「えっ、何事?」
「どうやら、あっちのショッピングセンターで何か起こった見たいだね。」
陸が向こう側にある、ショッピングセンターの方を指さした、確かに多くの人が逃げるようにその場を離れている。
「どうやら、ナイフを持った人が暴れている見たい、ナイフって言うには大き過ぎるかな、刺されて倒れている人も見えるね。」
陸は目を細めてその場を見ている、僕の方からは人込みしか見えないけど。
陸がそう言ったとほぼ同時に時斗と涼子がショッピングセンターに向けて走り出していた。
「静動くんと篠宮さん、危ないよ!!」
陸が叫んで二人を呼び止めるが、二人とも止まらずに走り続けた。
「時斗は怪我人の方をお願い!」僕がそう言うと、時斗は軽く右手で返事をし、そのまま人込みの中に消えていった。
「時乃さんあの二人止めなくて良いの、でかいナイフを持ってるんだよ」
「あの二人だから大丈夫、富迫は行っても邪魔になるから待機ね。」
後を追い掛けようとした富迫の服をがしっと掴んだ。
「あの二人が心配だから行かせてくれ~」
凄く鈍い音がした、その後涼子の滅多に聞けない怒鳴り声が聞こえ、野次馬の人達は歓喜の声をあげていた。
「えっ、何が起きたんだ。」
「だから言ったでしょ、あの二人なら大丈夫だって。」
「凄いね、すぐに片がつくなんて。」
陸は携帯電話をパタンと閉じた。
「陸は119に電話してくれたの?」
「いや、ちょっとね119じゃないよ。」
陸は軽く首をふる。
少ししたら、上空からヘリコプターの羽音が聞こえてきた。
「陸、あなたいったい何処に電話したの。」
「気にしない、気にしない。」
陸は笑うだけで、結局何処に電話したのか教えてくれなかった。