アイスランド車中泊旅・世界一透明で藍い水 Silfra | Nature | Photography | Music | Art

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シルフラ…水中生物の営みなど無縁で、本当に限られた狭い隙間を数百m泳いで終わるだけのダイビング。

しかしその隙間の両壁はそれぞれヨーロッパプレートとユーラシアプレートという異なる地球規模の運動によって引き裂かれたもの。

更にそこに満たされた淡水は数十年~100年前に降った雨水が地中で長年ろ過されたものが湧き出したもので、他所では経験することの出来ない神秘的なほどの透明度と藍さを持っている。
その水はそのままThingvallavatnというアイスランドで最も大きい湖へ流れ込む。



今回唯一の有料アクティビティになります。
個人的にはここで潜るのが長年の夢でした。

おそらくまだ日本のダイバーにはほとんど知られていないダイビングスポットで、現状英語によるガイドダイブしかないので紹介を兼ねてダイバー目線から見た詳細を書いておきます。

ショップはネットで見た限りScuba Icelandが少人数制でリーゾナブルだったので、ここに事前にメールで予約。
いろいろ丁寧に対応してもらえました。

現地で某有名な別の大手ダイブショップのツアーを見かけましたが、そちらはかなり大人数で一気に入水するみたいであまり心地よくないなぁ…という感想。

場所は超有名観光地、地球の割れ目・シンクベトリル国立公園の中にある。

母体であるThingvallavatn湖はこんな感じ。高台から見渡せば更に広大な湖。我々が潜るシルフラはこの湖の一端にある。



一般観光客向けの場所ではないので看板などはないが、国道から外れて湖沿いの道路を進み、こんな可愛らしい道路標識が目印。セットアップする広場からは一般観光客も多く車で通る道を横断しなければならないので、注意喚起の意味があるみたい。



上から見た図。ダイバーのエントリー用の梯子が常設してある。エグジット口は更に400mほど奥にあって、常に一方通行。



天気がよくないので色が分かりにくいが、上から見ても尋常でない藍色をしている。
湧出直後なのでそのまま飲むこともでき、今まで経験したことのないようなまろやかさ。ただしダイバーの出入りのない早朝や夕方以降に汲む方がよいかと。



水の透明度は優に100m以上。

抜群の透明度と言われるミクロネシア・ロタ島の海で50~60m、メキシコ・ユカタン半島のセノーテでも70~80mなので、ここがおそらく世界一の透明度でしょう。(ちなみに世界一の透明度と一般的に言われるのはバイカル湖らしいですが、youtube動画などを見る限りではシルフラの方が透明のような感じがする。)



水温は4℃ほど。もちろんドライスーツ+防寒用の特殊なインナーウェア(他所では見たことない、特殊仕様?)+手袋・その他用具一式を貸与されますので用具の持参は不要。

このインナーウェアが異常に暖かいので、よほどの寒がりでなければフリースの上下を持参する程度で十分かと思います。

水中に直接露出する部分はマスクから外れた頬の部分のみ、頬は入水直後は冷たく感じるが、すぐに麻痺してくるので寒さや冷たさは想像以上に感じない。ダイビング時間も一回20分もないので寒くなる前に出水する感じ。

ツアーはスクーバとスノーケリングの2種類が催行されていて、いずれもアイスランド価格、他所の国の一般的なダイビング価格の2倍ほどと考えたほうがよい。

水中から見たい・撮りたいとかにあまりこだわらないのであれば、スノーケリングで上から見るだけでも十分楽しめるかもしれません。

欧米ではかなり有名スポットなので、オフシーズンにも関わらずダイバーの数は非常に多い。

で、本題のダイビングそのものですが、実は個人的に今までで最も難しかったダイビングの一つとなりました。

なぜかというと、浮力調整の難しい淡水である上に、ドライスーツ+インナーを沈めるために20kg近くのウエイトを装着する。

更にコース中に水深の深い所と1mに満たない場所が交互に何度か現れる。

普通の海での浮力調整の感覚でBCDのエア調整をしていると、急降下か急浮上しかできず、中性浮力を保てる許容幅が異常に少ない。

中には諦めてずっと浮いているダイバーもいました。

ガイドさんのアドバイスは「1回目のダイブはカメラなど持たずにずっとBCDバルブを持ってなさい」というものだったが、実際1ダイブ目はたとえカメラを持っていたとしても撮影できる余裕はなかったと思います。

自身がドライスーツは普段使っていないので不慣れという要因も多々あるのですが…

以下は2ダイブ目(1,2ダイブとも同じコース)になんとか撮ったものです。

まずは水深5mほどの場所にエントリー。



何度か浅い場所を乗り越えていくと段々深い峡谷になっていく。




最も奥が「カテドラル」と呼ばれる一番深く壮麗な場所。ボトムまで下りていないがおそらく-20mほど。ここがダイビングのクライマックスとなる。





それが終わると、白砂が現れて再び浅くなる。

白砂を登りきって左折するとエグジット口に向かう浅い干潟になる。



実を言うと、水の色はこのエグジット直前の干潟が一番綺麗だった。どうやらここが一番湧水が多く出ているみたいで、かなりの水流を感じた。

飲用するときも、ここのエグジット口で汲むのが一番よいのではと思う。

ちなみに、ツアーに参加せずともこの場所は自由に行けるので、シンクベトリル観光のついでにエグジット口まで行って防水カメラをポチャっただけでもかなり凄い色の絵が撮れます。
こんな感じ。



実はここでのダイビング、エグジット後に一番辛い行程が待っており、30kg以上の装備を抱えたまま400mほどの遊歩道を徒歩で帰らなければならない。
足腰の弱い人々は休み休み帰っていた。



一般的なダイビングの概念からはあまりにもかけ離れたものだし値段も張るので、万人にお勧めできるかどうかは判断が難しいところだが、個人的にはあの深い藍色の水を生で見られただけでも価値があったと考えています。

とりわけ個人で勝手に潜るのが禁止されているわけではなさそうなので、6mmウエット+フードを持参して気合を入れれば素潜ることもできそうとも思ったが、さすがにこの水温ではかなりの覚悟がいりそうです。