープ持参の方が安全かも。

そのルートへの入り口は公衆トイレの裏側にひっそりと観光客に気づかれないよう(?)隠されている。




しばらくは薮道。




薮道の終端にルート上最大の難所がいきなり来る。
ここから足を踏み出す勇気を持たなければまずは始まらない。

 


頼りないロープはある。
難しいのは、降り口が大岩になっていて、次の足場がその大岩下部の奥の方にしかない。つまり体を思いっきり「つ」の字に曲げないと次の足場に届かない。
もしここで滑ったとしたらその落下方向によっては崖下滑落もありうる。

その後は若干緩やかになり、ロープを頼りに下りていく。すでにかなりの絶景。これだけ見ると山岳の岩稜帯のバリエーションルートと言っても騙せそう。




崖上部では風が強かったが、ここまでくると無風になる。海側にも岩がそそり立っているので深い渓谷のような地形。潮騒の音も遠く静寂で、なにやら異空間に下りていくような気分。


最後は梯子で、それを下りると一段落。梯子から難所を見上げる。




ゴロタ岩の上を慎重に岬の崖下あたりまで降りてくる。巨大な岩に囲まれた特異な空間。上にある展望台からは想像できない風景。





喜屋武岬を見上げる。もはや海岸にいるという雰囲気ではなく深い山にいる気分




降りきってから海側に方向を変えると次の世界への門が開いている。




門をくぐり振り返って海側から。異空間に結界が張られているよう。


海岸に出ると雰囲気は一変して別の惑星のような風景が広がる。





この海面下には地上に負けず劣らずの絶景が広がるが、それはまたの機会。




この場所、リーフがあるので船ではアプローチできないし、崖降りコース以外にここに来る方法はなさそう。
今後も地元の釣り人だけが眺める風景であり続けると思われます。