過去のひとは場所とともに
むかしの記憶に入っていて
再会するとき時空がゆがむ
過去のわたし今のわたしは
つながりにとぼしく曖昧で
たくさんの自分にとまどう
思い出された過去の記憶は
いったいだれの記憶なのか
一年まえはむかしに入って
おさない記憶と同じように
掴みどころのない質をもつ
それは夜にみる夢にも似て
まるで夢を思い出すように
くり返しよみがえってくる
どこかへ連れ去られぬよう
今だけを見ていられないか
ーーー
“いくつもの記憶が
蘇っては混ざり合う。
そうして豊かな混沌となり、
やがてふと新たな景色として現れる。
それが、夢か現かはどうでもいい。
すべてはわたしの中から
生まれる物語なのだから。”
R. Rorýs「水辺の記憶」より