みているもの きいているもの
いつしか てばなしていくもの
うちゅうのことや ほしのこと
ちきゅうのことや ひとのこと
かたられる おおくのことばの
いきつくところは おなじもの
*
かぎりある いのちのまなざし
はてしない ひかりのまたたき
それをそうと あなたはおもう
それでは わたしはどうなのか
そうかんがえる わたしたちは
それでは いったいなんなのか
*
たどりつくは いしきのふしぎ
わたしたちの こころのしくみ
ひとに まどわされていないか
じぶんじしんを しっているか
それをそうと わたしはおもう
それでは あなたはどうなのか
ーーー
“しかし、なぜよりによって、
その「私」がこの「魂」なのか、
形式と内容の結合の不思議は、
宇宙に訊ねてみるほかあるまい。
そして、宇宙に訊くというのは、
言うまでもない、
己が魂に訊くということである。
さて、このとき、
「己が」と言っているのは、誰なのか。”
“自分自身の死、その不可能性。
翻って、いま在るとはどういうことか、
広げて、存在するとはどういうことか…
…思索は、死を越え生を包み、
生死の区別の向こう、
「人間」すら越えて広がるのである。
広がりつつ、
しかしここにいるのである。
謎を思索することで、
思索自体が謎と化す。
今さら「私」とは誰であり得るのか。”
池田晶子