語り部・チャバネ
<とある生物の独り言で今回は進行いたします。>
あ、こんにちは。ワテ、チャバネと申しますねん。今ね、ワテの大好きなトコにいるんですわ。
そう、台所ですねん。人間さんの食べ残したモンとかが好物なんですわ。生ゴミ専門ですねん。
ここまでたどりつくのは簡単でしたわー。この家、あちこちに隙間があって入りやすい事この上なし!
築何年なんでしょうなぁ。かなりボロイ事はワテの目からもすぐわかりますわい、あっはっは。
最近、リフォーム会社の不正かなんかで世の中騒がしいみたいやけど、この家は無縁なんでしょうなぁ。
ホラ、普通壁とかアレでしょ?木製とかコンクリとかでしょ?最近の家なら通常はコレですわな。
でもこの家の壁、よう見てみたら、いや見んでもわかりますわな。あれですわ。
土壁なんですわ、ひゃっひゃっひゃ。(引き笑い)
これにはビックラこきましたね。このご時勢にまだこんな家あったなんて驚きですわ。
地震とかあったら一発ちゃいますかねぇ。ああ、そうそう。ワテ、この家に長いこと居座ってるから
この家の事、色々知ってるんですけどね、この家の息子さん、ピザ屋で働いてるみたいなんですわ。
ちょっと前ですけど、地震があってね、そん時息子さんピザ屋で働いとったらしいんですよぉ。
結構な揺れでしたけど、そんなに心配するほどでもなかったわけですわ。でも息子さんね
自宅の心配したんか知りまへんけど、スタッフの休憩室でみんなにこういったらしいんですわ。
「アカン、もうアカンわ。もう俺の家ペッタンコや。思い出も何もかもペッタンコや。今頃がれきの山や。」
本人は別にウケを狙って言った訳やないらしいんですけど、めっちゃ笑われたらしいですわ。
そら笑われますわな。そんなんで潰れるなんてシャレ以外の何者でもあらしまへんで。
ほんでね、息子はん、後輩にこう言われたらしいんですわ。
後輩 : 「いやいやそんなんで絶対潰れないですって。ありえませんって。」
ええフォローやないですか。なんとも優しい後輩やないですか。
でも息子はん、さらにこう言ったらしいんですわ。
「ええか、ウチは考えられん程ボロイんや。お前、テレビ見てるか?アレあるやろ。劇的ビフォーアフター。
俺もあの番組は好きや。リフォームの枠を飛び越えてんのがミソや。でもな、あれはビフォーがあって
アフターがあるんや。だから、ビフォーが悲惨でも、匠の手によって華麗に生まれ変われるんや。
もちろん、無料やないで。金がいるわけや。ところがウチには金があらへん。ということはやな、
ウチはずっとビフォーの状態なワケや。(しみじみ)
え?何?何とかお金用意してアフターにしたらええやんってか?アホ言うな、どう頑張っても
更地がアフターじゃ。むしろ放置の方向じゃ。」
後輩さんもこんな現状やいうの知らんかったんでしょうな。失笑をかったらしいですわ。
その後輩さんらは、立派な家に住んでるみたいやから、土壁っちゅうモンをあんまり知らんかったみたいで
その後、息子はんはそれを説明しだしたんですわ。
「ほお、お前はフローリングの家に住んどんか。ええな。うらやましいわ。ほんならアレやろ、壁とかも
木でできたやつなんでしょ?ウチ?ウチは土壁っちゅう恐ろしい材質でできとんねん。
どんなんか知らんやろうから、どれくらい恐ろしいか教えるわ。
その土壁を一点に集中してずっと眺めるんや。ほんならもうおっそろしいことにな
土壁の模様がヒトの顔に見えるんや。しかもちょっと笑って見えるんや。」
恐ろしいかどうかはわかりまへんけど、いつ倒壊するかわからんのは怖いですなぁ。
あ、そろそろワテ、メシ食わなあきまへんのや。ちょいと失礼しますわ。
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シュー。バンバン!シュー。・・・・ぶちっ。
息子 : 「どっから入ってくんねん、コイツは。・・・この台所もっとキレイにせなアカンな。」
母 : 「何言うてんの。これでも一生懸命やっとんのやで。」
息子 : 「どこがキレイやねん。夕メシ食った後、3時間も洗いモン放置しとくからやがな。」
母 : 「ほなアンタがやったらええがな。私は仕事で疲れとんねん。」
息子 : 「よういうわ。やろうとしたら、『もう置いといてええから』 っていうやないか。」
母 : 「な・・・・・!そんなん・・・・・!・・・・・・・・。」
あきまへんわ。もはや意識が無くなってきましたわ。何も聞こえまへん。いわゆるアレですわ・・・・
虫だけに 「虫の息」 ってやつですわ・・・・
ひゃひゃひゃ・・・・・・。
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