ボツの理由は何らかの原因で本願を果たせなかったものや、現地へ行ってみたら想定と全く違っていたというものやら、いろいろ。
今回の旅は天候的な要因で収穫があまりなく書くネタが少ないので、今回あったいくつかのボツネタのうちのひとつをご披露。
その舞台が表題の場所。「たじまみほのうら」と読む、兵庫の浜坂から余部の間の十数kmに至るおそらく山陰海岸の中でも最も海アクティビティの困難な海域。
途中に小さいゴロタの浜と小さい漁村がひとつある以外はずっと断崖絶壁が続く上に海流も速い。
その反面、遊覧船が多く巡航しているほどここには数多くの洞門や名勝(もちろん遊覧船など海側からしか見られない)がひしめき合っており、洞門・洞窟・地形好きには相手にとって不足はない海域なのです。
カヤックやその(上級)スキルを所有していない自分にとっては、こういう海への自力アクセスはなんとかして陸から海岸線に降りるしかない。
今回は海況が悪く海へは入れなさそうなので、その時間を次の機会のために海岸へのアクセス経路開拓に使いたいと考えてこのあたりをつぶさに実地調査をしてみた。
下見として探検前に遊覧船から海岸線を撮影したのがこんな感じ。



垂直に近い断崖が連続していて、藪漕ぎを前提にしてみても概して陸地からの容易なアクセスはほぼ不可能に見える。
こういった場合の事前検討に最も役に立つのがgoogle mapの地形図と航空写真なのです。
まずはgoogle mapでこの海域全体の地形を見てみるとこんな感じ。
とにかく凄い地形。左半分は上で書いたゴロタ海岸と漁村があるので海に降りられそうだが、右半分の領域の海岸から林道への標高差を見ると海岸アクセスは絶望的に見える。左側から泳ぐにしても余りにも遠すぎる。
へこたれず右半分を詳しく航空写真で見ていくと、海に突き出した鋸岬のあたりに林道から逸れる獣道か沢らしきものが見える。
ここが唯一海岸に下りられそうな地形で、ここがだめならおそらく諦めるしかない。
更にWebで調べてみると、ここにはかつて間塩という集落があったらしい。
ということはこの獣道はその廃村への生活道路で、鋸岬は良釣場でもあるのでそのままこの岬まで釣り人用のトレースがあるのでは…と推測。
実際行ってみた。
予想通りここには綺麗にコンクリート舗装された道路があって快適に進むことができた…途中までは…
舗装道の終端のあたりにて。草木に埋もれて石垣の跡などがあるのでやはり集落がかつてあったのだろう。なにやら遺跡探検をしている気分。

更に進むとトレースも怪しくなって藪漕ぎが多くなってくる。所々に石垣が残っているが自然の勢力の方が圧倒的に勝っている。

横に綺麗に護岸工事された沢が流れているが、水量もありゴロタが多く沢の中を進むのは更に困難そう。

ついに藪で進むのも困難に。無理やり進むこともできそうだがまだまだ海岸までは距離があり、海機材や撮影機材を背負って行くには現実的なルートではないと判断して諦めて帰ってきました。

伊豆などではかなりの断崖でも釣り人用のトレースがあって海岸アクセスできることが多いのだが、今回見て廻った範囲では但馬御火浦はその限りではなく、制覇には最低限カヤックが必要そう。
カヤック、欲しいのは山々だが置くところはないし周りから止められてるし…さしあたっては諦めざるを得ないようです。